夏が終っちまった!
リオも子供の夏休みも終わって、台風通過してもう一気に涼しくなっちゃうのか、まだまだ残暑が続くのか分からないけど、いよいよもう夏も終わりって感じになって来た。
でも今年の夏はギラギラのメラメラで、本当に面白かった!
ワールドも入ってないから実際には開幕戦と両国3連戦をCSで見て、生観戦は両国2日目しか行ってないけど、後は地上波かCSでG1名勝負特集に期待するしかないんだけど、両国3連戦だけでも本当に楽しめた。
両国1日目
ここ数年続いたド定番のマンネリカード。オカダvs.棚橋世代闘争マッチは、流石にずっとやってるだけあってハズレ無しの好試合でありながら、時間切れ引き分けってお口アングリの結末にはもう痺れた。
テレビ放送ではアナウンサーがこれまでの二人の対戦はすべて30分以上、これは時間との戦いでも有りますね。って前振りし過ぎでサプライズ感が台無しだったけど、会場で生観戦の人はビックリだっただろうな?
正直カード発表された時点では、決勝は棚橋vs.内藤。怪我から復帰したエースのG1連覇って
この日、後藤の決勝戦進出に歓喜したお客さんはほんのひと握りだろうな?
大半はオカダ、棚橋ファンだろうから泣きながら家路についたのか?
エアギターも外道の金の雨が降るぞ〜! も無く、なんとなく釈然としないまま終るっていう、最近の新日ビックマッチじゃ考えられないラストは、最近のファンの人達には味わったことの無い珍しい経験だったんじゃないかな?
これで、もしかして柴田の優勝も有るかも? 今年の夏は波乱が起こるかも? なんて一気に期待が高まった。
両国2日目
この日の会場はLOS INGOBE…アニマル浜口ジム軍団のTシャツで埋まっていた。
去年まで … いや、今年の始めくらいまで大人気だった筈のBULLET CLUBTシャツを着た奴なんてのはもう、EVILのTシャツ着てる奴よりも少なかったんじゃないか?
ナイトー! ナイトー!
会場中に響き渡る内藤コール。誰もが今年の夏は内藤が取るものだと信じ、声援を送っている。
かく言う私も柴田勝頼がEVILに敗れた時点で、今年の優勝は内藤哲也に決まったか? なんて諦めに似た感情で試合開始のゴングを待っていた。
ケニー・オメガ …
BULLET CLUBのリーダーを名乗るこの男は、1月4日東京ドーム メインイベントでのオカダ、棚橋の歴史的世代交代劇やセミファイナルの“ベスト・イン・ザ・ワールド”対決。そんな華やかな話題を吹っ飛ばすように突如として湧き上がったトップどころの海外移籍騒動。
そんな流れのなかで勃発したポジション争い(椅子取りゲーム)で、この男は完全に遅れを取った。
あっちに行くのことが決まった人達を暖かく送り出す本隊、CHAOS、BULLET CLUB(オリジナルメンバーのトンガ勢)とは対照的に、この男は試合後、ヤング・バックスと共にAJに対して制裁を加えるという手荒な手段で軍団のリーダー交代を宣言した。
あの時、彼の行動が間違っていたのか? と問われれば、何も間違ってはいないし、ヒールユニットのリーダーとしては至極当然のことをしたまでなのだが、和やかな壮行ムードが漂うなか、後味の悪いこの男の暴挙は観客から受け入れられず(ヒールなのだからそれはそれでOKなのだが)、結果として何もせずに文句だけ言っている男にすべて持って行かれてしまう。
『中邑真輔がWWEに行くのがそんなに誇らしいならさ、新日本はもう世界一の団体を目指すなんて言わない方がいいんじゃないの?』
おまけに抜群の連携を誇るアニマル浜口軍団に対し、やってることは凄いのだが、いまいちインディ臭さが抜けないthe Elite(ケニー、ヤング・バックス+コーディー・ホール)と、その他2軍の皆さん(トンガ勢+高橋裕二郎)の間で何かしら確執があるのか(リーダーとして認められてないんじゃないのか?)、チームとしてまったく連携が取れておらず。気付けば、客席を埋め尽くしていたBULLET Tシャツは、掌を返すようにアニマル軍団Tシャツに取って代わられていた。
ずっとAJスタイルズが担って来たオカダを引っ掻き回す外人ヒールのポジションは内藤哲也に持って行かれ、IWGPとは別路線でキングオブストロングスタイルを魅せつけるというポジションも柴田勝頼に取られてしまいBULLET CLUB自体の人気も急下降という、なんとも締まらないこの男に期待している観客はそのTシャツ同様、極わずかだったのでは無いか?
1991年8月11日 両国国技館
Bブロック決勝進出決定戦
ハッシモト! ハッシモト!
確かあの夏も、優勝大本命の橋本真也があっさり勝ってAブロック首位の武藤敬司との決勝戦に駒を進めるものだと誰もが思っていたし、これだけの豪華メンバーの中(まだ元気な頃の長州、藤波に、ベイダー、ノートン、ビガロっていう怪物的な外人が居て、この年のG1開幕前、三銃士の中では橋本の活躍が目立っていた)、一番地味な男がここまで残ってること自体が想定外だった。
しかし試合が進むに連れ、徐々にその声援は…
STF! STF! STF!
ケニー! ケニー! ケニー!
『今日の試合で何か変化が起こった事を感じた。それは俺であり、君達だ。君達は”ナイトー!ナイトー!”とコールする。それが途中からケニーコールだな、それが欲しかったんだ!』
『いいか、俺が他の奴と違ってこの日本にいるのは俺がここをホームと思っているからだ! おい、ちょっとまだ聞け! でも内藤を応援するホームなんておかしいだろ? 俺はお前らにハートと魂、そして膝に首も全てを与えて来たんだ!
明日俺が後藤を倒した時、お前達はまた後藤コールをするかもしれない。でも、もうそんなの関係ねぇ。俺はバッドガイだからな。
もし俺がギャンブル好きなら、ケニー・オメガが勝つ方に掛ける。
グッバイ&グッ…ナイ!』
両国3日目
満身創痍で決勝戦に駒を進めた男はこのように語っていた。
『年間ベストバウトは内藤戦で貰った。
どうせ、もう膝も首もみんなぶっ壊れちまってる。
後はもうどうなろうが、優勝を掻っ攫いに行くだけだ。』
ケニー自身が言うように、試合内容自体では決勝戦よりもBブロック最終戦の方がスイングしていたと思うが、決勝戦もかなり見応えがあった。
最近ケニーが頻繁に使っている膝蹴りがあの男を意識した物かは分からないが、飯伏、フィン、AJと一連のあっちに行ってしまったメンバー達の必殺技ラッシュで畳み掛けての片翼の天使。
これを全部受け切った上で壮絶に討ち死にした後藤も大したものだったと思うし、なんと言っても最高なのはやっぱりこれだろう。
『このG1クライマックスの前に、いやこのG1中にもバレットクラブは終わった、解散したと言われた。しかしバレットクラブは終わってないし、我々バレットクラブは結局のところ4 LIFE(一蓮托生)なんだ。人々はエリートも終わったんじゃないかと思ったかもしれないが、ニック・ジャクソン、マット・ジャクソンも含めてエリートも終わっていない! エリートがいなかったらプロレス界は面白く無いし、最悪なものだ。今日ような日はもう起こらないだろう。夢を恐れるな、スターになる事を恐れるな。俺はベストで才能にあふれた選手だ、お前らとは違う。しかし俺はお前達のために戦っている。お前達は俺がいて幸せだ。
次はこれを観てるレスラー達に告げる! お前達が見てるのを知ってるぞ。お前達も幸せだ。こんな素晴らしい試合を見れて。今日のG1の俺の試合はまさにお前達にとって最適な教科書だな。この教科書でプロレスを始めて次のケニー・オメガになろうとするかもしれない。でもそんな事は出来っこないぞ!
今、俺がここで言わなければならないのは … オーカーダ! お前はIWGPヘビー級王者、倒したことはないし、戦った事も無いよな! これは人生に刻まれた運命だ。
でもお前達は理解出来ない … だから今から日本語で話そう。
ビックリしてるだろう。俺はこれまで日本語を話したくなかった、俺はヒールだからさ!
ダマレ!
ヒールなのに日本語話せるなのに、お前らは俺の好きな選手おれは嫌いだ。お前らは私の事を応援してくれないと嫌いですね。
嫌いにしても、日本は俺のホーム、新日本は俺のホーム、俺はあっちには行かない!』
第26回 G1クライマックス
このひと夏の激戦を征することで、ようやくケニー・オメガはBULLET CLUBの新リーダーとして認めやられたのかも知れない。
ファンからも、メンバーからも …
あの座布団が舞った日から26年目の夏を迎え、当然のことながらレスラーの顔ぶれも会場の雰囲気も随分と様変わりした。
(当然だろう? 26年も経ってなんにも変わってなかったらとっくに飽きられてるよ)
こんなこと言うと「ウルサ型」の人達からは、あの頃のプロレスを今時のプロレスと一緒にするなって怒られそうだけど、今年G1を観ていてあの最初の夏を思い浮かべた。
Bブロック最終戦、会場を埋め尽くしたLOS INGOBERNABLESのTシャツを見ても分かる通り、この日の会場に詰め掛けたファンの大半は内藤哲也の決勝戦進出を信じて、内藤哲也を観に来ていた。
要するに誰もケニー・オメガが決勝戦に駒を進めるなど考えていない状況のなか、もしかして行けるんじゃねぇか? って、段々と会場の雰囲気が変化して行くあの感触。
上手いこと波に乗れなくてなかなか日の目を見なかった選手が、夏を契機に一気に主役に躍り出る。なんて言うか、上手いこと表現出来なけど、もう、先のことなんてどうでも良いから兎に角、燃え尽きちゃおうぜ! って夏フェス感?
柴田勝頼は優勝出来なかったけど、今年の夏はいい意味で裏切られた!
初の外人選手の優勝とかド派手なプランチャとか、一見まったく別物になったようにも見えるけど …
まさかこいつが優勝か? って、不穏では無い良い意味での裏切り。
そんな根本の部分で、今年のG1のノリは最初の夏に原点回帰したんじゃないかな?
時間と金の都合で、どれか1日だけって言ったら2日目で正解だったけど、今年の両国3連戦全部生観戦出来た人は面白かっただろうな。
なんてことを夏の終わりに、これもまた「ウルサ型」の人達から、こんなの認めね〜! って怒られてしまいそうな、随分とグロテスクな造形をした怪獣を眺めながら思い浮かべた。
2017年は両国国技館全面改修らしいけど、来年のG1はまた西武ドームになるのかな?