ドールショウが直前で中止になってしまったので、急遽予定を変更して東京都現代美術館にて開催されている石岡瑛子の世界初の大規模回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」を見に行きましたが、結果から言うといきなり今年最高の展覧会にぶち当たってしまったという感じです。会場には、石岡瑛子さんが手がけた様々な映画衣装、ポスター、資料が並び、そのどれもが”強い”。もう国内で仕事をしていた時からパワーの塊です。場内は撮影禁止だったため、会場で貰ったパンフレットの写真を貼っておきます。

 

石岡瑛子さんのキャリアは資生堂から始まりますが、60年代から一貫してとにかく「強い」。おそらく当時のフェミニズムの勃興が反映されており、それが70年代に入りパルコの仕事で大爆発。だって入社2年目でいきなりこれですから。50年以上前のグラフィックデザインとはとても思えません。

 

 

おそらく創立時のパルコはただファッションを売るビルではなく、思想や信念を発信するビルだったんでしょう。当時既にフェミニズム、ジェンダーレス、ボーダレスな広告展開をしており、それをディレクションしていたのが石岡瑛子さん。その作風はまさに氏が掲げていた「タイムレス」そのもの。もう50年前のポスターが今でも十分通用するどころかTwitterで絶対バズるな、という作品ばかり。

優れた広告は「奇跡」ではないでしょうか。いくらアートディレクターがフェミニズム、ジェンダーレス、ボーダレスな作風を打ち出しても、その意を汲んでくれる写真家、モデル、コピーライター、イラストレーターがいないと広告は完成しないし、何よりクライアントがOKしなければ世に出ない。なのに石岡瑛子さんの意図と作風を理解できたこれだけの人材が正しいタイミングで正しい場所にいたというのがまず奇跡だし、仕事を評価してGOサインを出したクライアント企業がこれだけいたというのも凄い。そして日本の企業も社会も80年代を境に劣化していることに気付かされます。

 

角川はもう一回この広告をそのまま使うべき。何度も言うが40年以上前のポスターとはとても思えない。

 

 

洋画が公開される際に日本独自デザインのポスターを作って、それが本国や監督から「オリジナルのポスターより良い」と評価される流れの最初の事例を作ったのも石岡瑛子さん。最近の例だとキングコングやミッドサマーみたいなもん。こうした独自ポスターを作る広告手法は今では中国でも行われていますよね。

 

本当に素晴らしい展覧会でした。これを超える展示を今年中に果たして見られるのか?それくらい感動しました。

 

 

 

んふんふ(コラボメニューもガッツリ食べました)