井坂茜ブログ!あかねこ★進化論*。

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出演情報は、
記事テーマ【お知らせ】から。

ミュージカル「ひめゆり」

2024年の公演も幕を閉じました。


前回出演時の終演ブログ⬇︎


https://ameblo.jp/a-k-a-n-e-m-u-s-i-c-a-l/entry-12686622212.html


すごく感動的なブログを書いてしまっていました🤣

どう見てもこれで卒業やろ。←


出戻ってしまったので

今回はあっさり塩味目指して書きます。

どちらかというと自分のための備忘録。



今回いちばん新しいなにかが生まれたのは、

M35〜36、二幕の洞窟のシーンの

影コーラスをしたことです。

これ、わたし的にものすごくいい経験でした!

とてもとても嬉しかった!!!


わたしは今までずっとはる役なので

二幕の洞窟のシーンは出たことがなく、

2017年公演は逆班時に袖中で影コーラスをしていたし

ビリー先生の歌稽古もしていただいたと思いますが


今回は逆班時ではなく出演公演時に、

影コーラス用のブースではなく自分のマイクで、

袖中ではなく、なんと舞台上で!

お客様からは見えないところなのですが

洞窟のシーンのセットは幕になっているのですが

そのうしろで。

舞台上の滝軍曹や民衆の人々も見える。

檜山さんの死に直面した後のキミちゃんが

洞窟に入ってくるのも見える。

そんな場所で、舞台上の空気感を超感じながらの、

「助けてください」という歌。


想像以上でした。

わたし、影コーラスなのに涙止まらず。

なんて凄いシーンなんでしょうか。

暗くて光の見えない洞窟の中で、

少女たちが讃美歌のように(と歌稽古で言われる)

誰に届くともわからない助けを求めている。


このシーンの絶望感を体感したら、余計に、

「もうダメ逃げるのは、死にたいわ〜」

とか言っていた自分が生き残ったことに、

はるちゃん、さらにさらに、苦しくなって。

自分のせいでみんなを死なせたのに、

みんなはあんなに苦しんで苦しんで死んだのに、

わたしは…って、思ってしまって、

はぁ、、しんどかった。。。


そんなこともあって、今回は特に、

ハマナカ先生が「級長」という役割と

「最終的に捕虜になるコメディリリーフの三人組」

という役割を同じ「はる」という役に担わせたのが

とても残酷で凄いことだなと感じました。


別々でもつくれたはずなんですもの。

でも、「非国民とののしられる」と息巻いた人に、

「死にたいわ〜」と言わせ、最終的に生き残らせる。

みんなを死なせて、生き残らせる。


こんなことが起きてしまうのが戦争なんだなと

思わずにいられませんでした。


Twitterに書いたこともここにまとめておく。




はるかなみさ。


表面的にも精神的にも、

はるはかなとみさに生かされているし、

かなとみさを生かすもころすもはる次第だなと、

この二人の魅力があますところなく発揮されるかは

わたしにかかっているなと。

毎回かなみさによってはるのバランスを探るのですが

今回は全員割と「自然体」だったのかも。


かな・すがたさこ、みさ・藤田沙知

今回はじめて、同役経験者の

かなみさとの組み合わせで、しかもさこと沙知。

ふたりとも作品に対しても役に対しても

理解の深さがあったので、

今までのわたしのはるちゃんはかなとみさを

引っ張っていくスタイルが多かったのですが、

今回はいちばん3人とも対等というか

(対等という言葉のチョイスがちょっと微妙ですが)

わたしが引っ張る2人がついてくる、ではなくて、

3人がお互い支え合ったり引っ張りあったり

踏んだり蹴ったりする三人組であって、

それが、「わたしのはるちゃんは、

もしかなとみさが命を落としていたら、

終戦まで生き残ったとしても

自ら命を絶っていたかもしれない」と思った所以です

(実際にふじ学徒隊に、戦後心を病んでしまって

命を絶った方がいらっしゃいます)。

今までのわたしのはるだったら、

もしかなやみさが命を落としていたら、

彼女たちの分まで生きねば。と思ったような気がする。

わからないけど…。


でも今回は、2人が一緒に逃げ惑ってくれて、

一緒に生きるべきか死ぬべきか悩んでくれて、

一緒に死にきれずにいてくれて、

一緒に生き残ってくれたお陰で、

はるちゃんは「生きてこそもう一度」と

思えたような気がします。


そしてさことさっちゃんとのはるかなみさの構築は

ほんっっっとにノンストレスでした😂

(今までストレスだったわけではなく←笑笑)


稽古でわたしがさこかなに対して

初めてM25で竹槍訓練をした時、

さこがビックリしすぎて歌えなくなりw、

その後M39投降で

さこかなが「死なないわ」と言った時

今度はわたしが本当に「なんで死なないの!?」と

ビックリしすぎて歌えなくなるということが起こりw

ふたりとも何度もひめゆりやっているのに

こんなに新鮮にビックリできるんだなと

内心嬉しく思いました笑。

沙知のおとぼけやマイペースだけじゃなくて、

何よりの優しさがそのまま出てるみさも好き。

この人誰に対しても本当に優しい。

それって、

一歩間違えると正論振りかざし系になっちゃうはるや

他人を気にせず己の道を突っ走り系かなにとって

めちゃくちゃありがたい存在。


M4の「なにかが出来るわ」「弱音は嫌だわ」

の、かなとみさは、秀逸でしたね。

あ、わたしのはるちゃんは、このふたりのお陰で

このクラスの級長でいられるんだな

というのがものすごくわかった、あの一言二言。


小道具のさこが用意してくれた手帖も、嬉しかったぁ。

わたしのはるちゃんは2019年公演から

ちよが撃たれたシーンで、

ちよの言葉や、どんな状況だったか、その最期を

手帖に書き留めているのですが

その手帖を小道具で用意してほしいとお願いしたら

さこは、「かなが陸軍病院の

兵士に使い古しの手帖を何冊かもらい、

それを、はるとみさにもわける」という芝居も

用意してくれたのです。


ということは、

わたしのはるちゃんが生き残って手帖を持ち帰ったら

ちよや、学徒たちのことだけでなくて、

その手帖を元々持っていた兵士たちのことまで

伝えることが出来たのかもしれないのです。

(実際に学徒たちは傷病兵に遺書の書取りを

頼まれたりもしていましたが)


はるちゃんが「生きるべき死ぬべきか」悩んだ時

この手帖がストッパーになったこともあるでしょう。

小道具って本当に、

芝居を何倍にも膨らませてくれる偉大な存在です。

それはお衣装もセットも音響も照明も、なので

舞台は総合芸術なわけですが。

(ひめゆりを知り尽くしたスタッフの皆様

本当に今回も素晴らしすぎてわたしの心はスタオベ👏)


婦長さんについても書いておく。




沼尾みゆきさんの婦長さんは、女神様なんです。


わたしは人間味溢れる婦長さんも大好きなんですが、

沼尾さんのお声は天の声のように聴こえますし、

立居振る舞いも達観したように感じる(特に一幕)ので、

人間味溢れる婦長さんの場合ははるや学徒にとって

「わたしもこうなりたい!」という

憧れ・目標の存在になると思いますが、

沼尾さん婦長の場合は、

わたしのはる的には憧れとは別物で、

自分の中の信仰の対象に近い感じになりました。


陸軍病院のまさしく写真のシーンなんかは、

目の前に神様があらわれた!!!

くらいのインパクトが今回あって、

ここで涙が溢れてきたのは初めてです。

今までは

「わたしもこんなふうに兵士たちを助けなければ」と

気合を入れ直す感じが強かったのですが、

今回は兵士たちと一緒にはるも癒され救われて、

「わたしには神様(婦長さん)がいるから大丈夫」

という想いで兵士たちの看護にあたれる、

みたいな違いがありました

(これはどちらが正解とかではなく、

はるが婦長さんから受け取る影響のベクトルが違くて

面白かったという話)。


そしてそれは天皇を崇拝している

超軍国少女のはるちゃんらしいな、

という感じもしたり。


なのでちよが撃たれたシーンでも、

これまでは「婦長さんならどうにかちよを

(人間の技術的に)助けてくれるはず!」と思いながら

駆け込んできてそれが叶わなかった、

というショックだったのが、

今回は「婦長さんになら(人間の力を越えた

なにかをもってしてでも)ちよを救えるはず!」

に近い感情で駆け込んできてそれが叶わない、

信仰が届かないみたいなショックがあって、

これはかなりしんどいのです。

絶望です。

♪人を殺せと教えて〜のナンバーで

学徒たちが先生から受けるショックにも近い。

のだが!その二幕のシーンでは、

女神様だった婦長さんが人間になられるのです!😭


戦争のおそろしさもわからず

陸軍病院にやってきた学徒たちのことを

すべて包み込んでいた女神のような婦長さんも、

二幕の極限の状況では人間になる。


一幕では婦長さんと学徒という

存在対存在のお互いへの眼差しだったのが、

二幕では人間対人間の魂の通わせ合い、

みたいなことが起こる。


今回の沼尾さんの婦長さんは

そんなふうにみえました🥲✨

これもまた、新しいなにかが生まれた結果。




清水彩花ちゃんのキミは、いつだって素晴らしい。


この人、自分が良かったとか、

自分が上手かったとか言われたいのではなく、

「ひめゆり」という作品を観てほしい

っていう想いだけでキミをやっているのが

ものすごくわかる。伝わる。

こんなに大変な役なのに、どこまでも作品ファースト。

それだけこの作品を愛しているのが清水彩花。

それが巡り巡って彩花キミの素晴らしさにもなってる。

もちろん技術的なこととか、魅せ方だとか、

そんなことは随所にいいところがあるんだけど

そんな話をするのは野暮。

この人が命を削って生きているキミちゃんと

わたしも魂のままはるちゃんで出逢い、生きる。

それだけなのです。


清水彩花キミのフルバージョンが実現して

わたしはとてもとても嬉しかったです。

コロナバージョンでももちろん素敵でしたが

フルバージョンだと、キミちゃんと一緒に

10代の乙女たちの軽やかな交流もたくさんあって、

やっている本人たちとしては気づかなかったけど

お客様からのご感想で気づいた、


あ、わたしたち、青春していたんだ。


って、思いました。

青春の最中だと青春だと気付かないものなのですね。

でも、確かに、あんな環境の中ではあっても

間違いなくわたしたちの、

はるちゃんたちの青春はあそこにあった。


彩花キミちゃんと、

たのしいことも大変なことも

かなしいことも命をかけたことも

ともに歩んだ青春のひとときを

忘れることはないでしょう。




よしつぐさんの軍曹は狂・盲信的な怖さがありつつも、

陸軍病院のシーンで級長として果敢に絡みに行ってみた

(お歌の隙間に台詞挟みまくってすみません笑)ところ、

物凄く人間臭さも感じられて、

余計に二幕での彼の行動への哀しさが増したのです。


神ちゃんの檜山さんはもう。苦しかったですね。

わたしは少し、戦後自分を責めてしまうであろう

はるちゃんの姿と重なって見えてしまって、

本当に見るのがつらかった。です。


みんな戦争の被害者。

そして、加害者でもあるのが辛い。

でも、目を逸らしてはいけない。




お手紙やプレゼント、SNSでのご感想、

「また観れて嬉しい」のお言葉、

本当に嬉しかったです。ありがとうございます😭✨


今年は不思議なことがたくさんありました。

わたしは役者なので想いを信じていますし、

見えなくてもエネルギーや絆やご縁も感じます。


すっごく自分勝手な解釈で恐縮ですが、

でも、本村つるさんとのご縁も、感じています。


わたしにもう一度はるちゃんの命を与えてくださって

本当に本当に有難うございました🌸

婦長さんの言う通りだった、

「生きてこそもう一度なにかが生まれる」

もう卒業したぞと思って客席で観てるだけでは

生まれなかったものがいっぱい生まれた。


まだまだ「ひめゆり」は新しく生まれ変わる。

凄い作品だ。


今年は作品の力に甘えて、

ぜんぶ助けられたような気もする。

「ひめゆり」はこんなもんじゃないんだ、

って、なんとなくいつも思っていた気もする。


わたしの理想が高くなりすぎてるのかも知れませんが笑


これからもどんな「ひめゆり」が

この広い世界に命を与えられていくのか

たのしみ。でもこわい。そして、たのしみ。




友達だったあたたかい人に

いま言えるのはありがとうだけ。




また会える気もしているし、

本当のお別れをしに来てくれた気もしています。


はるちゃん。

いつまでもわたしの心の中に生きている。

生きてこそ。



ご観劇誠に有り難うございました🌸🕊✨




久城はる役

井坂 茜