アトリエ・フロール(株)写眞研究課

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写真家・花井雄也がお送りする、写真ブログ。商品写真から赤外線写真・ピンホールカメラなどマニアックな写真まで、多様な作品を掲載しています。
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オールドレンズ通の間では有名なドイツの銘レンズがラインナップされている「デッケルマウント」という、一般的にはあまり聞き慣れないマウントのレンズです。

現在のカメラマウントはメーカーごとに違うマウントを採用していますが、1950年代にドイツミュンヘンのフリードリヒ・デッケル社というレンズシャッターメーカーが開発した、メーカー間を跨いだマウントになります。

具体的には

Kodak Retinaflex、Retina IIS,、Retina IIIS

Voigtländer VitessaT、Bessamatic、Ultramatic シリーズなど

レンジファインダーから一眼レフへの時代の転換期に登場しました。

 

しかし当初の目的であった共通マウント化は、各社識別爪を付けたため実際には他社間での共用は出来なかったそうです。(ちなみに私はやったことありませんが、識別爪を削ると、他社カメラでも機能するらしいです。)

仕組みとしては、シャッター・絞り制御は本体側でコントロールし、レンズ自体はピント操作のみというものです。絞り自体はレンズ側に入っていますが、絞りリングは本体に付いており、レンズのみではコントロール出来ない仕様です。

 

 

今回ゲットしたのは1968年発売のKodak Instamatic reflex。

絞り優先AEの126フィルムを使用する26×26mm正方形フォーマットのカメラです。

電池で作動するのですが、電池室蓋のロックが壊れており、さらに肝心の126フィルムは廃盤しているので、本体はもはや利用価値が無いと言ってよいでしょう。

ちなみに本体付きで7,000円程度でした。最近はミラーレスのおかげでオールドレンズも平均価格が上がっていますね。。。

 

レンズは天下のシュナイダーがついています。

デッケルマウントはマウント自体が小さいので、大変緻密な作りです。

被写界深度表示もついており、近代的な設計がなされています。さすがドイツの工業力。

 

清掃のために軽く中を開けてみましたが、ギミックがたくさん。

というよりこの手のレンズは、分解させないためにかわかりませんが、トラップがたくさんあります。

壊れているわけではないし下手に分解すると元に戻せなくなる可能性があるので、内部のチリを除去する程度に留めておきました。

 

デッケルマウント→フジFXマウントのアダプタもあるのですが、このデッケルマウントレンズは最短撮影距離が長いものが多く、寄れないレンズばかりなので、ヘリコイドを噛ませたいところ。しかしデッケルマウント→フジFXマウントでヘリコイド付きの製品はありません。

そこでDKL→ヘリコイド付きLM→FXと、アダプタを2つ噛ませることにしました。

デッケルは比較的フランジバックが長いので可能になりました。

 

早速実写。

 

まずは開放(F2.8)。若干にじみが出るものの、さすがの描写です。

 

色乗りはこってり系でありながらしつこくない。

グリーンの出方がとても良く、今回の被写体とぴったりでした。

 

前ボケも綺麗に出ました。

 

もう2020じゃないですが。オリンピックはどうなるのでしょうか。。。ほんとにやるの??

 

ヘリコイドをつけたので元々の最短撮影距離0.9mよりずっと寄れるようになりました。

30cmくらいまで寄れます。但し、こんなに寄って撮ることは設計者からすれば想定外。

さすがに周辺は歪みが出ました。そしてボケがうるさい。

 

少し絞ってF8にするとかなり落ち着きました。

 

こちらはRAW現像段階で周辺光量を落としております。

近接撮影でもピント面はとてもシャープに写ります。

 

ちょっとぐるぐるボケっぽいです。

X-Pro2はAPS-Cサイズなのでクロップされていますが、フルサイズで撮影したらさらにぐるぐるしそうですね。

 

 

やはりドイツの名門レンズメーカーの写りはさすがでした。

レンズの作りも良く、レンズ自体も小型なので常用レンズとしてかなり利用価値が高いです。

逆光性能をチェックしませんでしたが、なにぶん古いレンズですので、今後レンズフードを探してみたいと思います。