パリ旅行の続きです

今回の旅の目的の一つは場所、ル・コルビュジエの建築を訪れる事でした。

スイス生まれで、フランスを中心として活躍した近代建築の父と言われているル・コルビュジエ、
私が日本に帰国してすぐに、コルビュジエ建築の東京上野の西洋美術館を含む
世界7カ国、17作品が世界文化遺産への登録が決定になったというニュースが!


今回のパリではその中の2つの建物を見てきました。

まずは、コルビュジエ財団の本部にもなっているパリの高級住宅地に建つ1923年施工の
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸へ

コルビュジエの兄と銀行家でキュビズム絵画収集家のラ・ロッシュのために作られた、いわば二世帯住宅の様な建築。

ここからコルビュジエ建築の「白の時代」が始まったと言われています。


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ラロッシュ=ジャンヌレ邸へ

エントランスに入ると2ndフロア(日本の3階)の天井までの吹き抜けがあり光が入り開放的な空間

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外観
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湾曲した壁に沿った滑らかなスロープ

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壁に水平な連続した窓と
建物を支える柱(ピロティ)

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ミニマムで最小限の造り
壁一面の窓と渡り廊下。
柱を内側に入れる事により、壁一面に水平な窓が作れ、続いている事により開放感があり光も入り、住民は変わりゆく景色を生活の中に感じられる。

建設当時のパリは窓が少なく石造りで装飾の多いアールヌーボー建築やゴシック様式の建物ばかり

そんなパリの高級住宅街の中に、コンクリート製のこんなにシンプルモダンなデザインの建物が。
さぞかし当時の人たちは驚いたことでしょう。

住まう人に語りかけてくるかのような華美な装飾は一切なく、
シンプルな作り付けの家具も便利そうで建物内に溶け込むデザイン。


ラロッシュ=ジャンヌレ邸は
「住宅は住むための機械である」というコルビュジエによる有名なマニフェスト通りの建物でした。

コルビュジエによる「近代建築の五原則」
この建築理論こそが、近代建築の大もととなり、現代でも建築を学ぶ人の基礎となっているそう。
ちょっとお勉強の様になってしまいますが、写真を見ていただくのに近代建築の五原則を。
  1.ピロティ  一階部分の柱により出来る空間
 2.屋上庭園   3.自由な平面  4.柱を内側に入れる事によって可能になる水平な連続窓  5.自由な立面

この五原則に合わせ、
四隅の柱を床でつなぎ、上下、左右に自由に広げ階段で組立て、連続して自由な平面の空間を得られる「ドミノシステム」も発案。
このシステムにより、強度を保ったまま何階までも造り上げられる建築が可能となり、高層のビルなどが建てられる様に。


ドミノシステムと近代建築の五原則その全てを用いて建てられた
コルビュジエ建築を代表する建物、1931年竣工のサヴォア邸へ
パリの中央から電車で40分くらいゆられてPoissyという駅で降り、バスで15分位で到着。

電車に乗る前にパン屋さんでおやつを購入。

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選べない位たくさんの種類!全部おいしそうでした。
車内で外の景色を見ながらほおばりました。
郊外へ抜けるとパリの街とは違った緩やかな住宅街。

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サヴォア邸に到着!

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車の時代を見越してコルビュジエが発案した一階部分に自由な空間ができるピロティ

その上に浮かぶような印象の均等な面が囲む規律的な立体

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屋上庭園と連続水平窓


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自由な平面

内部は外壁の白とはうって変わり、部屋ごとに綺麗な淡い色壁に
コルビュジエはキュビズム絵画(抽象的で幾何学的な作風)を好み、自らも制作していました。

無機質で規律的な外観の建物の中に
カーブやスロープを用いて一見不規則な形状の部屋を造り、部屋ごとの内壁の色彩と窓からの光を操るところにコルビュジエの芸術家としての詩的な部分を感じました。
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スロープはここにも
このスロープがあるだけでなんだかとても特別感が。
船の上にいるような空間。
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上下を繋ぐ螺旋階段
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コルビュジエデザインの車の画集。
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装飾のないシンプルな暖炉

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淡いアプリコットピンクの内壁


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寝室から続くバスルームには壁も扉もなくカーテンのみの開放的な空間。
水辺を感じさせるような美しい水色のタイル
淵には横たわれるカウチの様な場所も


この不規則な波状のシルエットを見て思い出したのが、コルビュジエと家具デザイナーのシャルロット・ペリアンが生み出し、今はカッシーナなどで取り扱っている高級家具
LC4 シェーズロング
もしかしたら、このバスルームのカウチ部分から抜粋して形にしたものかも知れないなぁと感じました。


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入り口には後から建てられたのでしょうが、こんなに可愛いプチサヴォア邸が。
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建物自体はそんなに大きくは無いのですが、広大な土地の林の中に覗く、規律的で繊細なサヴォア邸の姿がとても美しかったのが印象的でした。

このコルビュジエの考え出した建築をかわきりに、世界中のどこの場所でも機能的な材料である鉄とコンクリートを使用した建築が普及し、システマティックに建築も工業化されていくのです。

近代建築5原則とドミノシステム、
工業化に向けた材料での建築、これがル・コルビュジエが起こした建築のイノベーション(革新)となるのでしょう。

今回の旅の前に、コルビュジエ建築が文化遺産に推進されたのを知りました。
幾度となく推進されてはなかなか認定に至らなかった経緯を持つコルビュジエ建築

実際に建築を訪れて調べて、なぜコルビュジエの建物が文化遺産になるのか?を紐解く事が出来た気がしました。

この究極のモダニスト、コルビュジエの哲学が熟し、晩年に全く異なった曲線ばかりの有機的なフォルムの作品を残していてます。
今回同時に世界文化遺産になったフランスとスイスの国境側にあるロンシャンの礼拝堂へもいつか訪れてみたいです。



パリの旅、のんびりペースの更新ですが文章をざっくりと書くのが苦手で、今回はかなり長文でしたが、読んで下さってありがとうございます。

パリ旅行は次回が最終回の予定です!