親育てられ日誌-IMG_8233.jpg


むかしむかし水晶を見つけた人は氷の化石だと思ったという話を聞いた事がある。


虹の消えたロシレムを氷と共に積んで涼を楽しんだ夏。


ブルームーンの夜。


お向かいの家の猫がとうとう脱走した。

若いお兄ちゃんの飼い猫。

彼女の家に入り浸っている様で、ほぼ帰って来ない。

いつも窓から顔を覗かせ、ニャーニャーと鳴く猫。

暑い日が続く中、窓は締め切られ、実質一匹暮らしの監禁状態だった。


やはり飼い主のお兄ちゃんも不憫に思ったのか、とうとう窓を少し開けて、また姿を消した。


「おかーしゃん!!ねこちゃんでてきたよ!!」


ややこが窓の外を見ながら私を呼んだ。



親育てられ日誌-120831_213645.jpg


「おぉ!!でかした!!」


外の世界を知るのも良い事だと親子で喜んだ。



親育てられ日誌-120831_210944.jpg


ブルームーンの夜が初めての夜だなんて、何だか素敵だ。


翌日、ややこを保育園へ迎えに行く前、猫が挨拶をしに窓から出て来て、

私の足に纏わり付いた。


「昨夜は楽しかったかい?」


足に纏わり付く猫を撫でると、このこの不安定さが伝わってきた。

その矢先。



ガリッ!!!!



と、音がする程の力強さで手の甲を噛まれた。


猫が私の手を解放するのを待ちながら、

これが ややこ や 小さな子供でなくて本当に良かったなぁと、呑気に思った。

そして、動物に同情は禁物なのに、悪い事をしてしまった…と反省しつつ、手から猫が離れると同時に毅然とした。


猫は「マズかった!?」と言わんばかりに怖ず怖ずと離れ、スルリと窓の隙間に消えてった。



流れ出る血と共に流水で傷口を流し、ややこを迎えに行き、


ご近所さん達の御協力の元、病院へ向かう道中に可笑しくて一人、傷を撮ってみる。



親育てられ日誌-120901_181317.jpg



病院で溜まった血を絞られるが、

ご近所の舞子さんがYLのオイルを惜しみ無く付けてくれたおかげか

既に血は固まりつつあった。


先生は躍起になって傷口にメスを入れたりして、

あれこれ頑張ってくれたので


親育てられ日誌-120901_211946.jpg


その夜は更に腫れた様に感じた。



それでも、電灯に勝るくらいの月の輝きが


親育てられ日誌-120901_200901.jpg


子供達を守った気分にさせ、私を満足感に満たした。



その何日か後、母から石がいなくなったと連絡が来た。

5月の母の誕生日と母の日を兼ねて送ったガイアストーン。


親育てられ日誌-600x450-2011012000003.jpg


母は何でも喜ぶタイプではない。

が、この石は確実に気にいると感じたし、

現にとても喜んでくれた。

ご覧の通り、H&E社のもの。


朝から晩まで働き、スキルス性のガンで余命僅かと宣告されたM本氏に連れ添う母にとって、とても心強い味方になってくれていたようだ。


仕事中のイライラが軽減されて気持ちにゆとりが出来た…等など、母はガイアストーンを愛おしんでいた。


調子の良い日が続いていたが、ある日、体の調子がどうしようもなく悪く、不調の為か酷くイライラもしていたそうで、

その日の仕事終わり、着替えているとガイアストーンを通していたシルクサテンコードだけがハラリと落ちてきて、ガイアストーンは何処にも見当たらなかったそうだ。

シルクサテンコードは切れていたわけではなく、

何重にも固く結んでいたはずが、全てキレイに解けていたらしい。


職場の何処からもガイアストーンは出て来ていない。



「身代わりになってくれたんだね~」


そう、残念がる母をなだめた。




しばらくして、ロシレムを譲ってくれた うさこふさん と また連絡が取れるようになった。


虹が消えてしまった事をお詫びしたり、鉱物のお話や、新たに譲って頂く石のやり取りをしていたある日、

今度は彼女からプレゼントして頂いたドゥルージークォーツのペンダントヘッドが消えてしまった。

とても美しいドゥルージークォーツは埃が付くと嫌なので、箱にしまったまま、時折、蓋を開けてはその美しさを楽しんでいた。


他にも石は沢山あるのに、ややこ はドゥルージークォーツがお気に入りで、その日、

ぬいぐるみとドゥルージークォーツで遊び、寝かしつけた後、

ドゥルージークォーツだけが忽然と姿を消した。


ややこ は石でよく遊ぶが、小さなものでも石は大概無くならない。

姿を隠しても必ず気配がする。

なので無くなる事はない。


が、ドゥルージークォーツのペンダントヘッドは気配ごとスッポリ姿を消してしまい、何処にも見当たらない。



これまた、うさこふさんに詫びねば!!と、申し訳なく思っていたら

彼女が大怪我をしたと知った。


「ロシレムの虹が消えたとの事…くれぐれもお身体にお気をつけ下さい!!」


ロシレムの虹が消えた事を報告した際に、彼女はそう私に言った。


確かに!!

私は猫に噛まれた。


けれど、私にとって、それは災難だと感じていなかった。

もしあれが ややこ だったらと思うと、ゾッとする。

噛まれた事に驚いて手を引いたならば、小さな子の柔らかい肌であれば確実に肉が引きちぎれる。

そんな強さだった。


悪いのは猫ではない。


いつも人がそうさせるのだ。



いずれにせよ、大好きなロシレム自体が消えてしまわなくて良かった!!!


そう、満足して、今もここにいてくれる事に感謝した。



そして、私の妊娠がわかった。


ややこ を産んだ後、

「普通に妊娠出来るのは、確率で言うと5%程度ですね。ただ子宮外妊娠の確率が高いですから、子供が欲しければ体外受精がいいでしょう。その時は相談に来て下さい。」

そう言われ、大学病院を後にした。


私には子宮が二つある。

入口からスッパリと分かれている。

この度、使っていない子宮で妊娠した。

曰ば、処女な子宮に子が宿った。


きっと学術的に説明は付けられる。

が、再度お世話になる事になった大学病院の先生も不思議がりながら諸説語った。



何を言われようと右から左へすり抜けた。

もう二度と経験する事がないと思っていた奇跡をまた経験する事が出来るのだ!!!


私を選んで命が降りてきたのだから。



ただただ心が煌めいた。



ややこ とのお風呂タイム。

我が家はたいてい石も一緒にお風呂に入る。

その日、湯に浸かりながらロシレムを眺めていたら何だか様子が違って感じた。


もしかしたら…


そう感じた。


翌日は雨で暗かった。


が、煌めきを感じてロシレムを手に取った。


!!!!!!!!!!!!



親育てられ日誌-121023_102804.jpg


以前に確実にそこにいた同じ場所に

うっすらと虹が見えた。



もしかして!!!


もしかして!!!!!



「わぁ!!!おかえりなさい!!!!おかえりなさ-いっ!!!!!」


ただただ嬉しくて、ロシレムを握って雨の中に出た。



親育てられ日誌-121023_110208.jpg



うっすらとだが、確実にそこにいる。


夏には全く見当たらなかった虹が。


嬉しくて、雨の中、一人大喜び♪


傍から見れば非常に奇妙だ。


が、そんな事にはおかまいなしに喜んでいると、


それに応えてか、次第に虹が色濃くなっていく。



親育てられ日誌-121023_110347.jpg


少しずつ、煌めき始めた。


親育てられ日誌-121023_110547.jpg


外に出ているからかと、再度家に入り確かめる。



親育てられ日誌-121023_111527.jpg


初めに家の中で虹を見つけた時より

確実に輝いている!!!


そうして、色んな場面で虹を確かめた。



親育てられ日誌-121023_150406.jpg


ひっくり返しても確認出来る程になった!!!



そうして、みるみる輝きは増し、


完全に虹は帰ってきた。



親育てられ日誌-121025_103258.jpg


今はこんなにも輝いている♪



虹が見えなかったのが、まるで嘘のように。



なんともキツネにつままれた気分だ。



そういえば、虹が戻る前、何度も空に虹を見た。

それはうっすらと

すぐに消えてしまう虹ばかりだったが、そのタイミングに出会えて良かったと、その度に思った。


今の今まで、空に虹を何度も見た事を忘れていたのに、ふと思い出されたのは、

そっと示された合図だったからだろう。



石自体が消えたり、石の中の虹が消えるのは不吉やトラブルの合図かもしれない。


が、私はそうは思えない。


ほったらかしの猫に噛まれても破傷風にならずに済んだのは消えた虹のお陰かもしれないし、

虹が消えるのはトラブルの予知だとか

石が消えたのは身代わりになってくれたとか

とにかく石が守ってくれたとか


捉えようはいくらでもある。




私はロシレムの虹が新しい命を迎えに行き、連れて来てくれたのだと信じたい。


石自体が消えたのは新たな幸せに生まれ替わったのだと信じたい。



不吉を予知するのではなく、幸せを連れに行ったのだ。



現に、ほら。



親育てられ日誌-121101_151415.jpg


私は母に新しい相棒を見つけた★





奇跡と思える沢山の事を見せてくれたのは

愚かな私に今一度確認させる為に違いない。


不思議と思える事が奇跡などではない。


既にそこにいる事が奇跡なのだ。


今そこに存在する全てが奇跡によるものなのだ。



なんてことないと感じる日々の一瞬一瞬が奇跡で出来ている★