補 巻

月光之巻 62帖~55帖

58帖 


春が来れば草木に芽が出る花が咲く。

秋になれば葉が枯れるのじゃ。

時節よく気をつけて取り違いせん様に致してくれよ。

時節ほど結構なもの無いが、また、恐いものも無いのであるぞ。

丁度呼吸の様なもので一定の順序あるのぞ。

吸の極は呼となり、呼の極は吸となるぞ。

これが神の用(はたらき)であるから、神の現われの一面であるから、神も自由にならん。

この神も時節には敵(かな)わんのであるのに、そなたは時々この時節を無視して自我で、あるいは時節を取り違いして、押しまくるから失敗したり怪我したりするのじゃぞ。

素直にしておれば楽に行ける様になっているぞ。

時待てば炒(い)り豆にも花咲くのであるぞ。

水が逆に流れるのであるぞ。

上下でんぐり返るのであるぞ。

上の人が青くなり、下の人が赤くなるのであるぞ。

取り違いせぬ様、理解して下されよ。