第55回 杉並区阿佐谷北で藤井達吉 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール・・・と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??

気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!

 

 

「工芸家が同時にそれ自身が画家でもあり、建築家、彫刻家でもある」

 

そんな言葉を残した“近代工芸の先駆者”藤井達吉(1881~1964)

その故郷である愛知県碧南市には、

碧南市藤井達吉現代美術館が存在しています。

それゆえ、愛知県では知られた芸術家でありますが、

関東圏においては、2014年に渋谷区立松濤美術館にて、

大規模な回顧展が開催されてはいるものの、そこまで知名度は高くないような。

 

その藤井達吉の名に由来する蕎麦屋が、阿佐ヶ谷にあるらしい。

そんな気になる情報を聞きつけ、早速、お店に足を運んできました。

 

 

 

その名も、手打ち達吉です。

なぜ、藤井達吉の名を店名に付けたのか?

その答えは、お店の公式HPにちゃんと記載されていました。

 

 

 

当店の店名の由来は、

店主の曾祖父にあたる近代工芸の先駆者、

『藤井達吉』から頂いたものです。
一人でも多くの方に『藤井達吉』を知って頂くきっかけになればと思い店名にしました。

 

 

とのこと。

なんと、ひいおじいちゃん孝行なひ孫なのでしょう!

 

ちなみに。

工芸家としてマルチな才能を発揮した藤井達吉。

そのDNAは確実に受け継がれているようで。

「季節のおすすめ」を紹介する看板が、なんとも工芸的でした。

 

 

 

また、前衛的な活動を展開し、

「自由な工芸」を目指したという藤井達吉。

そのDNAも確実に受け継がれているようで。

メニュー表の『本日の蕎麦』のページには、

 

 

 

レゴで作られたと思われる日本地図が掲載されていました。

他の蕎麦屋とは一線を画した、「自由なメニュー表」です。

 

 

 

と、手打ち達吉の工芸(?)や、

グラフィックデザイン(?)の才能はわかりましたが、

肝心のお蕎麦の味は、どんなものなのでしょう?

数分後、注文した田舎そばが運ばれてきました。

 

 

 

見た目にも美しく、角がきっちり立っています。

まずは、そばつゆを3分の1だけつけて食べてみました。

 

「んまっ!」

 

蕎麦の香り、歯ごたえ、のど越し。

どれをとっても完璧です。

続いて、そばつゆをしっかりつけて食べてみます。

 

「最高っ!」

 

甘味のあるタイプではなく、

しっかりと辛味の効いたタイプのつゆ。

それだけ舐めると、若干塩辛かったですが、

お蕎麦と一緒に食べると、ちょうど絶妙な塩梅に。

蕎麦自身の甘さが引き立つそばつゆでした。

 

なお、お蕎麦を完食した後は、

そんなそばつゆに、蕎麦湯をイン。

 

 

 

「えっ!うま~っ!」

 

人生で飲んだ蕎麦湯で、一番美味しかったです。

なんなら、感動という意味では、

蕎麦よりも、蕎麦湯のほうが勝っていたかも。

ともあれ、美味しいお蕎麦をご馳走様でした。

 

ちなみに。

 

 

 

店内にはちゃんと、藤井達吉のものと思われる作品がありました。

展示ケースに入れられ、ちょっとした美術館のよう。

 

お蕎麦屋が同時にそれ自身が藤井達吉美術館でもある。

それが、手打ち達吉です。

 

 

<お店情報>
手打ち達吉

住所:東京都杉並区阿佐谷北2-15-4 大和阿佐谷ビル 1F
定休日:水曜日
営業時間:12:00~14:30、18:00~21:30




美術ブログ界の巨匠になるべく、ランキングに挑戦しています
Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ