サイエンス誌9月22日号に、大人が失敗にくじけず努力すれば、幼児も何度も挑戦するようになる、という興味深い論文が紹介された。Infants make more attempts to achieve a goal when they see adults persist、というタイトルで、大人が失敗をしてもあきらめずに目標達成を何度も試みる様子を見た幼児は、自らが難しい試練に直面したときにめげずに頑張る傾向が強い、という報告だ。
この研究結果は、幼児が手本として大人から忍耐力を学んでいる、他人の粘り強さを観察することによって振る舞い方までも学習しているのだという。児童では、最初に失敗してもあきらめないことを学べば、後の人生で成功する確率が高まるという研究成果はあるようだが、幼児が大人から「不屈の精神」を学んでいることを確認したのは画期的だ。
研究者らは、生後15か月の数人の子どもに、大人が30秒間奮闘し、その結果、容器の蓋を開けたり、キーホルダーからおもちゃを取り外すことに成功したグループ、大人が何の努力もせずに10秒以内で成功したグループ、大人の行動は何も見せなかったグループを見せた。その後、ボタンを押して鳴らないおもちゃのオルゴールを鳴らす、という難しい課題を幼児に与えたところ、大人が奮闘の末に成功したのを見た幼児グループは、努力しなかった大人を見た幼児グループに比較して、イライラしても努力を試みる回数が多かったという。
ようするに、大人は子供の背中を見ているということ。電車の中で泣く子供より、大人たちはどうなのか。年上を敬う、弱者をサポートする、などの行動が大人にできているのか。
会社でも同じ。若い子は耐性が低い、とか、努力しない、とか、全て先輩たちの所作を観て、引いていえば経営陣の姿勢の結果だと確信した。
日本の未来を託す子供たちを生かすも殺すも大人次第?
会社の未来を生かすも殺すも経営陣の姿勢次第?
原文アブストラクトは、
http://science.sciencemag.org/content/357/6357/1290