「私が菅政権を許せなかった5つの理由」松木謙公政務官 (日刊ゲンダイ2011/2/24)

菅に辞表を叩きつけた松木氏を直撃

凄まじい勢いで菅政権の自壊が始まった。きのう、松木謙公農林水産政務官が辞表を叩きつけたのである。

松木は小沢側近議員のひとりだが、16人の会派離脱願に続く動きに、官邸は衝撃を受けている。松木氏を直撃した。
「辞表は自分で出せというので、きょう官邸に持っていきます。辞任を受け入れずに罷免という話もあるようですが、どっちでもいい。辞めるのにかわりはないわけですから」

松木は淡々と語ったが、その裏には凄まじい怒りがあるようだ。松木が辞任の理由として挙げたのは、5つだ。
「私に言わせれば、マニフェストから逸脱しているとしか思えない。TPPも突然持ち出し、何の議論もないまま、推し進めようとしている。消費税も4年間は無駄の排除で頑張ろうということだったのに、政権交代後たった1年5カ月で、増税を既成事実のようにやろうとしている。取り調べの可視化法案も民主党は野党時代に法案を出し、参院では2度可決し、衆院で否決された経緯がある。それなのに、ワーキングチームの議論を見ていると、どんどん後退しているじゃないですか。
こういうやり方にもう耐えられなくなったのです。(小沢シンパの)私が辞表を出すと、すぐに政局がらみの動きにみられるが、政局と政策は表裏一体なんですよ」

加えて、松木が怒ったのは、あまりに傲岸不遜な執行部の態度だ。
「政権運営はつらいと思いますよ。でも、参院選で負けた一秒後には予算が通らない可能性があることに気づくべきで、それを打開するために執行部は最大限の努力をすべきなんです。それなのに、何もせずに、あたかも審議に応じない野党が悪いような言い方をする。お門違いでしょう。しっかりしなければいけないのは与党でしょう。ついこの間も、国対から予算関連法案が通らないとこうなるゾということを関係団体に伝えてくれと言われた。脅しにとられかねません。私は丁重に伝えてくれ、と言いましたが、執行部は勘違いしているんです」

さらに、行動を起こさせたのが小沢に対する党員資格無期限停止の処分である。
「人間としてどうなのか。党員資格停止は最大で6カ月ということに決まっているのに、勝手に新ルールを持ち出してくる。まったく納得がいきません」

慎重に言葉を選んだ松木だが、もちろん、これは菅降ろしの二の矢とみるべきだ。今後も松木に続く副大臣、政務官の辞任が相次ぐ可能性がある。現在、小沢系の副大臣らは内閣府副大臣の東祥三、国土交通副大臣の三井辨雄ら8人に上る。
彼らが一斉に辞めれば、菅内閣はアウトだ。ドラマチックな形での幕切れが近づいている。



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