ついに鳩山内閣末期以下の支持率へ 瀬戸際でも政権を握る菅首相「退陣の可能性」

田中秀征 政権ウォッチ
(DIAMOND online 2011年2月24日) http://p.tl/Ni0e

 週明けの2月21日、複数のメディアが世論調査を発表した。

 数字はまちまちだが、内閣支持率は一段と低落傾向を強めている。

■1ヵ月で内閣支持率は約10ポイント低下鳩山内閣末期と同水準かそれ以下に

 各社の調査を総合的に読み取ると次の点が指摘できる。

(1)内閣支持率はついに10%台まで落ち込んだ。なかにはかろうじてぎりぎり20%にとどまったものもある。

(2)いずれの調査も、前回(1月)と比べて落ち込みの幅が大きい。

 毎回新聞調査は、前回の29%が19%となり、10ポイントも低落した。なかには13ポイントの低下(テレビ朝日)もあるから、おおむね10ポイント前後の低落と言ってもよい。

 それにしても1ヵ月で10ポイントの低下は異例のこと。なぜならこれがあと2ヵ月続けばゼロになってしまうからだ。

(3)この支持率19%という数字は、末期の鳩山由紀夫内閣と同水準で、それ以下の調査結果もある。

 要するに、鳩山前首相が退陣したときと同じかそれ以下の支持状況に至ったのだ。毎日新聞調査では、鳩山退陣時の支持率は20%だった。

(4)早期解散論が強まっていることも各調査で共通している。

 毎日調査でも解散・総選挙を「できるだけ早く行うべきだ」という回答が60%に達した。

(5)小沢一郎氏の処遇について世論は相変わらず厳しいが、それが内閣支持率の動向に大きな影響を与えているようには思えない。

 多くの人は、小沢問題と菅政権の評価を次第に切り離して考えている印象を受ける。

(6)16人の民主党議員が会派離脱届を出したことについては世論の評価は厳しい。

 朝日新聞調査では、「評価しない」人が69%に上っている。

 総じて世論は、小沢氏に対しても反菅行動に対してもきわめて厳しいが、そのことが菅首相のプラスともなっていないのだ。

■公明党との連携はほぼ不可能により追い詰められる菅首相の今後

 最近、菅首相は衆議院の解散をちらつかせる言動が多くなっている。小沢系と言われる人たちが最も解散・総選挙を恐れていると思っているからだろう。

 だが、そんな政治状況も大きく変わる可能性がある。

 もしも、愛知・名古屋で圧勝した大村、河村コンビが原口一博前総務相などと組むことにでもなれば、菅首相に批判的な人たちの強力な結集軸となるだろう。そんな動きから小沢氏が距離を置いて見守るなら、大化けする可能性もある。

 菅首相の頼みの綱は依然として公明党との連携だが、その可能性もほとんどない。

 統一地方選が終われば、連携の可能性は出てくると考えるのはいかにも甘い。

 公明党は統一地方選が近づくにつれて一段と菅政権との対決姿勢を強める。また、選挙戦を通じてメディアから民主党政権との連携の可能性について厳しく確認される。

 すなわち、予算関連法案の採決が統一地方選後に先送りされたとしても、「選挙後に予算関連法案にどう対応するか」、あるいは「菅首相が退陣すれば民主党政権に協力することもあるのか」等である。

 菅首相はいよいよ瀬戸際まで追い詰められている印象が否めない。