水谷建設「裏ガネ」の追及で大空振りしたブザマな特捜検事 (日刊ゲンダイ2011/2/25)

石川議員裁判で明かされた詳細

きのう(24日)東京地裁で開かれた小沢一郎元秘書の石川知裕衆院議員(37)の被告人質問。計5時間以上に及んだ弁護側の質問で浮き彫りとなったのは、地検特捜部の「最初からシナリオありき」の強引な取り調べと悪あがきだった。
「やましいカネだから隠そうとしたんだろ!」――。石川議員が最初に任意の事情聴取を受けた09年12月27日。担当した田代政弘検事はハナから、水谷建設からの裏ガネ追及一辺倒だった。

小沢捜査の扱いが、単なる政治資金報告書の虚偽記載でなく、裏ガネ疑惑だったことがうかがえる。
いくら石川議員が複雑な土地購入資金の流れを説明しても、聞き入れない。「この事件は、(小沢本人に累が及ばないように)アンタがどう収めるかだ」「アンタが認めないとオレたちは何でもできるんだ」と特捜部の“怖さ”を植えつけていった。
逮捕後も田代検事は小沢の自宅や事務所へのガサ入れ、小沢本人や小沢の妻への事情聴取をにおわせつつ、特捜部の筋書き通りの供述調書にサインさせていった。しかし、裏ガネ授受だけはかたくなに認めない。その理由について、法廷で終始、緊張気味だった石川議員はこう証言した。
「さすがに、まったく実態のないものは検察の筋書き通りには説明しきれない」

10日間の勾留延長が決まった頃から、特捜部は焦り出す。
取り調べに吉田正喜・元副部長を充て、1週間昼夜なく裏ガネ授受を認めるよう迫った。時には別件の“贈収賄事件”の供述調書を作成し、「こんな事件はサイドストーリーだ」と石川議員の目の前で破り捨てるパフォーマンスまで演じ、「裏ガネを認めろ」と誘導したという。
それでも、石川議員は落ちない。とうとう特捜部は裏ガネ事件をあきらめ、小沢の虚偽記載への関与を強める方向に軌道修正を図った。
吉田検事の取り調べの合間に前出の田代検事が顔を出し、「オレと親しい検察上層部が『小沢の起訴はないから』と言っているから」と甘いささやきを加え、より小沢の関与が色濃い調書にサインさせていった。

こうして出来上がったのが、石川議員が小沢への報告と了承を大筋で認める調書だ。
調書を書き上げた田代検事は「上司から、小沢のセリフが『おお』と『分かった』しかないと言われたので、別のセリフを語っている調書も取らせて」と石川ににせがんだこともあったというから、もうメチャクチャだ。
石川議員への被告人質問は、きょうも続く。



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