オザワの罠


(THE JOURNAL:田中良紹 2011年3月2日)http://p.tl/24mi


 2月28日、笠間治雄検事総長が日本記者クラブで会見し、「特捜部に起訴権限を与えないことを検討している」と述べた。「警察が取り扱う事件は、検察が第三者の目で見て冷静に起訴の判断をするが、特捜部は自分で捜査して自分で起訴するお手盛りだから暴走しやすい」というのである。


 特捜部の主任検事の補佐役に特捜部以外の検事をつけて起訴の可否を判断させることなどを内部で検討しているようだが、密室の取り調べで強引に供述を誘導し、起訴に持ち込んできた特捜部の体質を見直す一環として述べられた。直接のきっかけは厚生労働省の村木厚子さんが無罪になった郵便不正事件だが、私はそれよりも「オザワの罠」が生きてきたと思った。


 09年3月の西松建設事件は不思議な事件だった。私が知る検察は世論の動向を慎重に計算する捜査機関である。特に政治に関わる事件では非難されないよう十分に配慮した。だからロッキード事件をはじめとして数々のでっち上げに国民は騙されてきたが、民主国家の検察としては選挙や国会に影響を与える時期の捜査は避けるのが常識で、政治的偏りも許されない。そういう点にこれまでの検察は留意してきた。


 ところが東京地検特捜部が西松建設事件で小沢一郎民主党代表の大久保秘書を逮捕したのは、政権交代がかかった衆議院選挙の直前である。村木さんが無罪となった大阪地検特捜部の郵便不正事件も石井一民主党副代表をターゲットに同時期に摘発されていたが、二つともまず時期が問題だった。

 次に西松建設と密接な関係があるのは自民党議員に多いのに、逮捕されたのは小沢氏の秘書だけである。しかも容疑は逮捕に相当するとは思えない微罪であった。それが検察首脳会議も開かずに決められたと言う。半年以内に最高権力者になる可能性がある政治家の捜査を首脳会議も開かずに決めることなど民主国家ではあり得ない。民主国家でなくとも官僚のイロハがひっくり返る話である。


 検察の常道を外してまで行う捜査は尋常でない。政権交代を阻止したい政治勢力に主導された政治捜査だと私は見た。そうだとすると検察にこの事件を立証する気がない可能性がある。政権交代を阻止したい勢力の目的は小沢氏の政治力を削ぐことで、有罪に出来なくとも一定期間身動きがとれない状態に追い込めれば目的は達成される。


 それに協力した検察は、逮捕という強硬手段で世間に「悪」の印象を植え付ける一方、小沢氏に恐怖感を与えて代表辞任に追い込むシナリオを書いた。「代表さえ辞任すれば起訴はしない。しかし辞任しなければ徹底的にやるぞ」というメッセージが逮捕に込められていると私は思った。選挙直前であるからこの「脅し」には効き目がある。だから捜査の常道を外してでも選挙前の摘発になった。

 明治以来「政治とカネ」に洗脳されたこの国では、「検察は正義」という迷信を信ずる馬鹿者が大勢いる。捜査を主導した勢力の思い通り、メディア、国民、政治家から「けじめをつけろ」の大合唱が起きた。小沢氏の周辺からも「一時撤退しろ」との進言が相次いだ。普通の政治家なら選挙のことを考えて「一時撤退」する。しかし小沢氏は「徹底抗戦」を宣言した。それが私の言う「オザワの罠」である。検察に起訴させるよう仕向たのは小沢氏なのである。起訴したのを見届けてから小沢氏は代表を辞任して選挙に備えた。


 この一手で形勢は逆転する。有罪にする材料がないにもかかわらず起訴に踏み切った検察は逆に追い込まれた。政治家が絡む事件で起訴して有罪に持ち込めなければ、検察が受けるダメージは計り知れない。大阪地検の郵便不正事件では検事総長の責任問題にまで発展したが、仮に西松建設事件で大久保秘書が無罪になれば、それと同等かそれ以上の問題になった筈だ。


 検察に西松建設事件の裁判を「先延ばし」する必要が生まれた。それから検察は必死に小沢氏の過去に遡り、ゼネコン各社との関係を洗い始めた。大久保秘書の有罪に自信があればそんなことをする必要もないのだが、まさに泥縄である。そして水谷建設が秘書時代の石川知宏衆議院議員に裏金を渡したという真偽不明の供述にたどり着く。年が明けてそれが立件され、これまたやってはならない通常国会直前の現職議員逮捕となった。


 そこで共犯として大久保秘書が再び逮捕され、大久保秘書の裁判は訴因変更された。これが裏の狙いである。しかしそれがまた検察を追いつめる。今度は現職の石川議員を起訴した裁判で有罪を立証できなければ、西松建設事件以上のダメージを受けることになる。その裁判が現在進行中である。被告はいずれも供述は検事に強制されたものだとして無罪を主張している。裁判の行方は検察の存亡に関わる。


 さらに小沢氏を追いつめる別の問題が同時に検察をも追いつめている。検察審査会の強制起訴の制度である。検察が捜査して不起訴としたものを素人の国民が起訴できることになり、小沢氏が今年1月に強制起訴された。小沢氏の政治力を削ぎたい勢力には歓迎だろうが、検察にとっては不愉快だろう。


 検察官は唯一起訴の権限を与えられているから権力がある。しかし検察が証拠を調べて不起訴にしたものを、素人の国民は「裁判になったらどういう結論になるか見てみたい」という興味本位で起訴する。もし裁判で有罪にでもなれば、検察は無能集団のレッテルを貼られ、プライドはズタズタ、日本の司法は痴呆になる。


 しかしそれもこれも、起訴する権限を振り回して暴走してきた検察が、メディアを脅して手先に使い、国民を洗脳して「世論」を作り、その「世論」に裁判所が迎合してきた社会の仕組みのツケである。それが日本の政治を根底からおかしくしてきた。


 私はアメリカ議会を10年以上見てきたが、日本の政治家がアメリカと比べてとんでもなく駄目だと思ったことはない。政治家はみな似たようなものだ。ただ違うのは「司法」と「メディア」である。日本ほど国民の代表である政治権力より行政権力に迎合した「司法」と「メディア」はない。ところが国民は昔から「司法」と「メディア」を信じ込むように教育されてきた。それが日本の民主主義を阻んでいる。


 年初から今年を「創造的破壊の年」、「地殻変動の年」と書いてきて、世界の変化にも言及したが、日本で変化を余儀なくされているのは「司法」と「メディア」である。国民は政治の体たらくに呆れているが、それを正すにも「司法」と「メディア」に地殻変動を起こさせる必要がある。現下の情勢はそこに風穴を開けつつある。「政治」と「司法」と「メディア」の地殻変動は相呼応していくのである。


民主党、さらに「空中分解」 離党者は「河村シスターズ」


(J-CASTニュース 2011/3/ 3 18:58)http://p.tl/ghHB


民主党内で「菅降ろし」の動きが加速するなか、いわゆる「小沢系」議員の1人が、ついに離党届を出した。愛知1区選出の1年生議員、佐藤夕子衆院議員(48)。必ずしもメディアへの露出は多くないが、どのような人物なのか。


佐藤氏は2011年3月3日、岡田克也幹事長に離党届を提出し、河村たかし名古屋市長が立ちあげた政治団体「減税日本」に参加する考えを表明した。岡田氏は、離党届を受理せず慰留したものの、このまま佐藤氏が離党の意志を変えない場合、「除籍(除名)」処分にする見通しだ。


■09年夏の総選挙で初当選


佐藤氏は、幼稚園教諭や愛知県議会議員を経て、民主党が政権交代を果たした09年夏の衆院総選挙で初当選。だが、現時点の国会議事録を検索しても佐藤氏の名前はヒットせず、衆院議員としては必ずしもアクティブではないようだ。

佐藤氏は、小沢一郎元代表に近い1年生衆院議員でつくる「北辰会」のメンバーとして知られているほか、田中美絵子衆院議員(35)と同様、河村氏の秘書を務めていた時期もあり、いわゆる「河村氏シスターズ」のひとりでもある。初当選を果たした09年の衆院選では、河村氏の後継候補として愛知1区から出馬。当選後の議員会館の部屋も、河村氏の部屋を引き継いだ。


■県議時代も民主党内で「造反」


河村氏が一貫して「減税路線」をとるのに対して、岡田克也幹事長は「財源が明らかでないまま言うのは、人気取り以外の何物でもない」などと批判を強めていることから、佐藤氏は板挟みになっていた形だ。さらに、11年2月の名古屋市長選で、党執行部が河村氏の対抗馬を擁立したことも、佐藤氏が「造反」するきっかけになったものとみられる。


また、佐藤氏は、県議時代にも民主党内で「造反」したことがある。

民主党県議団は08年3月の県議会で、(1)政務調査費は3万円以上の領収書を公開(2)費用弁償は1万5000円から9500円に減額することで自民・公明両会派と合意。条例改正案に賛成するように党議拘束をかけた。ところが、佐藤氏は07年の県議選で、政調費の全面公開と費用弁償の全廃をかかげて自民現職を破って初当選していたため、「公約を守りたい」などとして採決の際に退席した。県議団は、「規律に反した」として佐藤氏を厳重注意処分したが、佐藤氏は「間違ったことはしていない」などと譲らなかった。

佐藤氏は、離党後は減税日本の1人会派を立ちあげる方針。減税日本は、次期衆院選では複数の候補者を擁立する見通しだ。


指定弁護士が裏金立証を断念 それでも長引く小沢裁判 (日刊ゲンダイ2011/3/3)


やっぱりショボイ事件になってきた。


民主党の小沢一郎元代表(68)を政治資金規正法違反の罪で強制起訴した検察官役の指定弁護士が、公判で、水谷建設の「裏金」疑惑の立証を“断念”したのだ。小沢裁判は今後、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(37)や元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)らとの「共謀」の有無が争点になる。

与党の大物政治家を起訴するホドの事件だったのか、改めて疑問になるが、大マスコミは「争点が絞られ、公判・判決はスピード決着」みたいに報じている。しかし、そんなに簡単に一丁上がりとなるだろうか。
確かに、常識的に考えれば、裁判はスムーズに進むだろう。指定弁護士は、公判中の陸山会裁判の検察立証を見限ったのだ。

「検察は陸山会裁判で、起訴事実と関係のない水谷建設の裏金立証に躍起です。その主張は、石川が04年10月15日に“受け取った”裏金5000万円を隠すために、政治資金収支報告書に虚偽記載したという内容。そのカネは、小沢が出した東京・世田谷の土地購入資金の4億円の一部になったともみている。一方で、検察は冒頭陳述で、4億円を受け取ったのは『04年9月ごろ』とし、石川の弁護側はこの時期を04年10月12日と説明。つまり、検察は石川が小沢からカネを受け取った後で“渡された”裏金を隠そうと虚偽記載した、というハチャメチャな論理なのです」(司法ジャーナリスト)

指定弁護士は、陸山会裁判の状況や捜査資料から改めて「裏金の立証はムリ」と判断したのだろう。


◆江田法相は検察審で擁護


絞られた争点の「共謀」立証も厳しい。
「そもそも政治資金規正法では、小沢に監督責任が生じるのは、石川や大久保に対して積極的に虚偽記載を指示し、働きかけた場合に限られる。それなのに、東京第5検察審査会は小沢を起訴相当にした。補助弁護士が暴力団の上下関係を例に挙げ、審査員に共謀共同正犯が成り立つと誤認させたからです。しかし、陸山会裁判では、石川や大久保はそろって収支報告書の作成について『(小沢に)報告していないし、了承を得てもいない』と完全否定。強制起訴の唯一のキメ手になった石川の供述調書も、『(取り調べ検事が)上司が納得していないので、こういう調書を作る、と言われてできた』と任意性に疑問符が付いた。証言通りなら、小沢は『共謀』どころか監督責任すら問われません」(司法記者)

小沢「無罪」は濃厚だ。それでもスピード決着には壁がある。スンナリいくかどうかは微妙だ。
「小沢憎しの菅直人首相と江田五月法相の存在です。特に江田は21日の衆院予算委で、検察審の強制起訴制度の見直しを問われた際、『強制起訴の事例は4件のみで、制度をもう少し見させていただきたい』と“擁護”発言に終始した。2人が居座っている限り、小沢裁判はスムーズにいきませんよ。小沢の力をそいで権力維持しようと考えるなら、公判を引き延ばすに決まっています」(民主党関係者)


小沢が晴れて「無罪」を勝ち取るには、ひとヤマもふたヤマも越えなければならない。





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英特殊部隊、リビア化学兵器極秘確保へ (日刊ゲンダイ2011/3/3)


[春名幹男「国際情報を読む」]

(日刊ゲンダイ2011/3/3)
反政府勢力との戦闘で内戦の様相を示し始めたリビア。米英の情報当局が特に懸念しているのは、首都トリポリ南方の施設に保管されてきた化学兵器の行方だ。

リビア国内には、ひそかに英国の特殊空挺部隊(SAS)などが潜入、自国民の極秘救出作戦を展開している。
既に石油技術者ら150人を救出、地中海のマルタに運んだ。SASはさらに化学兵器も確保し、国外に運び出す工作を準備中、との情報が流れている。

リビアは2003年、米英首脳に対して、大量破壊兵器計画の放棄を約束し、査察を受けた。これを評価して、米国は04年に経済制裁を解除、さらに06年「テロ支援国家指定」も外した。
その際、マスタードガスやサリンを詰めた化学兵器弾頭約3300発が廃棄された。しかし、廃棄されないまま残されていたマスタードガスなどが昨年末で25トン。現在は約10トンを保有しているというのだ。ほかに、サリンの前駆物質も大量にあるといわれる。

先月、反政府勢力の蜂起が活発化したのを受けて、米政府はリビア当局に対して、これら化学兵器を完全に廃棄するよう求めた。これに対して、リビア側は「部外者のアクセス」を禁じる「適切な措置」を取ったと回答。しかし、化学兵器保管施設が現在どのような状況にあるのか、具体的な情報は不明。米政府当局者は国際テロ組織アルカイダの工作員に盗まれる可能性を懸念している。

リビアの旧化学兵器工場はトリポリの南西約65キロのラブタにあった。実は、この工場は日本と奇妙な因縁がある。22年前、日本企業が同工場で「化学兵器用の金属部品製造を助けた証拠がある」と米上院で指摘されたのである。
この問題は当時、航空自衛隊の次期支援戦闘機(FSX)の日米共同開発計画に絡んで、米議会の対日強硬派が持ち出した疑惑だった。最終的に上院は、FSXの日米共同開発を認めるかわりに、「日本企業はリビアの化学兵器開発に関与しない」との確認を当時のブッシュ大統領(父)に求める決議を可決した。
日本たたきが激しい時代に表面化したリビアの化学兵器工場。時代は移り、当時の対日強硬派の一部は今、中国たたきに奔走している。(木曜掲載)



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“河村シスターズ”佐藤夕子が民主離党

(日刊ゲンダイ2011/3/3)
名古屋市議選で「減税日本」を応援

菅政権にまた打撃だ。“河村シスターズ”の佐藤夕子衆院議員(48)が離党の意向を固めたという。きょう(3日)、党本部に離党届を提出する。
佐藤議員は、地域政党「減税日本」を率いる河村たかし名古屋市長の元秘書。09年の衆院選で河村市長の後継として愛知1区から出馬し、初当選している。現在は、小沢元代表を支持する衆院1回生議員で構成された「北辰会」のメンバーのひとりだ。

民主党は、岡田幹事長が「財源を明らかにしない減税は人気取り」などと河村市長と対立。板挟みにあった格好の佐藤議員は、13日投開票の名古屋市議選で減税日本を応援するため、民主党から離れることを決めた。
「民主党には、同じく河村市長の元秘書で北辰会の田中美絵子議員もいます。また、河村市長と関係がいい小沢


側近の松木謙公前農水政務官や原口前総務相も、いろいろと動き回っている。小沢系の比例選出衆院議員16人が口火を切った離反の動きは、どんどん拡大しています」(事情通)
いずれ民主党はカラッポか。




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やっぱり“ちびっこギャング”安住淳に国対はムリだ
(日刊ゲンダイ2011/3/3)
責任転嫁 八つ当たり

民主党の安住淳国対委員長(49=写真)の評判がボロクソだ。予算関連法案成立の見通しが立たず、国会運営が思うようにいかないため、「責任転嫁」や「八つ当たり」が目立つのだ。
きのう(2日)は、衆院の常任委員会筆頭理事を集めて「野党はバラバラだ。自民党は必ずしも野党の代表ではない」と発言。各委員会の筆頭理事たちに対し、「各自で公明党、共産党、社民党の委員と交渉するように」と協力を求めたという。しかし、野党と交渉するのは国対の仕事だ。責任逃れする安住の姿勢に、筆頭理事から不満の声が出ている。
この日の安住は、同僚議員相手だけでなく、官僚にも言いたい放題ブチまけた。各省幹部との会合の場で、安住は、先日の予算案採決時、山花外務政務官が公務により衆院本会議を欠席したことを叱責。「採決時に出張したバカ者がいたが、国会最優先だ。そういうことをけしかける役所の体質が問われる」と、批判の矛先を官僚に向けた。これには出席者が「国会運営がうまくいかないことを、霞が関のせいにされても困る」と呆れていた。
「安住国対委員長は党内で“ちびっこギャング”と呼ばれるほど横柄で不遜。そのくせ、発言は軽率です。予算関連法案の分割処理を早々に口にして野党の反発を招き、民主党は国会で『陳謝』までさせられた。それでも安住は『よかれと思って言ったのに』と反省の色ゼロ。国対というのは、水面下の交渉力がモノをいうのに、安住にはその能力がない」(政治ジャーナリスト)
キーキー吠(ほ)えるだけの“お山の大将”に、国対は荷が重かった。

黒い献金疑惑 有名議員の名前が続々と浮上

(日刊ゲンダイ2011/3/3)
官房長官経験者や政党党首も

前原、野田、蓮舫の献金問題は、野党にも飛び火しそうだ。

「問題になっている企業グループの忘年会には、前原さんや蓮舫さん以外にも与野党の政治家が出席していました。中でも、自民党のイケメン若手代議士や某党の党首は、特に関係が深かったという。いずれも知名度が高く、クリーンなイメージで人気の政治家です。自民党の官房長官経験者や、目立ちたがり屋の参院議員の名前も取り沙汰されています」(全国紙の社会部記者)
反社会的勢力につながるような、いわゆるフロント企業から献金を受けても、それ自体が政治資金規正法に違反するわけではない。だが、警察関係者は「たとえ少額でも看過できない」と、こう言う。

「暴力団のフロント企業が政治家に献金するのは、何らかのメリットを得るためと考えるのが普通です。オモテの献金は数十万円でも、ウラではその何倍、何十倍のカネが動いている可能性が高い。公表されてしまうオモテの献金をわざわざするのは、いざという時に逃げられないよう証拠を残す“保険”の意味がある。反社会勢力の常套手段です」
永田町には、今ごろ頭を抱えているセンセイが何人もいるはずだ。



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政倫審で説明しろ!!「誠司とカネ」民主党直撃 (日刊ゲンダイ2011/3/3)

仕掛けたのは自民かそれとも官邸か

“誠司とカネ”の問題に民主党が大揺れだ。前原誠司外相の政治団体が、暴力団との関係が噂される企業にパーティー券を購入してもらっていたというのだ。次の首相候補ナンバーワンが泥にまみれた。

問題になっているのは、「M」という企業グループである。

「グループのS会長は、武闘派で知られる暴力団の相談役だった人物。商才に長(た)け、不動産や飲食店など数々のビジネスを成功させて一大グループを築き上げました。しかし、04年に巨額の脱税で摘発されて、ビジネスの表舞台からは退いた。もし、脱税したカネが政治家に流れていたとしたら大問題です」(警察関係者)
きょう(3日)発売の「週刊文春」によると、09年分の「まえはら誠司東京後援会」の収支報告書には、Mの子会社が50万円分のパー券を購入、さらにMとよく似た名前の映像製作会社も50万円分のパー券を購入したと記載されている。
この製作会社の住所は「千葉県四街道市」。ところが、代表者名には同じ企業名だが「東京都港区」にある人材派遣会社の社長名が書かれている。ちょっとややこしいが、表記に音引きや「ゥ」があるかどうかの違いだけで、Mとソックリな2つの企業の「住所」と「代表者名」を組み合わせた“架空の会社”が収支報告書に記載されているというのだ。勝手に名前を使われた2社は、ともに「献金していない」「まったくの無関係」と話している。
また、M社と関わりの深い人物が07年に前原の資金管理団体「新緑会」に12万円、08年にも前原が支部長を務める政党支部にも12万円を寄付。さらには07年に野田財務相の政治団体からもパー券40万円分を購入したほか、蓮舫行政刷新相が支部長を務める政党支部に120万円の寄付をしていたという。


看板官僚の蓮舫、野田も

前原は文書で「一部報道による指摘を受けて調査いたしました結果、収支報告書を作成している京都事務所の誤認による記載ミスであることが判明いたしました」と発表。今週中に収支報告書を訂正するというが、単なる記載ミスにしては、ずいぶんフクザツな間違え方をしたものだ。実際にパー券を買ったのは誰だったのか。
「このタイミングで『政治とカネ』のスキャンダルが出てきたことには、謀略めいたものを感じます。標的にされたのは、前原さん、野田さん、蓮舫さんと民主党の看板閣僚ばかり。3人とも“クリーン”が売りだっただけに、政権へのダメージは計り知れません。民主党政権に致命傷を与えるために、自民党が仕掛けたのか。信じたくはないが、情報源は官邸サイドだという噂もある。菅首相が政権から引きずり降ろされそうになり、“ポスト菅”の有力候補を潰すためにスキャンダル情報を流したというのです」(民主党関係者)

今の官邸にそんな力があるとも思えないが、これまで小沢元代表の「政治とカネ」で、菅はさんざん「説明責任」と言ってきた。同じ記載ミスの小沢に議員辞職まで迫ったのだから、前原にも説明を求めなきゃウソだ。政倫審に呼んで話を聞くしかあるまい。

前原も、「政治家自らが襟を正すことは大事なこと」とか「疑惑にしっかり答えることは、大変重要」とかエラソーに言ってきた男だ。当然、説明責任を果たすのだろう。まさか、収支報告書の訂正だけで済ませるつもりじゃ……? 政治とカネでも“口先番長”の本領を発揮するのか。



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伸子マンガ「政策ビラ」31種類も作っていた! (日刊ゲンダイ2011/3/3)

こりゃ民主党議員が噛み付くのも納得

先週、菅首相の伸子夫人がマンガになった「政策ビラ」をめぐって民主党代議士会が紛糾、まるで“学級崩壊”と揶(や)揄(ゆ)された。

しかし、このビラについて知れば知るほど、「こんなの無駄遣い」と噛み付いた議員たちに同情したくなる。問題のビラは、てっきり1種類だけかと思ったら、民主党執行部はナント“31バージョン”も作成していたのである。

ある議員の地元秘書が、苦笑しつつこう言う。
「『伸子さんのちょっとイイ話♪』という漫画バージョンは『事業仕分け編』とか『子ども手当編』とかに分かれていて、それだけで10種類以上あります。ほかに、『天下りゼロ』とか『水俣病解決』とデカイ文字で書かれたものもある。2月上旬の通達では『20種類程度』という話でしたが、結局、『31種類』にまで膨れ上がったようです。そのビラ1種類につき1000枚入った箱が毎日2、3箱ずつ事務所に届くのです。おかげで運送会社の人とすっかりお友達になっちゃいました」
ビラは、統一地方選向けの党勢浮揚が狙い。しかし、種類が多すぎて手に余るだけでなく、その中身は、とても配れないような恥ずかし~いシロモノだ。例えば〈政権交代で景気回復しました〉の文字が躍る「ウソだろー」とツッコミたくなるようなものや、〈熟議の国会で予算関連法案の年度内成立をめざします〉という、もはや実現不可能なものもある。このビラには、マンガの伸子が〈もう何党でもいいから私たちの生活を考えて〉と叫んでいる吹き出しまであって、“自虐ネタ”と笑うしかない。

◆背景に菅首相の成功体験
しかし、なんでわざわざ31種類ものビラを作ったのか? 背景には、菅の「成功体験」があるという。
「07年の参院選の前、党の代表代行だった菅さんが中心となって『農業再生プロジェクト』のビラを10種類以上作ったら、これが好評で、そのうちの何種類かは再印刷するほどでした。今年1月の党大会時の全国幹事長会議で、菅さんは『こんなに活動資金が使える政党に身を置いたことは初めてだ。大いに使おうではないか!』とハイテンションでしたが、カネを使う一環が、大量の政策ビラというわけです」(地方県連関係者)

大量発注する選挙用のビラは、一般的に1枚2~3円、フルカラーで紙質の良いものだと7~8円ほど。1枚5円としても1議員に31種類×1000枚で15万5000円。議員400人で6200万円。県連にも送っているから、ビラだけで1億円近くになるとみられる。先月19日の全国政調会長会議では、「この逆風では、ビラを作ったって撒(ま)けない。ビラより活動資金をくれ」という厳しい意見が出たのに、スッカラ菅はどこ吹く風で、喜ばれていると思っているから始末が悪い。

ビラに伸子を起用してもらったお礼のつもりなのか、1日夜、菅は伸子とともに広報責任者の馬淵と赤坂の日本料理店「口悦」で会食していた。ここは接待用の超高級料亭。やっぱりこの男は、カネの使い方が分かっていない。



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●安住氏「自民は必ずしも野党の代表ではない」
(読売新聞2011年3月2日22時40分)http://p.tl/a0VB
 民主党の安住淳国会対策委員長は2日、同党の衆院常任委員会筆頭理事らを集めた会合で、「野党にはバラバラ感がある。自民党は必ずしも野党の代表ではない」と述べ、各委員会で自民党以外の野党との交渉を重視するよう指示した。
 民主党国対は、2011年度予算関連法案を巡り、野党も同調しやすい法案の分割を申し入れたが、自民党の反対でほごにされるなど煮え湯を飲まされてきた。安住氏は特に公明、共産、社民各党と交渉するよう求めた。
 ただ、衆院では今後、今国会の焦点である特例公債法案などの審議が行われるだけに、「野党との交渉は本来、国対の役割ではないか。丸投げされても困る」と不満の声が出ている。
 参院では、議院運営委員長など議事運営の主要ポストを自民党が握っており、参院自民党幹部は「自民党抜きで交渉できると思っているのか」とけん制した。


●公務で欠席は役所のせい?安住氏 官僚に八つ当たり
(スポニチ 2011年3月2日 17:26)http://p.tl/o9r9
 民主党の安住淳国対委員長は2日、各省幹部との会合で、山花郁夫外務政務官が2011年度予算案を採決した衆院本会議を公務で欠席したと指摘しながら「採決時に出張したばか者がいたが国会最優先だ。そういうことをけしかける役所の体質が問われる」と憤った。「政治主導」を棚に上げて、官僚側に八つ当たりした格好だ。
 専業主婦の年金救済問題についても「細川律夫厚生労働相が(野党の追及で)追い込まれたら、不測の事態が起きかねない。役所に緊張感が足りない」と関係する厚労、総務両省を名指しで批判。さらに「心してかかれ。隠し事は駄目だ」とまくしたて、野党の動向を細かく報告するなど菅政権への協力を怠らないよう求めた。
 会合後、出席者からは「政権の苦境を霞が関のせいにするのはふに落ちない」と不満が漏れた。


●若さゆえ?「安住国対」空回り…法案分割は後退
(読売新聞2011年2月17日10時04分)http://p.tl/AtsI
 民主党の安住淳国会対策委員長(49)が司令塔を務める同党の国会対応が、迷走気味だ。
 安住氏は、2011年度予算関連法案の年度内成立を巡って、野党の賛同を得る「秘策」として「法案分割案」を提唱したが、野党の反発を招いている。また、民主党は22日の同じ時間帯に衆院本会議と衆院予算委員会の中央公聴会を開催することを決め、「拙い国会対応だ。安住氏の若さが空回りしている」(自民党幹部)との批判が出ている。
 安住氏は16日の民主党国対委員会の会合で、「予算関連法案を抱えている委員会はぜひ日程を入れ、動かせるところから動き出していただきたい」と指示した。
 しかし、民主党の斎藤勁国対委員長代理は同日、国会内で記者団に対し、「(法案分割案は)完全になくなったわけではないが、当面はない」と語り、後退姿勢を示した。同日の衆院予算委員会でも、法案分割案について菅首相が追及されるなど、野党に格好の攻撃材料を与えてしまったことで、民主党内では、法案分割案をとりあえず封印する空気が強まっている。


●「首相退陣」打診あった?=自民幹部が発言、すぐ訂正
(時事通信 2011/02/18-18:10)http://p.tl/PUFk
 自民党の逢沢一郎国対委員長が18日の記者会見で、民主党幹部が菅直人首相の退陣と引き換えに2011年度予算関連法案の成立への協力を公明党に打診したとの一部報道について、いったんは自民党にもそうした打診があったと語りながら、直後に取り消す場面があった。
 逢沢氏は、「そういう打診を聞いているか」との質問に、「何回かそういった趣旨の意向が直接、間接に伝えられている。(打診したのは)民主党の安住淳国対委員長だ」と述べた。
 ところが、「安住氏は首相交代を条件に法案成立に協力してくれと言ったのか」と念押しされると、逢沢氏は「いや、そうではない」と訂正。「予算関連法案のどの部分であれば協力いただけるかとの趣旨の発言であり、(首相退陣うんぬんは)一切ない」と語った。