表紙を見て、まず驚かされます。
おばけが緑色なんです。
背がすらっと高く、目も口もないのっぺらぼうです。
口がないのに、このおばけ、毎朝、歯みがきをするんです。
1本の柄に3つのブラシがついている歯ブラシです。
いったいどんな口なんでしょう。
スーパーで買い物をして食事を作ったり、お友だちとおしゃべりしたり、野球の練習をしたり、洗濯をしたり、どうやら人間とそう変わらない日常を送っているようです。
が、急におばけの家が、ニューッと山のように大きくなり、しばらくすると、元に戻りました。
そういうことが唐突に起こるんですね。
人間がバスに乗ってやってきました。
家をじろじろ見るので、おばけは家に袋をかけてしまいました。
夕方、今度は猫が覗きにくると、家全体が目玉のぎょろっとした怖い顔になって、猫を脅かします。
すると、猫が仲間を連れてやってきたので、喧嘩になり、疲れたおばけは休憩。
夜が更けると、おばけの家のまわりに、白い花がぽつぽつと咲き始めました。
まるで灯りが灯るように。
とても静かに。