色ものがたり(2)固有色名~赤系統 | アトリエぽーぽー

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講師あけやまひかるは、お月謝袋やレターセットなど、クラフト製品の販売も行っています。
このブログは、生徒さんと保護者さまへ発信していますが、
絵や工作について、みなさまのご参考になれば幸いです。


固有色名には、原料や染料からつけられた名前も含まれます。
でも別に覚えなくてもいいです。
ああ、そうなんだーと興味を持って頂ければ幸いです。

きょうは赤系統です。

色ものがたり(2)


<カーマイン>
中南米のサボテンに寄生する「エンジ虫」から抽出される染料を、「カーマイン」と呼びました。ました、というのは、今は人工的に作っているからです。
紅白かまぼこのピンク色には、コチニール色素がよく使われますが、コチニールの原料も「エンジ虫」です。
日本では「えんじ色」と言われています。と聞けばお馴染みですね。でも私はえんじ色はもうちょっと深みがあると思います。

<スカーレット>
小学生のみなさんは、「風と共に去りぬ」と聞いてもピンと来ないでしょう。
昔、そういう小説が映画化され、大変なブームになりました。
そのお話のヒロインが「スカーレット・オハラ」という名前でした。
スカーレットは慣用的に「炎」の色とされています。
彼女の激しい生き方を象徴するため、この色名が選ばれたのでしょう。

スカーレットの原料は、壮大な物語とは無関係に、小さな「かいがら虫」で、おまけに害虫です。
日本では「緋色」と訳されることが多いですが、緋色は「茜」を原料に使っており、同じではありません。

<紅色>
菊の一種「紅花」から採れる染料を言います。
紅花は黄色なのに、赤い染料が採れるんですね。
日本の国旗の日の丸は、この色です。
「紅白まんじゅう」「紅一点」「唐紅に水くくるとは」など、古くからある色です。
このように日本に古くから伝わる色を伝統色と言います。

<マゼンタ>
紫がかった赤色で、色料の3原色の1つです。(原色については後日説明します)
今は、家庭用プリンタが普及しており、インクの色を、青は「シアン」、赤は「マゼンタ」と呼ぶことを、ご存知の方が多いでしょう。
以前は、印刷業界の専門用語に近かったのです。
マゼンタは、イタリアのミラノにある町の名前です。
イタリア統一のきっかけになった「マゼンタの戦い」があった年に、発明された合成染料なので、マゼンタと名付けられました。
歴史の勉強もしちゃいましたね。