明治初期、日本に洋画が取り込まれました。
最初の洋画家のひとり、高橋由一が描いた『花魁』です。
花魁は、ちょっとやそっとでは手が届かない高嶺の花。
鼻筋が通り、骨相学的に美人だと思いますが…。
モデルとなった小稲さんは、
「わたしはこんな年増じゃない」
と怒ったそうです。
それまでは絵と言えば浮世絵でしたから、リアルな描き方にびっくりしたのかもしれません。
『マドモアゼル・シャネルの肖像』マリー・ローランサン作
ココ・シャネルと言えばファッション界の頂点。
マリー・ローランサンも、大人気の画家でした。
が、ココ・シャネルは受け取りを拒否したそうです。
何が気に入らなかったのでしょう。
憂鬱そうだから?
『かわいいイレーネ』ルノワール作
印象派肖像画の最高傑作と言われていますが、イレーネのご両親は気に入らず、代金を払ってはくれたものの、期待以下のお値段だったようです。
その頃、印象派はまだ今のようにもてはやされておらず、保守派の人たちから見たら、なんだか雑に描かれたもやもやした絵だったのです。
『ティー・テーブルにつく婦人』メアリー・カサット作
ティーセット、素敵ですよね〜。
中国は広東の青磁器だそうです。
このティーセットを貰ったお礼に、肖像画を贈ろうとしたのですが…。
贈るのをやめたそうです。
なぜなら、
『鼻が大きすぎる』
確かに!
ヴェネツィア派の大家ティツィアーノ作、
『イザベッラ・デステの肖像』
最初に描いた時、ダメ出しされ、「もっと若く描いて」と言われたため、描き直したそうです。
この時50代でしたが、20代と言ってもおかしくない美しさ、若々しさですね。
イザベッラも満足したでしょう。
が、
「わたしはこんなに美人じゃなかった」
女心は複雑…。
最後はアンリ・マティス作『緑の筋があるマティス夫人の肖像』です。
マティス自ら「私の妻はこんな顔をしていない。こんな顔の人間がいたらおそらく自分は逃げ出すだろう」と言っていたそうです。
芸術家の心も複雑…。