こんばんは(・∀・)

 

再熱のない新型RAYエアコンに切り替わって、一条工務店の営業さんも説明に苦慮しているようですね。話が嚙み合っていないというか、噛み合うと困るのか。。

 

さて、夏季のエアコン運転に対する言葉のすれ違いは2点あります。1つは「効率的」という言葉の意味で、2つ目は「ドライ」という言葉の意味です。

 

 

 

1つ目の「効率的」ですが、RAYが新型になって性能が上がって、ZEHに標準対応できるようになったようですが、この性能が上がったとか効率的になったという表現が誤解の元です。

 

断熱性能的には一条ハウスはZEHの基準を余裕でクリアしているのですが、旧型RAYエアコンだと冷房性能が基準を満たせなくて、高効率エアコンに交換して申請する必要がありました。

 

高効率エアコンというと何だか良さそうに聞こえますが、要するに高効率とは除湿をあまりしない分、消費電力が少ないエアコンのことです。

 

2011年の東日本大震災以降、原発停止の流れから省エネが求められ、電気代が掛かる再熱除湿から撤退するエアコンメーカーが続出しました。

 

震災以前のエアコンは上位機種には温度と湿度の両方の快適性を考えて再熱が搭載され、本質的な意味で空調といえるものでしたが、震災後は省エネのために除湿が軽視される結果となりました。

 

新型RAYエアコンは性能が上がったと営業さんが言うと思いますが、温度を少ない電気代で下げられるという意味ではあってます。

 

つまり、電気代の掛かる再熱除湿を利用できない機種に変更したので、電気代は下がりますよということです。そして、冷房運転での除湿量も減らした効率化でしょう。

 

今の日本だと、エアコンの効率的とか省エネという言葉は温度をどれだけ安い電気代で下げるかという意味なので、何をもって性能が上がったというか良く考える必要があります。

 

エアコンの省エネ指標にAPFというものがありますが、これは温度だけが基準で湿度が考慮されていません。

 

梅雨時期に再熱除湿を利用すると室温が下がらず除湿がしっかりできるのですが、電気代が多くかかるため、今の日本だと効率が悪いとなってしまうのです。

 

RAYエアコンから再熱除湿がなくなったことは、温度しかみてない人からみれば、性能がアップしたことになりますが、湿度を重視する人には改悪です。

 

そして、一条ハウスのような超断熱の家は少ない冷房エネルギーで家が冷えるため消費電力がそもそも少ないので再熱除湿を利用しても、そんな大きな消費電力にならないのです。

 

 

 

次に、エアコンのリモコンには「ドライ」若しくは「除湿」というボタンがありますが、これがまた誤解のもとです。

 

エアコンの機種によって搭載されているドライの機能が異なり、「再熱除湿のドライ」と「弱冷房除湿のドライ」とドライには2つ方式があります。これはエアコンのカタログに書いてあります。

 

旧型のRAYは再熱除湿方式で新型RAYは弱冷房除湿方式です。

 

再熱除湿のドライは、除湿した空気を暖めて(実際は逆)室温を低下させないようにする除湿方式で、弱冷房除湿のドライは風量を絞って室温をなるべく下げないようにする除湿方式です。

 

一条ハウスほどの性能だと、外気温が低い梅雨の時期は弱冷房除湿ですら室温が下がって寒くなってしまうので、24時間除湿してカビの予防や洗濯物を室内干ししたい場合は、電気代は少し増えますが室温の下がらない再熱除湿が必要となるわけです。

 

そして、盛夏には室温が上昇しますから、電気代の掛かる再熱除湿は不要になり、室温を低下させるために冷房運転での除湿に切り替えます。

 

つまり、梅雨時期は再熱除湿運転、盛夏には冷房運転に切り替える方法が超断熱の一条ハウスで温湿度をコントロールするために適しているのです。

 

エアコンの設置場所は二階の階段ホールや吹抜けといった、エアコンの冷気が人に直撃しない場所です。

 

 

 

そして、冷房運転とドライを比較して冷房は除湿をしていないと誤解をしている人が多いですが、これはエアコンの除湿の仕組みを理解すれば間違いであることがすぐに分かります。

 

エアコンは室内機の中にあるアルミフィン(熱交換器)を冷やすことで、そこを通過する空気中の水蒸気が結露して水となり、屋外に排出されることで除湿がされます。

 

つまり、冷房運転でもアルミフィンの温度は下がりますから、除湿はしっかりされます。

 

ただし、梅雨などの室温が低い時期に冷房運転だと室温がすぐに下がりエアコンが設定温度に達したと判断して送風運転に切り替わってしまい、除湿がされなくなってしまいます。この場合は再熱除湿運転に切り替えます。

 

実際に私は盛夏になると、ドライ(弱冷房)ではなくて、普通の冷房運転をしています。なぜかというと、弱冷房のドライだと室温マイナス2℃と言った感じで運転が制限されるからです。

 

私は冷房運転で23℃設定、風量最弱での運転を基本としています。除湿の仕組みは弱冷房運転と同じなのですが、より設定温度を下げられるため、冷房運転を選択しています。

 

超熱帯夜が連続しない限りは、エアコン1台の冷房運転で全館冷房(除湿)が可能です。その場合、一台のエアコンの熱交換器をしっかり冷やすことで除湿量を増やせますから、設定温度が23℃といった様に低いのです。

 

設定温度が23℃だからといって、電気代がやたらと増えるとかエアコンが壊れるということではないことは、エアコンにワットチェッカーを付けて消費電力を見ていると分かります。

 

梅雨時期は外気温が低く室温も低いため、しっかり除湿しようとして24時間弱冷房運転をすると、一条ハウスでは家が冷えすぎます。だから再熱が必要なんです。

 

そして、梅雨はまだ室温が上昇しない時期なので、二階の1台のエアコンに再熱で少しだけ室温を下げながら、家中を除湿することができます。

 

一階にだけエアコンがあると、冷気は上昇しないため、二階が蒸し暑くなりますから、エアコンは基本的に二階に必要なんです。冷たい空気は自然に一階に降りてきます。

 

ただ、超熱帯夜が連続することを考えると、一階にも補助冷房としてエアコンがあった方が良いです。

 

 

 

長々と書きましたが、結論として、以下の2つの案があります。

 

1.二階と一階に設定品の三菱のJXV(再熱あり)の6畳用を各1台(RAYはキャンセル)

2.二階は設定品の三菱のJXVの6畳用+一階は再熱のないRAYエアコン

 

どちらでも良いですが、冬の補助暖房としてのエアコンを考えると一階のエアコンは床暖房と別系統であるRAYエアコンではない方が電気代が安くなります。

 

 

 

ハウスメーカーにとって、安い電気代で室温が下げられる家を良しとするか、湿度までしっかり下げられる家を良しとするか、お客様ニーズも分かれるため難しいところです。

 

一条工務店では除湿に拘る人向けに「さらぽか空調」が用意されていますが、本体価格とともに電気代がなかなか掛かるため、悩ましいところです。

 

ただ、施主の自己責任になりますが、エアコンの知識がしっかりあれば家庭用の壁掛けエアコンでリーズナブルに全館冷房をすることができます。

 

家作りの専門家でも、エアコンなどの空調は専門外ですから、本日記載したことはなかなか世間では理解されないというのが実態です。
 

そして、高気密高断熱住宅に住んで、1台のエアコンで全館冷房した経験がないと本日書いた内容は理解し難いと思います。

 

 

以上、効率的とドライは誤解が多い言葉ですの巻でした(・∀・)