こんにちは!
住宅の差別化は必要だと思いますが、行き過ぎた性能の差別化は逆に良くないなと思っています。
例えば、気密性を示すC値の比較においては床断熱の住宅のC値と基礎断熱の住宅のC値を単純比較しているケースがあり、
床断熱は気密が取りにくい反面、シロアリリスクが減ります。一方、基礎断熱はシロアリリスクが高くなる反面、気密が取りやすいためC値が良くなりやすいです。
どちらが優れた家なのか判断が悩ましいですね。
そして、基礎断熱にすると熱損失量と気積(空気の量)が増えるため光熱費が増えます。C値0.1で基礎断熱の家と、C値が0.5で床断熱の家では光熱費はほぼ同じと計算されます。
床下エアコンを採用しない限り、シロアリリスクを増やしてまで私は基礎断熱にはしないでしょう。こういった事が理解されないままC値だけが独り歩きしていると感じます
さて、本日の本題は耐震性の構造計算における許容応力度計算が必要かという話です。
最近、大手ハウスメーカーは型式適合認定であり、許容応力度計算がされていないから地場工務店の方が耐震性が良いといった話があります。
耐震性の検討すらされていない住宅が多い中で、これは行き過ぎた性能の差別化だと思います。そして、地場工務店では耐震性に関して実台実験をしていないではないですか。
ちなみに、一条工務店ではKIZUKURIという構造計算ソフトで許容応力度計算がされていました。
耐震等級3には種類があり、品確法と構造計算では耐震性が異なります。構造塾の佐藤さんの情報によれば構造計算の耐震等級2は品確法の3と同じレベルとのことです。
ただ、2016年の熊本地震において震度7が二回発生した益城町の事例をみても、
木造住宅では耐震等級が3であった16棟は14棟が無被害、2棟が軽微又は小破の被害であり、ここでいう耐震等級3とは許容応力度計算された建物だけではないとのことです。
私は一定基準以上の性能が表示されている住宅であればどちらでも良いと思います。ベタ基礎が良くて布基礎が良くないなんて話も間違いですよね。
耐震性において問題なのは木造四号特例を利用して構造計算を回避をしている住宅会社であり、そういった住宅会社や設計者は考えを改めて欲しいと思います。
さて、大手ハウスメーカーを叩くという風潮が最近あるように感じますが、これは貧乏人のひがみであったり行き過ぎた性能比較が原因ではないかと思うときがあります。
たしかに大手ハウスメーカーの家は価格の割に温熱性能は良くないです。ある程度の断熱性能がある場合でも気密測定をしていないため大手ハウスメーカーに落ち度はあります。
ただ、耐震性の向上については実台実験を繰り返してきた大手ハウスメーカーが業界をけん引してきたと思います。
行き過ぎた住宅性能の差別化は住宅市場を間違った方向に誘導するのではないかと私は思っていますが、だからと言って性能を表示しない住宅会社は良くないです。
住宅会社は自分ができることをアピールします。逆に言えば自分ができないことは価値観や優先順位などの問題だと言って話をすり替えようとします。
数値が良いか悪いかではなく、計算しない・測定しないということが住宅業界を不透明にしていると考えますから、まずはそこを優先的に問題だと捉えるべきでしょう。
戦後の復興を優先して建築基準法を最低限の基準としてしまった日本では、その反動がいまもなお続いています。
消費者が家の性能を心配しなければないらない現状の住宅市場は異常であり、消費者がそんな心配をしなくても楽しい家作りができるようになってほしいものです。
まずは、家の日当たりの考慮とUA値0.6W以下、C値1.0以下、耐震等級3、長期優良住宅適合が普及版の高性能住宅ではないかと私は思います。
予算の問題はあるものの、それらの基本性能を満たしてから、住宅はデザインや間取り、気密断熱などの価値観を実現するという状態になって欲しいと思います。
住宅市場の健全化を期待するのであれば、問題を解決する優先順位があると思いますが、この順番を間違えると住宅市場の健全化が遠のくと私は考えています。
先ずは性能の可視化、その次にコスパを含めたハイレベルな競争という順番だと思います。
本日、申し上げたかったことは許容応力度計算をしていない家は良くないといった、セールストークに踊らされる必要はないということです。
もちろん、コストが許せば家の性能は良いに越したことはないので、許容応力度計算による耐震性の確保を否定するものではありません。
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