明日の言の葉 -7ページ目

紫陽花

記念日に あわせて花咲く 紫陽花は

 時の何かを 人に教える

アジサイ

紫陽花が咲いている

球のような形だが

いくつものガクからなる


みずみずしさを放ちながら

微妙に色を変えていく


その有り様は人のようだ





ある眼科医の信条

組織には 属さず腕で 渡り歩く
 いさぎよい名医 その清々しさ

ドクター 光あれ

ある番組でとりあげられていた
アジアで手術する眼科医


卓越した技術をもちながら


どこにも属さず
自腹で駆け回る


日本だけでやっていけるのに
どうしてそんなことを


家族やまわりをよそに
今日もメスをとる


その動機は使命感


俺が手術しなければ
この子たちは光を失う


ブラックジャックもうなる手さばき


その報酬は充足感


失明しかけた少年が
今日はサッカーやっている


この喜びがたまらない


疲労を吹き飛ばし
彼は微笑んだ



動く箱

震災の際に使うな エレベータ

 その危険性 既に現る

ハインリッヒの法則 (1 : 29 : 300)

一つの重大事故

背後に約三十の軽傷事故

その背後に約三百の

ひやりとしたこと はっとしたこと


ハインリッヒがこう指摘したように

一見便利な日常は

常に危険と隣り合わせ


もしもの時にどう振舞うか

危険回避が必要な時代


回転ドア、エレベータ、果たしてその次は?

こう考える用心深さを


梅雨入り前の青い空

青空に 雲雀がさえずり ホバリング
 我が世の春と 高らかに歌う

天空の一点

人里離れた農道で


水をはった田の上に
にぎやかにヒバリの鳴き声


目を凝らすと
抜けるような空で


ひとつところで
うれしそうに鳴いている


梅雨入り前の のどかな午後

川には気をつけて

生命の源となる水はまた

 命を奪うことも多々ある

ある仮説

女の子はきれいなちょうちょを追いかけた

男の子は川辺で遊んでいた


女の子は男の子が好きだった

男の子はやんちゃなところを見せようと思った


女の子は川で遊んだらあぶないよと言った

男の子は 危なくないように遊べばいいと言った


そこへちょうちょがやってきた

川辺の縁にとまったちょうちょ


無理をしたのは男の子

流されたのは女の子


どうすることもできない男の子

助けを求めに走り出す


どうしたの 川で遊んじゃ危ないよ

何も知らない大人の人

こわくなって逃げ出す男の子


きっとどこかで助かってるんだ

そんな望みもむなしく女の子は死んだ


男の子は自分が死なせたという後悔にかられる


女の子の母親には何も言えずにいたが

あるとき意を決して事の真相を打ち明けた



嘘よ そんなこと

怒りがこみあげる母親


気が付けば男の子がぐったりしていた