私は、大逆襲するために、以下の教材を親に頼み込んで買ってもらった。


「必ず学校で一番になるから買ってくれ!!」などと言い放ったことを覚えている。



<英語>

基礎英文法問題精講(旺文社)

英文解釈教室(研究社)

基本英文700選(駿台)

即戦ゼミ3(桐原書店)


<数学>

青チャート(数研)

スタンダード(数研)

ご覧の通り、教科は、数学と英語に絞った。


冬休み。部活のある日は、8時間。無い日は16時間は勉強しただろう。怒涛の勉強は、この冬休みから、高校1年終了まで続いた。

私の胸の中には、クソ野郎の言った言葉、大したことないっスよ。クッセーし。」の「クッセーし」が、時折こだました。 不覚にも涙がこぼれたこともあった。


何度、怒りに震えて鉛筆をブチ折ったことか。

「あのクソ野郎」

その想いだけが、私を突き動かした。

その勢いたるや、全身に炎をまとっているかの如くであった。



数学の勉強だ。-----

まずは、既に持っていた黄色チャートの例題、その下にある類題を完璧にやった。

どうやって完璧にやったか。

黄色チャート1周目!!

■1.例題をやる。

解けたら、その問題に○と日付を書いた。

解けないときは、解答をみて、「解けなかったけど理解できたもの」と「意味不明なもの」に分けた。

■2.例題のやり方を参考に類題を解く。

これも、上と同じルールで問題にコメントをつけた。

■3.前日にやった問題の内、1回目に解けた問題はやらずに、「解けなかったけど理解できたもの」についてのみ、必ずもう一度解いた。

忘却曲線に鞭打つこの攻撃!!ぐぉぉぉぉらー!!



黄色チャート2周目!!
「解けなかったけど理解できたもの」のみを解いた。
そして、さらに同じようにコメントを問題そばに書きこんだ。



黄色チャート3周目!!全ての例題と、「解けなかったけど理解できたもの」を解いた。
「意味不明なもの」は放置した。ただし、数学Ⅰの範囲でこれに該当するものは、殆どなかった。

(本当は、分からないところは、教師に聞くべきなのであろう。)

スタンダードは、当時解説に「略解」が多く現れていたが、当時の私は好きだった。

これを1日多いときには4時間くらいやった。

結局、青チャートは、この冬休みはやらなかった。

分からない問題に出くわしたときは、あのクソ野郎のなめた態度が頭をよぎる。

「臭いは関係ないだろうぉぉぉぉぉぉ!怒!怒!怒!怒!怒!怒!怒!怒!怒!怒!怒!怒!」


まさに絶好調だ!!!、、、ところがだ、、、

このガリ勉をやり始めて、4日目位だろうか。

「吐き気がする、、、」

問題を解こうとすると、「吐き気がする」のだ。

問題など見たくもない!!何が勉強だ!!どうせ、俺なんか、、、、、

だが、誰にも心の叫びは伝えなかった。

一人で抱え込んだ。

とても苦しかった。

とうとうブチ切れて、「もうやめた!!テレビ見るぞ!!」と3時間くらい
ボーっとテレビを見ていた。

すると、、、テレビで誰かしらの有名スポーツ選手が、教え子たちに逆上がりを教えていた。

「まず、イメージしろよ!!イメージ出来ないことは、実際にもできるわけないだろう!!」

さらにこういった。

「出来ない、出来ないと思い込んで、俺に逆上がりを無理やり、や、ら、さ、れ、て、る、感じなんだよ!
君たちは!!」

「だからヤル気も出ないんだ!!」

・・・・
AYA:「これだー!!うぉおおおおおおおおおお!!」


見事に真に受けた私は、さっそく同じように具体的にイメージしてみた。


IQの低い俺が、歯を食いしばって勉強を続ける。それで圧倒的に勉強できるようになって、皆が俺を尊敬する。

「IQの低い」ってのがさらに凄い!!

人々は頭の悪い人間が逆転勝ちするサクセスストーリーを求めている。

女の子にも、モテるだろう。彼女もできるだろう。

後輩の女の子達は、

「あの先輩、いつも馬鹿なことやってるけど、勉強はバーリバリできるんだよーー」

「えー、マジー?それってカッコよくない?」

明らかに勉強の目的が本末転倒な方向に行っていることには、突っ込まないで頂きたい。

などと、SFにも似た想像を強く膨らませた。


「あと1日やってみよう」

「あと1日だけ」
、、、と歯を食いしばって勉強した。

勉強前、中、後問わず、強くイメージした。


それから3日後位だろうか、、、

「なんだか楽しい?」

驚くべきことに、数学の勉強が楽しくてたまらなくなっていた。
まだ手をつけていない問題が、目の前にあると、「うまそーだな」などと、思うようにすらなっていた。
こうなれば完全にこっちのものである。 先に挙げた数学の教材をやってやってやりまくった。