お昼くらいに起きて、携帯を見るとクミからメールが来ていた。
「なにしてるー?桃鉄やんなーい?」

本当にヒマなやつ。

「今起きたー桃鉄やるー」

本当にヒマな私。

すぐにメールが返ってくる。
「じゃあ待ってるねー」

あ…私が行くのか。

寒いし雨も降っているし、実は外にあまり出たくない。

着替えたりするのもめんどくさい。

できれば来て欲しい。

だけど、世の中そう甘くない。
というよりクミはそう甘くない。

クミも同じ気持ちで、先手を打って来たのだと思うし、なにより桃鉄はクミの家にある。

しかし、こちらも呼び寄せる材料がないわけではない。

クミは車、私は自転車。

この雨で移動が楽なのは断然クミの方。

よし、これだ。

「外は雨だからさー自転車だと濡れちゃうよー。
クミ様は車だからさークミ様桃鉄持ってうちにおいでよー。
お願ーい」

これで決まりでしょ。

しかし、クミは全く甘くなかった。

「ごめーん、車はママが乗ってっちゃってるのー、だから自転車で会いに来てーお願ーい」

負けた。

そして桃鉄も負けた。