OLD ENGLAND 1989 秋冬 | ELEMENTS OF STYLE

OLD ENGLAND 1989 秋冬

 

今は無きパリの名店OLD ENGLAND

 

 

我々フレンチアイビー世代にとっては、生涯忘れることのできないパリを象徴する名店であった事は間違いありません。

 
 
私が持っている資料の中に1989年秋冬のスタイルブックがあります。
 
 
私が初めてパリに行ったのが1989年の9月なので、おそらくその時にお店でもらったものだと思われます。

 

 

今日はそのスタイルブックのスタイリングをお見せしながら、当時のパリの正統派クラシックの名店がどんな感じだったのか、雰囲気だけでも感じとっていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

表紙はオフホワイトのアランセーターにグレーフランネルのコーディネート。

 

 
男性はクルーネックのアランセーターの上にショールカラーを重ね、女性はクルーネックのカーディガンの下にイエローのモックネックを合わせたレイヤードです。
 
 
当時日本でもINVERALLANのアランセーターが大人気でしたが、特にウィメンズはフレンチトラッドのマストアイテムとして90年代に入ってもその人気が続いていました。
 
 
 
 
 
 
スーツのスタイリングはストライプとグレンプレイド。

 

 
グレーのチョークストライプにオルタネートストライプのシャツ、ネクタイはジャガードです。
 
 
ブレイシーズ(サスペンダー)もドットと柄を多用しているので、英国のスタイリングと比べると少し盛った感じもあります。
 
 
 

 

 

 

ブラウンのグレンプレイドに赤と黄色のウィンドウペンの入ったスーツ。

 

 
スーツにちょっと派手目なベストというスタイリングも、当時のパリのショップのディスプレイでよく見られました。
 
 
英国ではNGなスーツにボタンダウンという合わせもフランスっぽいと言うのが私のイメージです。
 
 
ちなみに、当時のOLD ENGLANDのスーツやジャケットは英国のAUSTIN REEDが作っていましたが、二つボタンで肩バッドがしっかり入って襟のゴージが低いという、80年代の流れを反映させたモデルが主流でした。
 
 
BEAMSで80年代に展開していたOLD ENGLANDのジャケットやスーツもこのモデルでした。
 
 
二つボタンのモデルは確かセンターベントだったような・・・
 
 
その後90年代に入ると英国調の流れが強まり、三つボタンのモデルが主流となっていきます。

 

 

 

 

 

 

今で言うテラコッタ色のツイードジャケット。

 
 
シャツとネクタイの合わせがちょっと?ですが、こういうちょっと野暮ったい感じもフレンチっぽいというのが私のイメージです。
 
 
ちなみに、他のショップでも濃い色のシャツに派手なネクタイというコーディネートは当時よく見かけました。
 

ネクタイとチーフはおそらくDRAKE'Sですね。
 
 
当時DRAKE'SはかなりOLD ENGLANDのネクタイを作っていたとMICHAEL DRAKEから直接聞いていました。
 
 
もっとも、当時はほとんどのアイテムがOLD ENGLANDのネームで売られていたので、どれがDRAKE'Sなのか一般の消費者にはわからないことでした。
 
 
”OLD ENGLANDのものなら間違いない” それが1867年創業の老舗の信頼感でもあるので、商品のバックボーンを知りたいというのは日本人以外いなかったのではないかと思います。
 
 
 
 
 
 
綺麗な色のガンクラブチェックのジャケット。

 

 
英国で見るようなクサいガンクラブチェックに比べると、こういう綺麗な色のガンクラブチェックもフレンチのイメージです。
 

ネクタイの合わせがやはりちょっと野暮ったい・・・
 
 
最初のスーツスタイル以外はベストを合わせていますが、当時のフランスはデザイナーズブランドも含めてとにかくベストを合わせたコーディネートが多く見られたので、フレンチ=ベストをよく合せるというイメージを当時持っていました。
 
 

 
 

 

ハウンドトゥースのスーツに黒のタートルのモノトーンコーディネート。

 

 
まだパリに行ったことがなかった時に、先輩達から聞いていたフレンチの代表的なコーディネート。
 
 
これを見ると何故か安心します(笑)。


今見てもパリっぽいと思ってしまうほど、自分にとってはフレンチな雰囲気を最も感じさせるスタイリングなのです。
 
 
今のパリにはこんな人いないですけどね・・・
 
 
 

 

 

 

マルチカラーのアーガイルは、おそらく当時BEAMSでも大人気だった英国のCOGI(コーギー)

 

 
当時アーガイルのニットはパリでも定番だったので、クラシック系のショップには必ず品揃えされていました。
 

当時のOLD ENGLANDはイタリアの製品がほとんど置いていなかったと記憶していますが、このスタンドカラーのダッフルはイタリアのモノのような感じがします。
 
 
柄モノでも無地であっても綺麗な色のニットはやはりフレンチのイメージでした。
 
 
BEAMSのスタッフでイタリア資本になってからのバランタインのアーガイルを古着で探しているスタッフがいると聞きますが、我々世代のスタッフにとってはCOGIのマルチカラーのアーガイルがお宝ニットだったので、このブログの読者の方で古いアーガイルを探している方がいらっしゃれば、COGIのマルチカラーのアーガイルをおススメします。
 
 

 

 

 

カントリーテイストのスタイリングはこんな感じで、英国のそれとは大きく違います。

 

 
英国であればハンティングですが、パリなので油絵を描くというシチュエーションですね。
 
 
左はオイルドコート(おそらくバブアー)右はスエードのキルティングジャケット。
 
 
当時はパリでもオイルドコートとキルティングジャケットが人気でした。
 
 
それにしても、やはりなんとなく野暮ったいですね(笑)。


でも、こういう野暮ったい感じがフレンチっぽいという側面もあるんです。
 
 
 
 
 
 
 

このあたりも自分がフレンチっぽいと思うスタイリング。

 

 
最近はあまり見かけない、タッターソールのベストはブリティッシュの定番。
 
 
当時はBEAMS Fでも英国製のタッターソールのベストを展開していました。
 
 
ツイードジャケットにシャンブレーのシャツに小紋のアスコットタイ。


当時のフレンチはアスコットタイが定番でした。
 
 
これにバルカラーコートと言うのもフレンチっぽいスタイリングですね。
 

左の女性のスタイリングは、今で言うレイヤードコーディネート。
 
 
タートルやモックネックにシャツを重ねジャケットを着るというコーディネートは、最近BEAMSのメンズスタッフの間でもちょっと流行っている?コーディネート。
 
 
 
 
 
 
ウィメンズはフレンチっぽいとも言えますが、メンズは70年代後半頃のアメリカのイメージですね。
 
 
私的には、シャツの上にポロ襟のニットを重ねるのが当時のフレンチのイメージです
 
 
スカーフをベルトの代わりにするというのも、当時ウィメンズではよくあったこなし。


インスタ映えを狙ってメンズでもやる人がいそうですね・・・(苦笑)。
 
 
 

 

 

 

 

今にも通じる、こんな柔らかい雰囲気のスタイリングもあります。

 

 
当時のフレンチのイメージからすると、ちょっとイタリアっぽい雰囲気かなという感じです。
 

男性はカーディガンにタートルを合わせていますが、ニット オン ニットのレイヤードも当時パリで流行っていたコーディネートです。

 

 

 

 

 

 

OLD ENGLANDは子供服も展開していました。

 

 
男の子のジャケットがマオカラーと言うのもフレンチっぽいですね。
 
 
ちなみに、この画像は1989年に私がOLD ENGLANDの前で撮った写真。
 
 
こんな上品でお金持ちそうな家族が買い物をしている光景が普通に見られました。
 
 
 
 
 
 
 
メンズのスタイリングに比べるとウィメンズのスタイリングは野暮ったさがありません。

 

 

 

 

タキシード風に見えるこのスタイリングは、ベストとパンツがコーデュロイなんです。

 

 

カマーバンドに見えるのも白黒の小紋柄のスカーフ。

 

 

このスタイリングを当時見たときは脱帽モノでした。


靴がブラックスエードのモンクストラップと言うのもパリっぽい雰囲気です。

 

 


 

 

 

メンズライクなスタイリングはこんな感じです。

 

 
OLD ENGLANDと言えば、カラフルなカラーのINVERTEREのダッフルが有名でしたが、このダッフルはおそらくGLOVERALL。
 

自分は縄紐とトグルの付いたクラシックなダッフルコートが好きなので、綺麗な色のGLOVERALLがあれば今でも欲しいです。
 
 
 
 

 
裏表紙はこんな感じです。
 

 

イエローのコーデュロイは当時フレンチトラッドの定番でした。


ちなみに、OLD ENGLANDのパンツはBERNARD ZINSが作っていました。


チノパンは2インプリーツのBRUCE、スラックスは2インプリーツのBACが定番でした(全てOLD ENGLANDネーム)。

 

 

 

 

 

 

このスタイルブック、これより前のスタイルブックに比べると、ちょっとスタイリングの雰囲気が変わりました。

 

 

1986年にOLD ENGLANDの近くにRALPH LOUREN大きな路面店がオープンして、それ以降ちょっとラルフローレンを意識したビジュアルが増えたかなという印象です。

 

 

それまでは、クラシックの大型店はパリではOLD ENGLANDしかなかったので、ある意味独壇場だったところに強力な競合店が出来たという感じだったのではないかと思います。

 


我々も ”パリのラルフローレンはパリっぽくてカッコいい” なんて言ってたくらいなので(苦笑)。


ショップスタッフがフランス人と言うだけで、そんなことはなかったんですが・・・


思い込みと言うのは、しばしば間違った認識を生むものなんです・・・(苦笑)。

 

 

 

 

 

 

フレンチアイビーやフレンチトラッドと言っても当時は色々なショップがあり、それぞれテイストが違っていたので一括りにはできませんでした。

 


当時品揃え店で有名なところでは、MARCHEL LASSANCE、HEMISPHERES、HARRIS、ISLAND 等々。


ブランドで言えば、KENZO HOME、HERMES、ARNYS、AGNES B なども注目されていました。

 

 

その中でもOLD ENGLANDはフランスの正統派クラシックのご用達店であったことは間違いありません。

 

 

1867年に創業したOLD ENGLANDも2012年1月に閉店。

 

 

MARCHEL LASSANCE、HEMISPHERES、ARNYSも今は無き・・・

 


我々世代のフレンチは、もはや古き良き時代のフレンチになってしまったのかなと改めて思う今日この頃。

 

 

最近SNSで”フレンチっぽく” というワードを良く目にしますが、ちょっと違うかなと思いつつ、説教と昔話と自慢話はオヤジがしてはいけないことと、高田純次さんが言っているので、あまり触れないようにしています(笑)。

 

 

なので、自分が知る限りの情報はブログやSNSを通してお伝えしていこうと思います。

 

 

フレンチアイビー関連でちょっと面白い雑誌も手に入ったので、それもご紹介できればと思います。

 

 

お楽しみに。