1985年 パリの若者学
1985年 8月に発行されたPOPEYEの ”パリの若者学” という特集号。
当時のパリの10代の若者たちのライフスタイルを紹介しています。
このブログでも何度か紹介している1984年に発行されたフレンチアイビーの特集に継ぐ号だったので、自分の記憶の中にもかなり色濃く残っていたのですが、この号自体は家で探しても見つからないので、ずっと探していました。
先日BEAMSのアーカイブルームのスタッフが八幡山の古本屋で見つけてくれて、38年振りに内容をチェックすることが出来ました。
巻頭ページはパリのリセ(日本の高等学校)のライフスタイルを紹介したページ。
当時のPOPEYEは、まだモノクロページがありました。
ラコステにチノパンにカーディガン、ソックスはアーガイルと、まさしく当時のフレンチアイビーの典型的なスタイルです。
ちなみに、カーディガンとパンツは当時パリのレアールにあったセレクトショップISLANDのもの。
ISLANDのアイテムは80年代 BEAMSでも展開していました。
文中には彼らの好きなブランドが ”KENZO” と書かれています。
文中には彼らの好きなブランドが ”KENZO” と書かれています。
KENZOは当時フレンチアイビーの若者たちの憧れのブランドでした。
今やネットで誰でも気軽に見れるストリートスナップも当時は貴重でした。
SNSが無い時代、パリまで行ってスナップを撮るのは、色々な意味で容易なものではなかったと思います。
街頭スナップと言うのも昭和っぽくていいですね。
フレンチアイビーと言えばベージュのM65
このスナップが自分の記憶の中に強烈に残っていました。
靴はウェストンのゴルフ風のU-TIP。
オトナ顔負けですね。
チルデンセーターの上にカーディガンと、これもなかなか偏差値が高いですね。
ポロシャツはおそらく当時パリで流行っていたFRED PERRY。
サングラスはおそらくRay BanのWayFarer。
当時どちらもパリで流行っていました。
肩掛けニットも当時のパリで流行っていました。
左の子はレザーに肩掛けですが、ソックスはやはりアーガイル。
アーガイルのソックスはフレンチアイビーの定番でした。
ラコステのポロに肩掛けニット。
自分も当時よくしていました(笑)。
自分も当時よくしていました(笑)。
スエードのベースボールジャケットは当時パリで流行っていましたが、これを見るとメンズだけでなく10代の女性たちの間でも流行っていたようです。
スエードのベースボールジャケットは当時BEAMSでも人気で、入社したばかりの頃、GOLDEN BEARのピッグスエードのベースボールジャケットを良く売ったのを今でも覚えています。
ちなみに、上の子が16歳で下に子が15歳。
なかなか偏差値高いですね。
パンツのシルエットも当時のフレンチの雰囲気です。
デニムを穿いてもスニーカーは履かないというのが、当時のフレンチアイビーのスタイルと言うのは10代も同じ。
レザーのデッキシューズやデザートブーツあたりが最もカジュアルな靴で、カラーのデッキシューズも当時人気でした。
このあたりは同じく80年代にミラノで流行った ”パ二ナリ” と共通しているところでもあります。
当時のフレンチアイビーの定番はポロシャツ、カーディガン、チノパン。
これはオトナもティーンエイジャーも同じでした。
アーガイルのカーディガンは最近あまり見かけないですが、こうやって見るとフレンチっぽくて今また新鮮です。
こんなことを書くと、BEAMSの若いスタッフが古着屋でアーガイルのカーディガンを探しまくります(笑)。
エンブレムが付いたブレザーも当時のフレンチの雰囲気ですね。
エンブレム付きのブレザーは、自分的には60年代~70年代のアイビーのイメージですが、当時はフランスのブランドでも結構見かけたので、 ”フランス人もこんなアイビーっぽいブレザーを着るんだ” という印象でした。
ここ数年日本の若い人たちの間でブレザーが流行っていますが、さすがにエンブレムを付けている人はいないですね。
誰かチャレンジしてみては・・・
エンブレムを付ける時は胸ポケットがパッチポケットでなければなりません。
それだけは覚えておいてくださいね。
他のページではKENZOのメンズについて触れられています。
当時高価なメゾン系ブランドは若い層には見向きもされないのに、KENZOだけが唯一支持されていると書かれています。
KENZOのメンズは当時フレンチアイビーの人たちの憧れのブランドと言われていましたが、ティーンエイジャー達にとっても憧れのブランドだったということですね。
賢三さん自身のスタイルが、上の画像のようにトラディショナルなスタイルだったのも支持される理由だったのかもしれません。
そして、フランスで大ベストセラーとなったこの本も紹介されています。
”BCBG” 当時のフランスの上流階級の人たちのライフスタイルが書かれています。
フレンチトラッドな人たちの愛読書でもありました。
日本語版も出ていますので、ご興味のある方は古本屋かネットで探してみてください。
こうやって見ると、当時のパリのティーンエイジャーのファッション偏差値はかなり高いですね。
カジュアルなスタイルでも足元はレザーシューズと言うのが、フレンチアイビーの典型的なスタイルでしたが、10代の子供たちも同じ感覚なのは当時驚きました。
大人と同じようなものをさらっと着こなしている、当時はそんな印象を強く持ちました。
当時お洒落をしていた彼らが、今どんな格好をしているのか興味がありますね。
もし機会があれば、モードな人たちではないパリの人たちのスナップを撮りに行きたいものです。
昔のフレンチアイビーみたいな人はほとんどいないと聞いていますが・・・
”フレンチアイビーをヨーロッパの人に聞いても皆知らないので、日本で勝手に作られたものでは” と言う人もいますが、それは間違いです。
フレンチアイビーやフレンチトラッドの代表的なショップであったMARCEL LASSANCEのオーナー、ラサンス氏本人がSHIPSさんのウェブサイトでフレンチアイビーについて語っています。
「フレンチ・アイビーやフレンチ・トラッドは、かつてのアメリカン・プレッピーをフランスで再現したスタイルですが、他のテイストが様々混ざり合っているのがユニークなんです。例えば、どういうわけかイギリスのモッズの要素が感じられたり。その始まりは、1965年頃ですが、もっとも特徴的なアイテムは、メタルボタンが付いたダブルブレストのネイビーブレザー、オックスフォードのボタンダウンシャツ、白いソックスとビーフローファーなどです。あとは、コーデュロイリーバイスの5ポケットパンツ、クラークスのデザートブーツ、シェットランドセーターも忘れてはいけません。それらは、60年代にシャンゼリゼ通りにあったドラッグストア“The Minets”に群がる若者グループの恰好だったんですよ。マルセル・ラサンスは、1984年に日本へ上陸しました。感度が高くクラシックなアプローチの魅力をよく理解している日本のみなさんに共感していただけたことは、非常に嬉しいことです。みなさんに出会えたことを誇りに思っていますし、感謝しています」
自分がフレンチアイビーを知ったのが1980年代前半頃ですが、その起源は60年代中頃だということを、これを見て初めて知りました。
やはり先人たちの話を聞くことは大事ですね。
自分はフレンチアイビーが盛り上がっていた頃のパリをリアルに知るギリギリの世代なので、今のヨーロッパのインフルエンサー達が知らないのは仕方がないことだと思います。
自分の世代のイタリア人も英国人も、当時パリのショップと取引していた人以外は、そのムーブメントはわからないと思います。
ある意味フレンチアイビーやフレンチトラッドは、フランス人にしかわからないテイストだったのだと思います。
そして、60年代から70年代にかけてアイビーやプレッピーの大流行を経験した日本人にとっては、フランスのフィルターを通したとトラディショナルスタイルがとても新鮮だったのは言うまでもありません。
フレンチアイビーはPOPEYEが日本に紹介し、その後他のファッション誌でも取り上げられました。
自分の記憶の中に残っていることもまだあるので、また資料が見つかったら紹介していきたいと思います。
このブログは日本語なのでグローバルなモノではないですが、インスタグラムでも拡散しているので、もし今回のブログを見て ”これ俺だ” みたいなリアクションがあれば嬉しいですね。
本当にあったらめちゃくちゃ嬉しいです。
B印MARKET 久しぶりに更新しました。
今回のおススメは、元BRILLAのバイヤーだった高田氏が手掛けた+PHENIXのM-65とFIELD COATです。
https://www.beams.co.jp/special/bjirushi_market/kojin-shoten-post/7031/
ベージュのM-65とモッズパーカはフレンチアイビーの定番なので、これもある意味アップデートされたフレンチアイビー的なアイテムですね。
自分はベージュのM-65購入しました。
ご興味のある方は是非チェックしてください。
久しぶりにCHANNEL KOTAROに出演しました。
衣替えとなっていますが、時計ベルトのお話しです。
是非ご視聴ください。
CUSTOM TAILOR BEAMSのおススメの生地についてです。
是非ご視聴ください。