70年代後半のアメトラ | ELEMENTS OF STYLE

70年代後半のアメトラ

 

MEN'S CLUB 1978年 12月増刊号。

 

 

トラッド ルック特集号 AMERICAN TRADITIONAL。

 

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自分が高校一年生の時に発行された本です。

 

 

メンズクラブを読み始めたのは中学一年生(1975年)からで、毎月購読していたので、この号も当然持っていました。

 

 

記憶力が良いので表紙を覚えていて、中の内容も見たらすぐに思い出します。

 

 

その記憶力を学問に活かせればもっと優秀な頭脳になっていたかもしれませんが、興味があることと無いことに対しての記憶力の差がかなりあります(苦笑)。

 

 

まあ、昭和から平成の洋服屋にとっては、それで良かったのかもしれませんね。

 

 

今回はこの号の内容に触れながら、当時(70年代後半)のアメリカン トラディショナルの流れについて触れたいと思います。

 

 

 

 

 

 

当時注目されていたニューヨーク デザイナーズ。

 

 

このブログでも度々触れてきましたが、当時注目されていたのがニューヨークを拠点としていたトラディショナル派のデザイナー達でした。

 

 

 

 

 

JEFFREY BANKS(ジェフリー バンクス)

 

 

 
ジェフリー バンクスはラルフ ローレンとカルバン クラインという、当時最も勢いのあった両デザイナーのアシスタントを務めたことでも有名です。
 
 
1977年頃に自身のブランドを立ち上げ、ポール スチュアート、ニーマン マーカス、サックス フィフス アヴェニューなどの高級店で扱われていました。
 
 
当時のジェフリー バンクスを知らない人でも、プレッピーに興味のある人であれば、この本のことは知っている人も多いのではないでしょうか。
 
 
2011年に発刊された ”PREPPY CULTIVATING IVY STYLE” 
 
 
アメリカのプレッピースタイルのルーツ、成長、そして派生について紹介している書籍です。
 
 
この書籍の著者がジェフリー バンクスです。
 
 
 
 

 

ALEXANDER JULIAN(アレクサンダー ジュリアン)

 

 

 

アレキサンダー ジュリアンと言えば、我々世代は ”色の魔術師” というフレーズがすぐに思い浮かびます。

 

 

上の画像でもかなり色を使ったツイードのジャケットを着ていますが、アレキサンダー ジュリアンと言えば、こんなカラフルな色づかいのテキスタイルと色合わせが特徴です。

 

 

最近はどんな活動をしているのかわからなかったのですが、数年前にBEAMS Fにリサーチに来られていました。

 

 

どこかで見たことがある外人さんだなと思ったら、ご本人でした。

 

 

2015年に息子のヒューストン氏と休止していたブランドを再開し、現在もデザイナーとして活躍しているようです。

 

 

 

 

 

 

SALVATORE CESARANI(サルバトーレ セザラニ)

 

 

 
ラルフ ローレンの片腕として、デザインは素人だったラルフ ローレンのイメージを実際に形にしていたのがセザラニと言われています。


映画 ”華麗なるギャツビー”の衣装を実際に手掛けたのも、ラルフ ローレンに在籍中だったセザラニであることはファッション業界では有名な話です。
 
 
そして、1980年のレイクプラシッド オリンピックの公式ユニフォームを手掛けたことでも有名です。
 
 
自分にとって3人の中ではセザラニが一番馴染みがあります。
 
 
理由は友人が80年代中頃ニューヨークに留学していて、当時セザラニのオフィスでアルバイトをしていたので、彼の話は友人を通してよく聞いていました。
 
 
なので、会ったことはないですが、勝手に親近感を感じています(笑)。
 
 
現在はニューヨークでニットのコレクションを展開しているそうです。
 
 
 
 
 
 
当時ラルフローレンはすでに別格で、それに続くクラシック系のデザイナーが彼らでした。
 
 
ショップだとPOUL STUARTも同じジャンルになるのかなと思います。
 
 
そして、80年代に入るとALAN FLUSSERがこれに加わるという感じです。
 
 
 
 
 
何故そのような流れになったかは、こちらで解説していますので是非ご一読ください。
 
ちなみに、当時アメリカで大きな流れになっていたと言われているニューヨーク デザイナーズですが、実際は同時期に大流行していたアルマーニを中心としたイタリアン デザイナーズの勢いにかなりおされていたと言われています。
 
 
それについては、自分のバイイングの経験の中でも色々なエピソードがあるので、また別の機会にお話ししたいと思います。
 
 
 
 
 

PREPPIEの語源でもある、PREPARATORY SCHOOL(プレパラトリースクール)の名門 フィリップ アカデミー アンドーバーの入学式のスナップ特集もあります。

 

 

 

 

 

 

今ではネットで気軽に見れるスナップも当時はとても貴重なものでした。

 

 

アイビーリーグの予科のような役割を果たしていたスクールだけあって、親は皆アイビーをベースとしたアメリカントラディショナル スタイルです。



70年代後半ということもあり、ジャケットの襟幅も広く、パンツも裾幅が広いものが多く見受けられます。

 

 

私はよく時代性という話をしますが、こうやって見るとアイビーやアメリカントラディショナルスタイルも確実に時代によって変化しているのが分かると思います。

 

 

 

 

 

もうひとつ興味深いのが、ハーバード大学があるケンブリッジにあったプレッピー御用達のショップ ”THE PREP SHOP” の紹介記事。

 

 

 
 
 
ボストンの郊外、マサチューセッツ州やニューイングランド地方にはプレップスクールが多く、そこに通う生徒たちを対象に衣料品を販売している店ということ。
 
 
こういった店(プレップスクールに通う子供たちの専門店)が意外と少なかったらしく、アメリカ全土から注文が着ていたらしいです。
 
 
扱っているものは、ブレザー、ツイードやフランネルのスーツやジャケット、レジメンタルタイ、タッセル スリッポン、ラコステのポロ、トップサイダー、ダウンジャケットにマウンテンパーカ等々・・・
 
 
まさにプレッピーですね。
 
 
自分も高校生の頃にこんな店に行ってみたかったという感じです。
 
 
 
 
 
 
BRAND STORYのページでは、BOSTONIANの靴が紹介されています。
 
 
 
 
 
グローブレザーのスリッポン、当時日本でも大流行していたサドルシューズ、アイビーの定番で ”おかめ靴” とも言われていた外羽根のフルブローグ。


日本でALDENなどまだ知られていなかった時代、BOSTONIAN、NETTLTONE、JOHNSTON&MURPHY、FLORSHEIM、COLE HAAN、SEBAGO、BASSなど、田舎の少年だった私にとっては、どれも憧れのブランドでした。
 
 
今でも私がセバゴのデッキシューズやビーフロールローファー、BASSのグローブレザーのローファーを好んで履いているのは、この当時のイメージが強く残っているからなのです。

 
 
 
 
 
バッグはTRAFALGAR。
 
 
 
自分にとってアメリカのバッグと言えばトラファルガーなんです。
 
 
洋服屋になってからは、このようなバッグの本流が英国にある事を知りますが、この頃はキャンバスとレザーのコンビのバッグと言えばトラファルガーでした。


そして、リボンベルトもトラファルガーでした。
 
 
自分もワインレッドにネイビーのストライプのものを持っています。
 
 
この当時のものなので、当然サイズが合わなくて今は使うことはできませんが、資料として残してあります。
 
 
バイヤーになってからは、このトラファルガーのリボンベルトをオマージュして、英国やイタリアのメーカーで何度もリボンベルトを作りました。
 
 
今でも自分の中では、リボンベルトと言えばトラファルガーなのです。
 
 
 
 
 
 
1976年くらいから、メンズクラブでもヘビーデューティーの特集が組まれるようになりました。
 
 
 
 
ヘビーデューティーとアイビーを合体させた ”ヘビアイ” なるものも出てきて、日本でも本格的なアウトドアウェアのブームが起きました。
 
 
これについては、また秋冬シーズンになったら詳しく触れたいと思います。
 
 
 
 
 
 
ちなみに、ファッション業界でちょっとブームになりつつある?レイヤードコーディネートは、この当時のヘビーデューティーの流れと関連性があります。
 
 
 
ネルシャツの下にタートルを着てジャケットを羽織るというコーディネートもまさにそれです。
 
 
これについても秋冬になったら触れたいと思います。
 
 
 
 
 
 
当時スーツは3ピースが正統と言われていました。
 
 
 
ビジネスライクなスーツだけでなく、ツイードやコーデュロイなどのスポーティーなスーツも3ピースが多かった時代です。
 
 
ちなみに、今で言うリクルートスーツは、グレーの3ピースに白のボタンダウン、レジメンタルタイ、黒のウィングチップが最も面接受けするスタイルと言われていました。
 
 
 
 
 
 
この号には、BEAMS Fのオープン告知があります。
 
 
45年前の10月にBEAMS Fはオープンしました。
 
 
西海岸のテイストでスタートしたBEAMSが、ニューヨークデザイナーズやプレッピーなど、東海岸の流れが来たタイミングでBEAMS Fをオープンさせました。
 
 
この7年後の秋に私はBEAMSにアルバイトとして入社することになりますが、田舎の高校生にはBEAMS Fがどんなお店なのか、この時はまだ知る由もありませんでした。
 
 
 
 

 

 

70年代後半頃のアメリカのトラッドについて軽く触れようと思いましたが、書き始めたらどんどん長文になってしまいました(苦笑)。



ブログという書きもので、どれくらい深堀するか書いているうちにわからなくなるんです。

 

 

なので、今回は当時の記憶をたどりながら、皆さんに飽きずに読んでいただけるギリギリの長さで書きました。





 

 

こうやって見ると当時のメンクラは現地取材もたくさんあって、とても濃い内容だったと今見ても改めて思います。

 

 

昨今プレッピーやヘビーデューティー、ブリティッシュアメリカンなど、70年代のアメリカのリバイバルの流れがあるので、メンズクラブでもう一度当時のリアルなスタイルを紹介すれば、若い世代の人たちも興味を持ってくれるのではないかと思います。

 

 

増刊号でもいいので、そういう企画できないかなと勝手に思っています。

 

 

パリの有名セレクトショップでも70年代のメンクラが高い値段で売られているくらいですから、海外でも相当うけると思います。

 

 

当時のアメリカのトラディショナルのリアルな資料と情報を持っているのは、世界中を見回してもメンクラが一番だと思います。

 

 

多分ご本人たちが、その価値をわかっていないのかもしれません。

 

 

MEN'S CLUB Special Issue
”The History of the American Traditional”

 

 

勝手に名前まで考えました。

 

 

皆さん、そういう本見たいと思いませんか?

 

 

 


 

 



MR_BEAMS CHANNEL 更新しました。

 

 

今シーズンのおすすめアイテム ドレス編です。

是非ご視聴ください。

 

 

 

 

 

 

CHANNEL KOTAROで1月の行われたPITTI UOMOについてお話ししています。

 

 

私の視点だけではなく、神藤さんの視点も入れてお話しています。

 

是非ご視聴ください。