BEAMS F オリジナルジャケット ファーストモデル | ELEMENTS OF STYLE

BEAMS F オリジナルジャケット ファーストモデル

 

BEAMSのオフィスの3階にあるアーカイブの展示スペース。

 

 

 

 

 

 
一般の方には公開していないのですが、創業の1976年から現在までのアーカイブアイテムが展示されています。
 
 
 
 
 

1978年からスタートしたBEAMS Fのコーナーもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
オープン当時から展開していたブレザーやSALFORD(当時のシャツのオリジナルネーム)のバンドカラーやレギュラーカラーのシャツ、ネルのチェックのボタンダウン、ノベルティーのキーフォルダーやプレートなど、当時展開されていたものが展示されています。
 
 
 
 
実は本格的にアーカイブのアイテムを集め始めたのは数年前から。
 
 
80年代や90年代のものは自分も含めまだ在籍しているスタッフが多いので、比較的集めることができます。


それでも多くはないので、簡単に集められるものではありません。


70年代のものになると、当時在籍していたスタッフも殆どいないので、集めることはかなり難しく、OBやOGの持っているものに頼るしかありません。


そのようの状況の中、OBが所有しているBEAMS F創業当時のツイードジャケットを借りることが出来ました。
 
 
 
 
 
そのジャケットがコレです。

 

 

 

 

 

 

 

 
おそらくBEAMS Fで初めてのオリジナルのジャケット。

 
生地は当時から80年代中頃までオリジナルのジャケットによく使われていた、CALEDON(カレドン)というアイリッシュツイードです。
 
 
そして、このジャケットを作っていたのがRING JACKET。
 
 
BEAMSとRING JACKETの長いお付き合いを物語っています。


 
 
 

モデルは2Bズートと言われた、2つボタンで前ダーツがなく、ウェストシェイプのないモデル。

 

 
60年代のアメリカの古着をサンプルに、当時のアメリカントラディショナルの雰囲気をBEAMS Fなりに解釈して作ったモデルで、このモデルを作ったのが、重松さん(現ユナイテッドアローズ 名誉会長)だと聞いています。
 
 

 

 

 

襟はナローラペルで肩はナチュラルショルダー。

 

 
60年代のアメリカの古着がベースになっているので襟はナローラペルです。
 
 
肩は薄いパッドの入ったナチュラルショルダー。
 
 
ナチュラルショルダーと言っても、現在の肩パッドの入っていないBEAMS Fのオリジナルに比べるとしっかりパッドが入っている感じがします。


胸のパッチポケットも今のものと比べると大きいですね。
 
 

 

 

袖ボタンは二つ。

 

 
60年代のアメリカントラディショナルがベースであれば、袖ボタンは2つですね。

 

 

 

 

ベントは短めのセンターベント。

 

 
アメリカを意識していますが、当時日本のトラッドショップで売られていたようなリアルアイビーモデルではないので、センターフックベントではありません。

 

 

 

 

ボタンはホーンボタン(水牛の角)。

 

 
二重たらいと言われる、ボタンの中心にくぼみがあるクラシックな形状のボタンです。
 
 
ボタンのクオリティーも当時から最上級なモノを使用していました。
 
 
 
 
 
前振りの袖、一枚襟、裏地の手縫い処理と、40年以上前に既に現在と近い縫製レベルで作られています。

 

 

 

 

 


自分も改めて見ると、当時からよくここまで凝ったものづくりをしていたなと感心させられます。


どのような流れでRING JACKETにお願いすることになったのかは、BEAMSの歴史をまとめた資料を見ても明記されていませんが、いずれにしても今も続くBEAMSとRING JACKETの初めてのコラボだったことには間違いありません。


このBEAMS Fの2Bズートモデルは、当時ファッション業界人達にも大人気で、有名なデザイナーの方々が自分用に買っていったそうです。

 
ちなみに、私がBEAMSのアルバイトで入社した1985年当時、この2Bズートモデルの進化版がまだBEAMS Fで展開されていました。
 
 
 
 
 
 
80年代中頃は、BEAMS FのオリジナルネームはWINDSOR&SIMPSONに変わっています。
 

WINDSOR&SIMPSON(ウィンザー公とシンプソン夫人)って、今になってみればかなりベタなネームですね(笑)。


生地もCALEDONを使ったものがまだ展開されていたので、BEAMS FにとってCALEDONのアイリッシュツイードはハリスツイードより定番だったのかもしれません。(ハリスツイードを使ったものもありましたが、CALEDONの方が多かったような記憶があります)
 
 
ちなみに、このジャケットに使われているCALEDONのツイードはおそらく600グラム以上あるので、今であればコートで使うくらいの重さがあります。
 

当時はツイードジャケットと言えばこのくらいのウエイトが普通でしたが、今は難しいですね。
 
 
 
 
 
 
そして、この後BEAMS Fのオリジナルジャケットは、 MEN'S EX ONLINEの中村アーカイブでも紹介した 2ボタンで短いサイドベンツの入ったモデルに移行して行きます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
このジャケットの詳細に関しては、MEN'S EX ONLINEのこちらの記事をご覧ください。
 
 
 
 
 
実はこのBEAMS F オリジナルのファーストモデル、持ち主のOBから返却依頼があり、近々返却しなければならなくなりました。
 

image

 

さすがにこの当時のものは着数もそれほど作っていなかったので、古着屋やネットオークションでもなかなか見つかりません。(WINDSOR&SIMPSONネームのものは、たまに見つかることはあります)

 

 

RING JACKETにもさすがに型紙は残っていないので、このジャケットを送ってリプロできないか福島社長に相談中です。

 


ネームは当時のものが数枚残っていたので、あとはどれだけ再現できるかです。

 

 

ちなみに、このジャケットを復刻させる予定はありません。

 

 

当時はベーシックなモノでしたが、今着てみると野暮ったくてとても着れるものではありません。

 

 

自分の ”ずっと買った当時と同じ気持ちで着続けられるものはない” という持論は、まさにこう言うことなのです。

 

 

もちろん、今の時代感に合わせてこのジャケットをアップデートさせることはできます。

 

少なくとも自分の中ではすでにイメージはありますが、作る予定はありません(笑)。

 


 

 

 

今回は読者の方もおそらくほとんど知らないと思われる、BEAMS Fのオリジナルジャケットのファーストモデルを紹介しました。


皆さんが知っている今のBEAMS Fのオリジナルのジャケットは、この後80年代後半から始まる英国調のトレンドを取り入れて作ったものがベースになっています。


その話もまた別の機会にしたいと思います。

 


アーカイブの話は結構深いものがあります。


ブログで書くのは正直に言うと、かなりの根気と労力を必要とします。

 

 

今回も軽く書こうかと思ったのですが、無理でした・・・(苦笑)。

 

 

逆に書いているうちに、もっと詳しく書かなければという思いも出てきて、結局数時間もかかり・・・

 

 

いつもこんな感じなんです。

 

 

なので、できるだけ多くの方にじっくり読んでいただけると嬉しいです。

 

 

 




 

ポッドキャスト番組 ”聴くカルチャーストーリー by BEAMS ARCHIVES” でBEAMS Fの歴史について色々お話ししています。

 

是非お聴きください。

 

 

 

 


 

来週末はBEAMS新潟店でトークイベントやります。

 

 

伊藤さん、初のトークイベント。

 

何を話してくれるのか自分も楽しみです(笑)。

 

お近くの方は是非お越しください。