フレンチなアイテム ”ラバーライズドのハーフコート” | ELEMENTS OF STYLE

フレンチなアイテム ”ラバーライズドのハーフコート”

 

なんとなく言葉ばかりが先行している感のある ”パリっぽい”とか ”フレンチっぽい” という表現・・・


ファッション業界の中でも ”パリっぽいとかフレンチっぽいというのはどんな感じですか?” という戸惑いの声が聞かれるのに、一般の方たちはもっと ”なんのことだかよくわからない” というのが実情ではないかと思います。


このブログでなんども80年代のフレンチアイビーについては触れてきましたが、もう少し幅を広げて、私が実際に経験してきた80年代から90年代のフレンチアイビーやフレンチトラディショナルなアイテムについて、不定期にはなりますが、連載のようなかたちで紹介していこうと思います。


ということで、初回は80年代から90年代にパリで大流行していた、ラバーライズドのハーフコートについてです。

 

 

 

 

 

1987年頃にパリに出張に行ったスタッフが、現地で個人買いしてきたカラフルな色のボディーにコーデュロイの襟が付いたラバーライズド(ゴム引き)のハーフコート。


当時すでに日本でもラバーライズドのコートはありましたが、普通のバルカラーで色もオフホワイトやベージュやカーキなどの定番の色ばかりだったので、カラフルな色のハーフコートを初めて見た時は、かなりインパクトがありました。
 

 

1989年に初めて出張でパリに行くと、OLD ENGLANDやHEMISPHERESやHERMESのウインドウをカラフルな色のラバーライズドのコートが飾っているのを目の当たりします。

 

 

1990年9月 パリのHERMES

 

 

1990年9月 パリのHEMISPHERES

 

 

1993年1月 パリのOLD ENGLAND

 

 

1994年1月 パリのOLD ENGLAND

 

御覧のように、先輩達から聞いていたとおり、パリでは綺麗な色のラバーライズドのハーフコートが流行っていることを実感し、その後定番となり90年代後半までは、有名店の店頭で見かけました。

 



 

 

 

今はMACKINTOSH一択という感じですが、当時はまだラバーライズドのコートを作るファクトリーが他にもありました。



TRADITHIONAL WEATHER WEAR(当時はMACKINTOSHかTRADITIONALかネームを選べました)、DAVID MARSH、P&Oなどが有名でしたが、ストアネームで展開している店も多く、どこのファクトリーで作っているのかわからないものも多かったです。

 

 

特にHERMESがどこのファクトリーで作っているかは、最大の関心事でもありました(笑)。

 

 

MACKINTOSHという説が有力でしたが・・・


 

当時日本ではフレンチアイビー的なアイテムという認識でしたが、実際には英国でもラバーライズドのハーフコートは流行っていて、ロンドンのCORDINGSなどに行くと、パリと同様にカラフルなカラーのラバーライズドのハーフコートが展開されていました。

 

 

同じようなモノでもパリで見るとパリっぽいというイメージになったのは、今思えばただのパリかぶれの若造の勘違いだったのかもしれません(苦笑)。
 

 

 


 

 

90年代に入り、ラバーライズドのハーフコートは日本でも人気アイテムとなり、ハーフコートがトレンドだったことで、様々なブランドやファクトリーのコートが店頭に並ぶようになりました。

 

 

 

 

1989年のBEAMSの春夏カタログに掲載されている、BEAMS F オリジナルの英国製ラバーライズドのハーフコート。



当時はスコットランドやイングランドでラバーライズドのコートを作れるファクトリーが、自分が知るだけでも4~5社ありました。



その後、自分がバイヤーとなり、このコートも90年代の中頃まで展開していました。
 

 

 

 

 

 

BEGINの1991年11月号に掲載されているDAVID MARSHのラバーライズドのハーフコート。

 



この頃になると、日本のファッション誌でも紹介されることが多くなりました。

 

 

ちなみに、このコートは当時パリにあったMARINA DE BOURBONの日本ショップ(UAさんが運営していました)で扱っていたもの。



やはり切り口はパリですね。

 

 

 

 


 

ということで、フレンチなアイテムの初回はラバーライズドのハーフコートのお話でした。
 

 

ラバーライズドのハーフコートは古着でも見かけますが、当時のパリでは流行っていたキレイな色のボディーで襟がコーデュロイというものは、ほとんど見かけません(ネットで見る限りですが)。


ちなみに、”パリっぽい” と語るには、襟がコーデュロイというディティールは外せません。



仮に当時のものが見つかったとしても、ゴムが経年劣化しているのは避けられないので、程度の良いものが見つかる可能性はかなり低いと思います。

 

 

ならば、カラフルなラバーライズドのハーフコートをBEAMSで展開しようと数年前から考えていましたが、価格が高騰しているのと、ラバーライズドの最大のウイークポイントであるケアの問題があるので、ラバーライズド風の風合いのコートが出来ないかなと思っています。

 

 

フレンチビンテージを得意とするあるブランドに提案しているのですが、あまり刺さらないようで・・・
 

 

サプライヤーの皆様、良い提案があればお待ちしています(笑)。