パンツの丈の長さ
最近 ”パンツの丈の長さは長めがトレンドなので、長くしようと思いますがどうでしょうか” という質問をされることがよくあります。
答えは正しくもあり、間違ってもいます・・・
どういう事かというと、それはパンツのシルエットや裾幅によって変わるものなので、なんでも長くすればいいということではないのです。
私がイタリア出張で撮ってきた画像で具体的に検証してみたいと思います。
短く感じてきて長くしようと思っている方は、おそらくこのくらいの長さにしているのかなと思います。
いわゆるくるぶし丈と言われる長さで、確かに今となっては短いかなと思います。
ですが、スリムなパンツをくるぶし丈で穿いているいる人は現地ではまだまだ多いのが実情です。
では、丈を長めに穿いている人はどんなパンツを穿いているかというと、全体的にゆったりしたシルエットで裾幅も広めのパンツを穿いている人がほとんどです。
ご覧のとおり、いわゆるハーフクッションやワンクッションという長さです。
ちなみに、太いパンツを短めに穿いている人もわりと見かけます。
これに関してはセオリーがどうこうは関係なく、ファッション業界人である彼らのパーソナルな個性であって、良し悪しを語るものではありません。
ダブルの幅を見ると、裾幅が広いパンツを短く穿く人はダブルの幅が細めです。
幅はおそらく3.5㎝くらい。
この太さのパンツをこの丈で穿く場合、ダブルの幅が広いと股下が短く見えるので、スタイルが悪く見えてしまいます。
余談ですが、80年代や90年代前半頃、プリーツの入った太いパンツが流行った頃はダブルの幅は3.5㎝が主流でした。
フレンチアイビーも3.5㎝でした。
裾幅が細いパンツを長い丈で穿くのはもちろんNGです。
さすがにスリムなパンツをこんな長さで穿きたいという人はいないと思いますが、裾幅の細いパンツを長い丈にすると裾にたまりができて、当然パンツのシルエットが台無しになりスタイルも悪く見えます。
テーパードがかかって裾幅が細めのパンツの丈感で、個人的に良いと思う画像をピックアップしました。
おそらく裾幅は18㎝~19㎝くらいだと思いますが、裾の前部分がスリッポンのタンの部分に軽く触れ、後ろ部分が履き口に触れるか触れないかくらいが、今の流れから考えた丁度いい丈ではないかと思います。
このくらいの長さにすると、素足の場合は肌が少しだけ見えるくらいになり、ソックスを履いている場合はソックスが少しだけ見えるようになります。
最初にお見せした短い丈のパンツに比べると、自然な感じに見えて印象も良いと思います。
BEAMSのスタッフから、ハーフクッションやワンクッションをすすめられたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こんな感じがいわゆるハーフクッションです。
パンツの裾が靴の甲に軽く触れ、ほんの少し裾の前部分が折れるのをハーフクッションと言います。
このくらいの長さになると裾幅が細いパンツには向きません。
上のスタッフの画像のように、裾幅が最低でも19.5㎝以上ないとパンツのシルエットがきれいにでません。
つまり、裾幅が細いパンツには向かない丈の長さです。
実際の画像をお見せして色々お話ししましたが、まとめると。
丈の長さはパンツのシルエットや裾幅によって変わります。
特に裾幅は重要なポイントです。
裾幅が18㎝(もしくはそれ以下)~19㎝くらいはノークッションで合わせた方がよく、くるぶし丈で短く穿いていた人が長くしたい場合は、これより長くしないほうが良いと思います。
ハーフクッションやワンクッションは、裾幅が19.5㎝以上が一つの目安でワンクッションで穿く場合は20㎝以上の裾幅がないと難しいと思います。
単純に数値ではかれない部分もありますが、自分の経験上大まかな目安はこのくらいでないかと思います。
さらに、本来は裾幅と靴の相性というのもありますが、それをリンクさせると、とても難しい話になるので別の機会に。
最近ファッション業界人を中心に太めのパンツを穿く人が増えて、そのようなパンツを穿く人たちが長めの丈で穿いているのを店頭やSNSで見て、丈は長めが流行っているように感じて、裾幅が細いパンツを穿く人も丈を長くしないといけないと思い込む人が増えているのかなと感じます。
もしくは、なんでも長めをすすめるショップスタッフがいるとすれば、それは問題ありです。
冒頭にも述べたように、ひところ流行った足首がはっきり見えるような丈感は確かに古くなったと言わざるをえません。
そのような丈のパンツを長くする場合は、上の画像でお見せしたような、ノークッションでくるぶしが隠れるくらいの長さが良いと思います。
もしご自身でショップスタッフにうまくイメージを伝えられない場合は、自分が良いと思う丈の長さの画像を見せて、それと同じような長さに合わせるように伝えるよ良いと思います。
なんとなくファッション業界人を中心に太めのパンツが流行っているように感じている方も多いと思いますが、実際にヨーロッパに行くと、ファッション業界人も細いパンツを穿いた人の方がまだまだ圧倒時に多いというのが実情です。
BEAMSでも毎週上がってくるセールスレポートを見ても、今でもトップ30位くらいまではノープリーツとワンプリーツの細身のパンツです。
なので、スリムなパンツが好きな人は、無理に太いパンツを穿くことはないので、自信をもって細いパンツを穿いてください。
いつもタイトでパツパツ(笑)。
何が流行ろうが自分のスタイルを貫く人。
彼のような人が、ある意味いまのファッション業界では貴重な存在なのかもしれません。
お待たせしました。
MR_BEAMS 2024春夏 リコメンドアイテム カジュアルアイテム編アップしました。
すでに完売のアイテムもありますが、是非ご視聴ください。