日本でも健康への観点からサプリメントの重要性が少しずつ見直されてきているように思います。とは言え、まだ日本のサプリメントは「なんとなく効きそう」なレベルがまかり通ってしまっています。健康になりたいという気持ちでお金を払い、せっせと摂取しているのに効果がないなんてもったいない限り。でも、効果を出すために必要な量に達していないサプリメントを摂取しても「効いているような……?」といった程度の実感しか持てないのは当たり前。その結果「やっぱりサプリって効かないわ」「どうも効果が感じられないから続かない」という人が増え、中身の乏しいサプリが巷に氾濫したままになっているのかもしれません。



 

「ビタミンCは免疫力を上げる」など、皆さんよくご存知です。そして、それぞれが間違っているわけではありません。けれど1つ、大きな落とし穴があります。それは“栄養素は必ずチームで働く”ということ。巷では栄養素が単独で効くように言われていますが、それは大きな間違い。1つの栄養素だけをサプリメントで摂るのは、実はとっても非効率。チームになってこそ効果を発揮する、としっかり頭に入れておいてください。

 たとえば貧血を例にとりましょう。鉄分が貧血対策に効果的であることはご存知ですよね。けれど、これにも大きな盲点があります。貧血は「鉄が足りないから起こる」のではなく、「鉄が不足することで、全身が酸欠状態になる」ので、めまいや疲れといった貧血の症状が起きるのです。酸素を体のすみずみに運ぶのは、血液中の赤血球の役割です。鉄が酸素を運ぶわけではありません。けれど、鉄には赤血球を生成する働きがあるので、鉄分が不足することによって赤血球も減り、それによって体を巡る酸素の量が減って貧血になるのです。では、といって鉄分をせっせと摂っても、それだけでは赤血球は増えません。鉄が赤血球を作る上で欠かせない材料なのは確かですが、ビタミンB12(貝類に多く含まれます)や葉酸(緑黄色野菜に多く含まれます)を一緒に摂ると、赤血球の生成がぐんとスムーズになります。貧血になったからといって一生懸命にプルーンを食べても、なかなか改善しません。同時にビタミンB12や葉酸も摂ること。あるいは1つの食品でいっぺんに摂りたいなら、鉄分と同時にビタミンB12や葉酸も含んでいるレバーが効率的です。

このように、ビタミンやミネラルなどの栄養素は“合わせて摂る”ことで本来の力が発揮できるしくみになっています。ある特定の栄養素だけを多めに摂取しても、症状が改善したり、肌がきれいになったりという効果は実感しにくいはず。
ビタミン類の悪しき特徴なのですが、代謝するときに「一番少ないものに足並みを揃える」のです。確かにビタミンCは重要なビタミンですが、A、B、Eといった各種ビタミンが摂れていないと、効果を発揮することができません。せっせとビタミンCを飲んでも余分なものと判断され、尿となって流れてしまうとしたら……もったいないですよね。

まずは日ごろからバランスのいい食事を心がけ、栄養素をチャージしておく。その上で、自分に足りないものを補ってください。そもそも食事のバランスが偏っているのならば、マルチビタミン・ミネラルでベースを整えましょう。そうやってベースが整うことで初めて、「自分に足りない」「私にはこれが必要」と思う単独のサプリメントも効果を発揮します。



 

また、口内炎ができやすい、あるいは肌が荒れている、疲れやすいなどの不調を感じていたら、それも栄養不足の現われです。食生活を改善すること、またサプリメントで不足している栄養素を補うことが必要です。その場合にも、1つの栄養素で症状を緩和するのが難しいことはお忘れなく。たとえば口内炎ができやすい人はビタミンB群が不足しがち、というのは事実です。けれどビタミンBだけを単体で摂取しても、バランスのとれたビタミンとミネラルのベースがないと、あまり意味がありません。「野菜が不足しがち」「テイクアウト続きで…」という人は、バランスよくビタミンとミネラルを摂取してください。