新型コロナウィルス感染症において、感染者数増加は抑制傾向にあるものの、

緊急事態宣言が解除された後も、当分の間は用心をする日々が続くことが予想されます。

 

シンプリスのインナーケアの基礎となるマルチサプリメント「シンプリス トータルプログラム 27」をご監修いただいております青木 晃 医師より、「免疫力」を高めるために生活の中で何を心がけるべきか、 医師の視点からご見解を伺いました。

 

青木先生は自衛隊医官として、ABC(核・生物・化学)兵器の防御・治療、危機管理のプロフェッショナルとして従事されていた経験をお持ちで、地下鉄サリン事件においては、即座に「サリン中毒」と診断し、現場で的確な初期治療を行い多くの人命を救助したことでも知られる素晴らしい先生です。

 

今、ウィズコロナの時代に、私たちが自身や大切な人を守るためにどのように行動するべきか、ぜひご参考にされてください!

 

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医師の視点から今、私たちがどうするべきなのかを述べてみたいと思います。 

まず、既に言われているように、「三密(密集、密閉、密接)を避ける」、「こまめな手洗い(手指消毒)」、「マスクを着ける」を徹底してください。しかし、相手は目に見えない微小なウイルス。いくら気をつけていても感染してしまう可能性は誰にもあります。

 今まさに、感染者数の増大を抑えないと、武漢やイタリア、スペイン、アメリカのニューヨークと同じような医療崩壊を起こしてしまいます。防疫の観点で、私たちが今できることは、できるだけ家にいて他人との接触を断ち、感染拡大を防ぐことに他なりません。

 この疫病を臨床の観点で見ると、軽症→重症化→重篤化→死亡という流れをどこかで断ち切ることです。これまでの疫学的なデータから、感染者の50〜60%は無症状、20〜30%が軽症、15%が重症、5%前後が重篤化することがわかっています。そして現在、我が国における致死率(感染した人のうち死亡する割合)は、1〜1.5%程度と考えられています。

 どんな背景の人が重症化、あるいは重篤化するのかについては、当初は高齢者、糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの持病がある人などが言われていました。ここにきて、これらには当てはまらない比較的若年〜中年層でもヨーロッパやニューヨークでは死亡してしまう人も出ていますので注意しないとなりません。

 普通の風邪やインフルエンザが流行している時でも、案外それらに罹らずに元気にされている人も多くいます。実は、そういった人々にもウイルスは鼻や口から侵入しています。元々その病原体に対して免疫を持っていれば、その免疫が働き病気になるのを食い止めます。例え抗体が無くても、日頃から生活習慣に気をつけていて、健康状態が良く免疫の機能が高く保たれていれば、ウイルスが体に侵入しても鼻や喉での免疫システムがしっかり働いて、それ以上のウイルスの侵入・増殖を食い止めてくれるのです。これができる人が、無症候性感染者(不顕性感染)であり、軽症者なのです。この疫病にやられるかやられないかは、自身の持っている免疫に大きく関わっています。

巷では良く「免疫力」と言われますが、医学的には免疫力という言葉はあまり使いません。免疫とは、病気になるのを防いだり、病気を治そうとする自己防衛システム(=系)のことです。より具体的にいうと、「細菌やウイルスなどの病原体からの感染防御」、「健康の維持・増進」、「老化関連疾患(がんや動脈硬化など)の予防」が免疫系の主な仕事になります。免疫はあくまでも体の中の複雑なシステムの一つであり、本来はその力を簡単に免疫力という言葉で置き換えられるものではありませんが、ここでは便宜上、身体の各部で健康を維持しようとする抵抗力のことを「免疫力」という言葉に置き換えて、お話ししていきたいと思います。

免疫力の重要な担い手は血液中に存在する白血球です。狭い意味での免疫は、この白血球が行う仕事と言ってもいいでしょう。白血球は顆粒球、リンパ球、マクロファージなどの種類があり、それぞれが独自の役割を担っていてチームプレーで病原体やがん細胞などの敵と闘ってそれらを排除しているのです。免疫システムはおよそ15歳頃までに完成し、そのピークは20歳〜30歳くらい。その後、いわゆる免疫力は徐々に衰退していきます。

 免疫力は加齢と共に低下していくことがわかっています。免疫力の一つの指標となるNK細胞(リンパ球の一種)の活性を見ると、20歳前後をピークに、40歳では約半分に、70歳では1/10くらいまで低下してしまうという報告もあります。50歳以降、感染症やがん、生活習慣病などの病気が増えるのはこういった背景があるからなのです。

 実は、免疫力は加齢以外でも低下します。現代文明社会は免疫力を低下させる要因が多くあるので気をつけなければなりません。

・強い精神的ストレスが長く続く
・不規則な食生活や偏食
・加工食品、インスタント食品、ジャンクフードの取りすぎ
・運動不足
・睡眠不足
・喫煙
・アルコールの多飲
・大気汚染、水質汚染、土壌汚染などの汚染された住環境
・怒り、恐れ、悲しみの感情

上記のようなことが免疫力を低下させます。今回の新型コロナウイルスは多くの人々に大なり小なりのストレスを与え、人によっては日々怒ったり、恐れたり、悲しんだりということが多くなってきているかもしれませんが、免疫系に取っては良くないことのです。

 それでは、免疫力をアップさせる(免疫の機能をより良い状態にしておく)には、どうしたら良いのでしょうか?

免疫機能は自律神経と連動していますので、自律神経に良い生活=免疫系にも良い生活と言えます。具体的には、

① 規則正しい食生活
② 偏食のないバランスの良い食事
③ 腹八分目
④ 昼夜のリズムある生活
⑤ 質の良い睡眠
⑥ 適度な運動の継続
⑦ 精神の安定
⑧ 常に前向きな気持ちを持つ(ポジティブシンキング)
⑨ 一日一回は笑う

以上のようなことを日々の生活で心がけましょう。

 食生活は特に重要です。ポイントは良質なタンパク質(肉、魚、大豆製品、卵、乳製品など)、ビタミン・ミネラルを過不足なく摂取すること。野菜や果物を含め、色々な食品を満遍なく取ってください。緑黄色野菜だけでなく、にんにく、たまねぎ、ブロッコリー、大根などの白色野菜も免疫力アップに重要です。他にはβグルカンを多く含むキノコ類、腸管免疫を活性化させるヨーグルトなどの発酵食品も積極的に取るようにしましょう。また、暴飲暴食、インスタント食品・加工食品の取り過ぎは、活性酸素を産み酸化ストレスが蓄積して、免疫系を弱めることにつながります。食品添加物が出来るだけ入っていない原材料を自分でしっかりと選び、家庭で調理した出来立てを美味しく食べる、これが肝心です。最近問題になっているトランス型脂肪酸は出来るだけ避けましょう。アルコールは免疫系にはあまり良い方に働かないことがわかっていますので、くれぐれも飲みすぎには注意して下さい。食が細い方や、偏食傾向にある方、健康に今一つ自信がない方はマルチビタミン&ミネラルのサプリメントを使用するのも良い方法です。

 適度な運動も免疫力アップにつながります。毎日のストレッチとウォーキングは肥満防止に有効であることがわかっていますが、免疫機能を正常に保つためにもお勧めです。ラジオ体操程度の運動を朝晩2回しっかり行うか、20分程度の有酸素運動を心がけましょう。

 精神面においては、笑いとリラックスが免疫力を上げます。自律神経のうちの副交感神経系が免疫機能に大きく関与しています。ストレスの多い現代文明社会ではどちらかというと戦闘モードの交感神経系が優位になっていることが多く、これが現代人の免疫力低下につながっているのではないかという説もあります。一日一回はおもいっきり笑えるよう常に“ごきげん”を目指しましょう。



青木 晃
 


 

青木晃医師

青木 晃 医師 Dr. Aoki Akira


元順天堂大学大学院加齢制御医学講座准教授
銀座よしえクリニック都立大院院長
日本健康医療学会常任理事
日本抗加齢医学会評議員
日本内科学会認定内科医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康医療学会健康医療認定医(経歴)
1961年、東京都生まれ。防衛医科大学校医学部卒。防衛医大卒後は、代謝・内分泌内科医として防衛医大、旭川医大、自衛隊中央病院などで糖尿病、肥満症の臨床・研究に従事。生活習慣病予防における保険医療制度の限界を感じ、2000年に防衛庁を退職。当時、日本に入ってきた抗加齢医学こそが予防医療の新しい切り札になると直感。2002年設立の日本抗加齢医学会では役員としてアンチエイジングの正しい啓蒙活動に携わる。2004年には日本で初めてのアンチエイジングクリニックである恵比寿アンチエイジングクリニックを開院。2007年、順天堂大学大学院加齢制御医学講座の准教授に就任。

主な著書:『40歳からのタイプ別ダイエット診断』(竹書房新書)、『いい睡眠があなたを10歳若くする』(青春出版社)、『一生若くいられる「都市型原人」という生き方』(マキノ出版)『現役マラソン医師の走るとなぜいいか?』(新講社)など多数。

主なテレビ、ラジオ出演:バイキング(フジテレビ系列)、ノンストップ!(フジテレビ系列)、ジョブチューン(TBS系列)、女神のマルシェ(日テレ系列)、ごごラジ!(NHK第1)、生島ヒロシのおはよう定食(TBSラジオ)など多数。