1953年から3年間ほど麻薬で刑務所、療養所を行き来
していたブランクからの、復帰を意味するタイトルの、
1956年の録音。
ペッパーのアルバムの中では、あまりクローズアップされる
ことがないが、立派な出来栄えの作品である。
ここでのペッパーは、彼特有の翳りや屈折を感じさせるトーン
が影を潜め、ウエストコーストの明快で陽気な演奏に終始して
いるように思える。
特にジャック・シェルドン(tp)とのユニゾンや軽快な掛け合いは、
ペッパーのインプロバイザーとしての才能がいかんなく発揮
されていると同時に、彼が影響を受けた一人の、リー・コニッツ
の名作「ベリー・クール」での、コニッツとドン・ファララ(tp)の競演
を強く意識させるものである。
このアルバムが「ウエストコースト的」と感じるもう一つの要素は、
ラス・フリーマン(p)、ルロイ・ビネガー(b)、シェリー・マン(ds)
という、「オール・ウエストコースト・リズム・セクション」
ともいうべき素晴らしいメンバーがバックをつとめている
ということだろう。
ペッパーのアルバムの中ではマイナーな作品だが、一聴の価値
のあるお勧めの一枚である。