第4話
鬼
それはもう耳元まで来てしまった…。
…
そして、俺は何となく気づいた。
こりゃ、いつものパターンか…と。
…
終わった。
目を開けるまでのほんの一瞬で
現実世界に戻る覚悟を決めた。
そうしなければ受け入れられる気がしなかった。
どん底に突き落とされる感覚は
何度も味わってきたけど…
俺の人生史上、最高の時間。
もう二度と味わえないかもしれない
この歓喜の瞬間が
目の前で消え去ろうとしていた。
…
「んんぅ…。
んっ?」
なんかいつもと違う。
心地よい風が吹く。
そして、
目を開けるとそこには青空が広がっていた。
体を起こすと目の前には
一面の大海原が広がっている。
「うわーっ!!!!!」
となりに目をやると
そこにはなんと
…
小っちゃい鬼が居た。
なんだこいつ?
凄い形相でこっちを見つめてる。
でも…
ちっさい。
全然怖くない。
んっ?そーいえばここはどこだ。
「おいちっさい鬼‼︎
ここはどこなんだよ‼︎」
鬼は何も言わず、
砂浜をものすごいスピードで
走り去っていった。
つづく
蜂谷高校 野球部物語 第4話