8日には管新総理が誕生する見込みだ。

事実上、鳩山政権を崩壊に追い込んだことで、米オバマ政権は当面、普天間問題に関して管政権への圧力を緩和するとみられている。
民主党への国内支持率も若干回復し、管政権は、少なくとも数ヶ月間は、国内、海外とも「ハネムーン期間」を享受できそうだ。

管政権の政策については、まだ完全に見えてきていないが、もし9月の参議院選挙を乗り越えることができれば、管直人が財務大臣として主張していた「増税による経済成長」、いわゆる『管ノミクス』の推進を目指すことは間違いない。

そして、この管ノミクスの行き詰まりが、管政権の致命傷になるというシナリオが考えられる。

管ノミクスとは、簡単に言えば、需給ギャップが埋まらない=内需が盛り上がらない=国民が金を使わない=のであれば、税金により強制的に金を徴収し、それを国が使うことで、解決すればいいという理屈だ。

管ノミクスは、いわゆるレーガノミクスの対極をなすものである。

レーガノミクスは、簡単に言えば、税率を下げることにより、経済活動へのインセンティブを上げ、経済が拡大することで、結果としての税収額を確保する経済政策である。

レーガノミクス以前は、社会の教科書で習ったニューディール政策のように、国が借金して大規模公共事業を実施し、景気を刺激するという、ケインズ理論による経済政策が主流だった。

管直人は、これら2つに代わる経済政策として、管ノミクスを第三の道とも呼んでいる。

この管ノミクス、当然管直人のオリジナルではない。
どこかの経済学者に吹き込まれたようだが、増税したくてしかたがない財務官僚の意向も働いているだろう。

通常、増税は経済のインセンティブをそぐ。簡単に言えば、消費税が上がれば、買い物する気が失せるし、所得税率が上がれば、良い給料をもらうために、遊ぶのを我慢して勉強する気が失せる。

経済学よりの批判としては、たとえば↓あたりを見ればいいが、簡単に言えば、増税による経済へのブレーキ効果を、国による経済活動によるアクセル 効果が上回ることが可能であるという仮定が、管ノミクスのオリジナルであり、おそらくは欠陥だ。

池田信夫blog - 菅首相の掲げるあやしい「小野理論」

官僚、政治家が「所詮他人の金」として使う方が、庶民、私企業が、生きるためにギリギリの判断で使うよりも、「賢い金」の使い方をされると、思う人がどのくらいいるだろうか。

橋や道路など、誰が見ても必要なものが不足している時代であれば、使い道についてそれほど間違えることはなかった。
しかし、一通りのものが揃い、次に必要なものが何かを見極めるのが難しい時代に、管ノミクスが成功する見込みはほとんど無いだろう。

管ノミクスが、増税という国民に不人気な政策をとり、更にそれを財政赤字の削減ではなく、単に無駄遣いしてしまう結果になることは、ほぼ間違いない。

管ノミクスが日本に与えるダメージは、普天間問題を遙かに超える。
民主党が予想外の「自浄作用」を発揮し、死に体2トップが刺し違えた。
無論、この自浄作用は、国家国民のためでもないし、過去の失政の責任の明確化でもない。
参議院選がやばそうだと、さすがの民主党議員も気がついたからだ。


新代表・総理にはおなじみの菅直人が選出され、8日は組閣の運びだ。
メディアは管が非世襲、非官僚、非労組総理だと伝え、未だに民主党への未練がアリアリだ。

とはいえ、参議院選挙が終われば、小沢が動き出すという話も伝わっている。
選挙までは、見栄えがいい管にやらせて、選挙さえ乗り切れば小沢が仕切るという、去年の再現を狙っているようだが、国民が2年続けてこんなバカな話に乗るようでは、日本は壊滅してもしかたない。
小沢のこの発言は、むしろ自派の求心力を保つためには、そう言わざるを得ないということだ。

新代表の管直人は、反小沢、オリジナル民主党メンバーを重用する見通しだ。
鳩山を含め、オリジナルメンバーには、小沢一派に民主党を台無しにされたという思いは相当強い。
この連中は、オリジナル民主党の「オーナー」であった鳩山を支えるために、あえて小沢に屈従していたというだけであるから、小鳩体制が崩壊すれば、反小沢、反旧自由党の動きを先鋭化させるはずだ。
彼らの頭の中では、国民に選ばれたのはオリジナル民主党、国民に拒絶されたのは小沢民主党という整理であるから、少なくとも、かつての民主党への回帰策を強硬に進めてくるものと思われる。

当然、小沢一派にすれば面白い話ではない。
衆議院を中心に、小沢系、小沢チルドレンとよばれる議員は150人程度いるとされ、民主党では一大勢力だ。
この内訳としては、生粋の小沢の手下はせいぜい50人程度で、残りは再選もおぼつかない小僧だろう。
幹事長職を失った小沢が頼れるのは、この数だ。

管直人には2つの道がある。
小沢につくか、小沢を切るかだ。
結論は、後者だろう。

小沢と野合したことで、民主党は旧支持層をほとんど失った。
この事実がある以上、管が鳩山のように小沢に融和的な党内運営をするインセンティブは低い。
性格的にも、小沢とぶつかったとき、鳩山のように引くよりも、政権をぶち壊してでも管は自分の意見を通そうとするだろう。
管は、ゼロからパフォーマンスだけでここまでのし上がった男である。
管にとって第一に守るべきは自分のスタイル、イメージである。

権力至上主義の小沢的政治は、政策主体を主張してきたオリジナル民主党とは根本的に相容れない。
その二者が野合したのは、自民党という政治的妖怪が存在したからだ。
その敵を失った今、彼らが自民党以上にお互いを敵視していることに気がつくのは時間の問題だろう。

それが噴出するタイミングは、組閣直後、あるいは参院選直後だ。
予想されるのは小沢一派により権力闘争がしかけられ、管がキレる展開だ。
小沢一派に党内権力を握られればどういうことになるか、明確になった以上、この権力闘争に、分裂以外の結末はない。
旧民主党グループが党内を把握している現状から、おそらく、小沢一派が党を割って自由党を再結成するという結末になるだろう。逆に旧民主党グループには、党を割って出るだけの結束力はない。


小沢の腹は、キャスティングボートを握って、どちらに転んでも政権与党に留まるという、何度も繰り返してきた作戦だろう。
こういう数合わせのトリックで権力を取ることに何の躊躇もないところが、小沢が国民の支持を完全に軽視していることをよく示している。

しかしながら、自民党をはじめとする野党が小沢と組むかというと、かなり疑問だ。
管と小沢、どちらと組むべきかは、国民が否定したのが、オリジナル民主党なのか、小沢なのか、どう考えるかで結論は変わる。

そして、更に展開が読めないのは、少数与党となった管が解散総選挙に打って出るケースだ。
内閣不信任を突きつけられるケースも考えられるが、管陣営に少しでも知恵があれば、そうなる前に自ら解散すべきだろう。

そうなればまさにハルマゲドンとなり、政界再編どころか、ほぼゼロからの政界再生成となる。
当然ながら「チルドレン」連中のほとんどは政界から永久に消え去るだろう。

一見、政治的大混乱を招く解散総選挙は、日本にとってワーストシナリオに見えるが、考えられる中では、ベストシナリオだ。
言うまでもなく、ワーストシナリオは管が小沢に妥協して小沢政治が続くことだが、民主大分裂の後に、小沢グループが相当数を占める国会の数合わせで政権が作られれば、国民からの支持という基盤のない弱体政権が生まれることになる。

解散総選挙により、国民から最も高い支持を得た人間が総理総裁になるという憲政の常道を守ることが、結局は国家の舵取りにおいて最も重要なのだ。

鳩山内閣は、発足時の予想残念シナリオ をほぼブレることなくトレースしている。

内閣支持率19.1% 世論調査 首相辞任を49.2%

5月15日7時56分配信 産経新聞
 時事通信社が7~10日に実施した5月の世論調査によると、鳩山内閣の支持率は前月比4・6ポイント減の19・1%となり、昨年9月の政権発足以来初め て2割を切った。不支持率は同7・6ポイント増の64・1%。沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で鳩山由紀夫首相が掲げた「5月末決着」が事実上不可能な 情勢となり、首相の資質や指導力不足を問う声が強まっていることなどが要因とみられる。

 支持率が1割台となったのは、麻生内閣退陣直前の昨年9月の調査以来。普天間問題が月内に決着しなかった場合の首相の進退については、「責任を取って辞 任すべきだ」と答えた人が49・2%で「辞任する必要はない」の42・0%を上回った。

 調査は、全国の成人男女2千人を対象に個別面接方式で実施。回収率は68・8%だった


このままいけば、保身のみで固まった小沢=鳩山枢軸は7月の参議院選挙まで権力の座に居座り続け、積もり積もった国民の怒りにより、民主党は(彼らの)予想を超えた壊滅的打撃をうけるだろう。

鳩山政権はこのショックにより崩壊、鳩山は辞任して引きこもり生活にはいる。
小沢は原口等傀儡による延命を模索して、党内を締め付けるが、民主党に巣くう職業的政治屋にとって、沈みゆく民主党に残る意味はなく、小沢に対する積もり積もった不満から、衆議院を含めて民主党は小政党に分裂し、傀儡政権への不信任案が可決、衆議院の解散総選挙となる。

当然、小沢チルドレンへの世間の風当たりは強く、小沢一党は20人程度に激減、小沢は起訴され政治的に死に体となる。その他の民主議員連中は、それぞれの小政党を乱立するほか、一部は既存の「第三政党」に加入するだろう。

他のシナリオとしては、鳩山の精神が7月まで持ちこたえず半分発狂気味に政権を投げ出す可能性があるが、取り巻きが情報操作によりなんとか持ちこたえさ せるだろう。

一方で、「最大野党」である自民党の勢いも芳しくない

党員、100万人割れ確実=野党転落響く―自民

5月16日14時49分配信 時事通信
 自民党の2009年末時点での党員数が100万人を割ることが確実となった。党幹部が明らかにした。昨年の衆院選惨敗と野党転落で所属国会議員が激減し、従来の支持団体が離反したことが響いたとみられる。100万人の大台割れは、コンピューターによる記録が残る1977年以降初めてで、党勢低迷に歯止めが掛からない同党の現状が浮き彫りとなった。
 党員数は、91年には約547万人を記録。その後は200万~300万人台で推移したが、参院選比例代表に非拘束名簿式が導入された01年には200万人を割り、08年は約106万人にまで減っていた。 


昨年の衆議院選で民主党に投票した人のうち、かなりの部分が「自民党にお灸を据えて自己改革を促す」ことを意識していたと思うが、参議院の妖怪、青木幹雄前参議院議員会長が「健康上の理由」から引退したくらいで、国民が満足するほどの動きはない。その中で、唯一「国民受けがいい」のが、小泉元総理の次男、小泉進次郎衆議院議員だ。

民主党のみならず、自民党からも「小泉改革の負の遺産」というレッテルを貼られた小泉政権だが、実際のところ、「小泉の血統」への国民の好感度は低くないということだろう。自民党にとって、この彼の好感度こそ、残されたほぼ唯一といってよい財産だ。

遠からず、小泉進次郎を旗手として、小泉改革の継承を掲げる新生自民党が誕生すると思われる。

そもそも「小泉改革の負の遺産」という言葉を、「改革は負の遺産しか残さなかった」というニュアンスで使うこと自体が、この国の置かれた現実を無視した嘘なのだが、そういう「負の遺産」を国民が感じる前に小泉は政権を安倍シンゾーに譲っており、国民の苦々しい記憶が結びつくのは、安倍・福田・麻生の顔である。

国民の生活を無視して、トンチンカンな「保守政策」を声高に叫んだ安倍シンゾー、漫画好きで漢字に弱く、口が曲がってた位しか記憶になり麻生太郎、印象すらない福田某を、国民は思い出したくもない。

一方、さんざん豪華なメニューがあると吹聴しながおら、店に入ったら何もなく、ぼったくられただけだった、小沢=鳩山政権は、一刻も早く目の前から消えて欲しい存在だ。

そういう「歴史」をふまえて思い出すと、小泉政権の時代は、何となく希望があったような気がしてくる。少なくとも、将来の日本に希望を持たせることを重視した政権であった(現在のつらさから目を背ける意図もあったと思うが)。実際、景気についても一時は上向いており、国際的にもブッシュ=小泉の強固な同盟関係にあった。ルーピーと揶揄される現首相の情けなさを思えば、「あの頃の方がよかった」という気分すら沸いてくる。

過去は美化されやすいものであり、今後予想される政治的混乱の中で、小泉ブランドに対する国民の人気は、上がることはあっても、下がることはないだろう。

民主党の無秩序なばらまき政策への対抗軸として、小泉改革路線の進化系としての外向き・成長戦略のリバイバルが期待される。そしてその顔として、小泉進次 郎以上のキャラクターはいない。

現在、小泉進次郎は29歳であり、日本の常識では総理になるまで相当時間を要するが、国際的に見れば、イギリスのキャメロン首相は43歳であることから、10数年後に彼が総理となる可能性は十分ある

小泉進次郎議員個人が、どのような政治的信条、野望を持っているか、現状ではよくわからないが、今後の日本の政局を考える上で、注視していく必要がある。