本日の話はですね、ここ最近楽しませていただいてる企画「ポーピーピー缶コーヒー」に刺激され出来たものです。
いやあ、すんごい萌えるんですよね~。
BでLな要素がちょっと含まれた話って。
そういうわけで他のお話を知らないとウチのは訳わかんないでしょうから、読もうと思った方はまず下のリンクから販売所へどうぞ。

ポーピーピー缶コーヒー販売所♪
コーヒー販売所
※上記の画像転載禁止です

既にご存知なら、このままお進みいただいて構いませんよ。
ちなみにこれの続き的な話は、明日UP予定です。



意趣返し



「貴島君、ちょっと今いいかな?」

問題のCM撮影を終えた翌日。
蓮はそう言って人気のない場所に貴島を誘い込むなり、とんでもないことを口走り始めた。

「実はあのCMを撮って気付いたんだけど、どうやら俺は異性よりも同性の方が、というか君のことが好きみたいなんだ。」

芸能界一いい男からの、まさかの告白。
思ってもみなかった展開に、告白された側は盛大に顔を引き攣らせると、じりじり後退りながら必死に方向修正を試みだした。

「ええっ?!いやいや、そりゃ冗談だよね敦賀君!
だって君には確か、ちゃんと好きな女の子がいたじゃないか!!」

「うん、そうだったんだけど、でも気付いてしまったんだよ・・・。
君に対してその子以上に、ドキドキしてる自分がいることを・・・。」

「そりゃ、あんなCM撮ったからだって!
一時の気の迷いなんだから、ちょっと落ち着こう?!」

「俺は十分落ち着いてるし、本気だよ・・・。」

いくら貴島がそれなりに場数を踏んでいるといっても、相手が男ということの焦りからか全然回避するに至っていない。
それどころか次第に追い詰められていき、目を白黒させだしている有り様だ。
こうしてとうとう壁際に追い詰められた彼は、間近にきた蓮が浮かべた表情・・・してやったりの笑みを見てようやく、これは自分が卑怯な手で"起こす役"をとった報復だと悟り、力が抜けたように壁に凭れかかってしまう。
もし逆の立場だったならば、己も似たようなことをしただろうと思い苦笑いしつつ。
それでもやはり翻弄されて悔しいことに変わりはなく、何か一言言ってやろうと口を開きかけた時。
少し離れた場所での物音を耳にして、貴島は蓮とほぼ同時にそちらを振り返った。
すると・・・。

「す、すみません。聞くつもりはなかったのですが、出ていくタイミングがなかったものでつい・・・。」

なんて言い訳しながら、蓮の想い人が物陰から出てくるではないか。
予想だにしなかったこの遭遇に、どう言い繕っても無駄足に終わりそうなシチュエーションで固まる男2人と、出てきたはいいが赤い顔で気まずげに視線を彷徨わせてる少女。
そんな構図で真っ先に行動を起こしたのは、固まってはいないもののいまだ狼狽え中の人物だった。

「あ、あの、私誰にも言いませんから・・・CM同様お2人がそういう仲だということは!
ですから、どうかご安心くださいませ~~~っっ!!」

そう叫び終えるなり、素晴らしいスピードで逃げ去っていくキョーコ。
あまりの逃げ足の速さに否定も言い訳も出来ず、唖然とその背中を見送った男たちのうちの1人は、その方向を見据えたままポツリと呟きを落とす。

「おいおい・・・そういう仲って、俺が嫌がってたのは目に入らなかったのかい京子ちゃん・・・。
にしても、今回の件では俺も新たな発見が出来たよ・・・何でも器用にこなすと思ってた敦賀君が実は、恋愛に関してだけはとことん不器用だってこととかさ。
いや、君のは不器用なんて可愛らしいレベルじゃなく、こじらせ症候群とでも表現すべきかもな・・・。」

蓮に対してのこの言葉はかなり的確な感想なのだが、身も蓋もなくあからさますぎる。
斯くしてあらぬ誤解を招いてしまった男は、極めつけのこの発言がトドメとなり、べこべこに凹んでしまったという。

人が偶にするちょっとした思い付きでの行動、それは時として自分に多大なるダメージを与えることもあると、彼は身をもって知ったのであった・・・。



おわり



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