13. 日本とドイツ 生活の質の違い/ 医師の説明をどこまで理解するかは誰の努力か | Bokensdorfのブログ

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国際結婚から考えた「隠れた構造・隠れた文化」について
加えて「世の中の仕組みは実はこうなっている」について書きます

■ 医師の説明をどこまで理解するかは誰の努力か


まだ日本にいるとき、
息子が調子悪くて、
寝ているとき耳をしきりにさわるし、
ぐずるので何回も病院に連れていったことがある。

症状を説明しても、医者は耳の中を見ない。

何回も通院したが、医者が出す薬は家内はどういうものか分かるようで、
「前回出した薬で効かないから今日はもう少し強い抗生剤を出してきた」のだと言う。

更に、「でも、こんなに長く飲んでいて改善しないのはおかしい」と言い、
再度息子を病院に連れていって
「耳ノ中ヲミテクダサイ」
と要求するとやっとあの、
耳の中を見る道具(耳鏡と言う名前である事を後で知った)
をどこかから持ってきてその先生は息子の耳を「初めて」見た。

息子の調子が悪い原因は耳の中にあった・・・。(その時点で耳の中はだいぶ悪化していた)

「耳ヲ痛ガルト説明シテイルノニドウシテ見ナイノカ。耳ヲ見ルノハ基本デハナイノカ」

と家内は訝っていた。
そういう発想がないのか、教わらないのか。


この話を知り合いの医者にしたらこう言っていた。

『奥さんの仰るとおりです。
 子供の場合体中の「穴」を一応チェックしろ、と欧米の教科書には出てきます。
 残念ながら日本の小児科の教科書はろくなものがないので苦労するのです。

 子供が耳を触らなくても、熱が持続する場合、
 短期間に繰り返す場合は耳鏡でチェック、
 手に負えないようだと耳鼻科に紹介、
 これは当たり前のコースと、私は思っていますが、
 学生時代に教えられた記憶はありません。

 昔からNelson のTextbook of Pediatrics という有名な米国の本があり、
 基本的なことは先ず漏らさずかかれています。

 ところがその翻訳版の日本語が酷く使い物になりません。
 分担で翻訳してありますから誰が酷いか一目瞭然。

 英語が出来ないと日本語もできない、ということがよく判ります。

 私も以前協力したことがありますが、
 医学用語は判らなくていいから文章として判るかどうか妻に読ませたものです。
 
 日本では極論すれば、
 現場を殆ど知らない教授が部下をゴーストライターとして教科書を書きますので、
 役に立たない本が多いのだと思います。
 医者は読むべき本でさえも自分で探さなければならないのです。
 当然読んだ場合と、読まなかった場合で差は出てきます。
 表面的には判りませんが。』



これもまだ日本にいた時、
息子が大晦日に椅子から落ちて泣き出したことが合った。

もう夜中に近い時間だった。
家内と二人で救急病院へ息子を連れて行った。

「肩から落ちたようです」と当直の医者に説明すると
「レントゲン写真をとって見てみる」、と答えた。

肩のあたりを撮影したものを見ながら「骨折は無いようです」と言われた。

翌日、改めて同じ病院の専門の医者に診察してもらった。
家内は息子がまだ腕をダラリとさせているのをとても気にしていたが、
医者は同じレントゲン写真を見ながら
「骨折も写っていないし触っても痛がっていないようだから心配ない」
との見立てだった。

実際、息子は痛い様子をまったくしなかった。

三日たった。

息子は元気に遊んでいるが腕をときどきダラリとさせている。


家内はもう一度病院に行く、と言うので再度3人ででかけた。
家内は同じ医者に

「肩カラ手マデゼンブノシャシンヲトッテクダサイ」と切り出した。

届いたレントゲン写真には腕の骨折が写っていた。

家内は帰りの車の中で

「自分ノ希望ヲ言ウト、日本デハウルサガレルカラ日本ノ習慣ニ従ッテ黙ッテイルヨウニシタノガイケナカッタ。ワタシハボウヤノ骨折ヲ三日間モ見ツケテアゲラレナカッタ。ワタシハ悪イオカアサン」

と言って涙ぐんだ。

私も悪いお父さんだった。

日本の病院ではひどい思い出の方が多いのだが、家内は

「ニホンノビョウインガミンナヒドイトハオモッテイナイ。
 ドコデデモ、ハズレトイウノハアル。
 ワタシタチハタダハズレニオオクアタッタダケ」


と言った。


【続く】


男の子というものはそういうもの 

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