13. 日本とドイツ 生活の質の違い/ 番外編 日本のチーズは何故高いのか | Bokensdorfのブログ

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国際結婚から考えた「隠れた構造・隠れた文化」について
加えて「世の中の仕組みは実はこうなっている」について書きます

■ 番外編 日本のチーズは何故高いのか


日本のチーズはなぜ高いのか。

酪農国ではないから?

日本でいつも買っていたcoeur de lion という 350g/1,200円くらいのフランスのチーズが
(まあ、空輸代、冷凍保存代、関税もあるだろうが)
パリのスーパーで 9.4フラン(当時の為替レートで200円!)で売っているのを見て私は
怒りで失神しそうになりながら、デジタルカメラで記録した。



これだ
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350グラムといったら直径13センチぐらいのかなりデカイカマンベールと思っていただければ間違い無い。

それが200円である。

100グラムあたりの価格かな、と最初思ったくらいだ。
200円です。

100グラム57円。

200円です。【しかも税込み】

フランス。
うーん。

【日本では1200円くらいで売っています】

【しかも消費税別】



日本で国際結婚のご夫婦で酪農をしている人にお会いした事がある。

そのとき、
日本のチーズはなぜ高いのか、
という質問をしてみた。

(チーズというのは、
 外国から来た奥様達が日本では種類が少なくかつ値段が高すぎると言う品目の筆頭ではないかと思う)

奥さんがアメリカ人だからチーズの高さを怒っているだろうと思った。

聞いてびっくり。
これが答えである。

「牛乳の生産量はメーカーが割り当てを持っていて、
 それ以上作ったらいかん、と言って来る。

 価格調整しているわけだ。
 牛肉も牛乳もそうだが酪農家が勝手に消費者に売ることは出来ない。

 衛生や品質の検査があるからだ。
 けれども同じなま物でも魚なんかそんな検査が無い。

 魚は昔から食べているから検査が無いのか、
 と思うが割り切れないものがある。

 だからメーカーが引受けてくれない限り、
 生産量は増やすことが出来ない。
 勝手に作って安く売ることが出来ないわけだ。
 市場原理など縁の無い話だ。

 こういう訳で、日本の酪農は規模の拡大を望めない仕組みになっている。
 大きくしようという夢が持てないんだ。

 親の牧場を受け継いだが、夢が無いし、
 周りはほとんどやめてしまってここらでは今では2軒しかやっていない。

 息子は継がないと言っている。」



価格調整は農家を守る意味もあったかと思うが、
守りつづけて競争力を殺したのではないのだろうか。
もはや国際競争力など全然無いものになってしまっている。


日本ではチーズも牛乳も乳製品はみんな永久に安くならないものなのか、とため息が出た。


チーズに限らず、

「外国は生活物価が安い【それでも生産者は生活できている】
という話をすると
「それは為替の所為だから」
と即答する日本人は少なくない。


しかし、比較している相手は発展途上国ではないのである。

私は

「それなら1マルクは120円くらい、
 1ドルは240円くらい、
 人民元なら1元が100円くらいが生活実感として妥当な数字です。

 それなら為替の所為にはできないですね。
 そうなっても文句はないのですね


と問いたい。


為替が理由ではないのはこれで明らかだろう。

生活物価の高い本当の理由は内側の仕組みにあるのだ。


「先進国に対しては円安に修正し、
 後進国に対しては円高を守る、
 そうすれば日本の生活物価も先進国と同じレベルで計算できる」

それは自分が楽に儲かる事しか頭にない人の発想と同じである。


不思議な事に、
日本は自国の通貨が弱くなった方が嬉しいという人が大勢いる。

仕組みを変えることをせず、
彼等の希望通りもし円が弱くなって1ユーロが200円にでもなったら
先の輸入チーズはきっと2400 円になるのだろう。



【この項おわり】




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