私の朝は、イタリアンエスプレッソで始まります。
日本ではあまり見かけない、このやかんのようなポットは、火にかけて、エスプレッソを作るポットです。濃厚な味わい深い味のエスプレッソができます。エスプレッソの美味しさを教えてくれたのは、大家さんです。
我が家の大家さんは、イタリア人。イタリア生まれ、イタリア育ちで、若い頃にアメリカに移住してきた、イタリア人です。
私の住むエリアは、大家さんのように、家ではイタリア語が飛び交い、コテコテのイタリアン訛りの英語を話すイタリアからの移民。そして、アメリカで生まれた子孫たち、イタリア系アメリカ人が多く住むエリアです。
ブルックリン(特に私の住む南ブルックリンエリア)には、イタリア人、中国人、ロシア人、ポーランド人の移民で成り立っています。
ニューヨークにも、ギリシャ人移民の多いクイーンズや、アイルランド人の多いエリアなど、地域によって、移民文化が全く違く、移民の国アメリカを肌で感じられる場所です。
そんな、イタリア人の大家さんですが、この家に越してきて、10年を迎えた私たちに、大家さんは家族のように接してくれます。大家さんは普段、年配夫婦の2人で生活をしているのですが、週末になると、娘さん家族や、親戚が遊びに来て、賑やかになります。その家族や友人との集まりに、私たち家族も誘われることも少なくありません。
食卓には、3日かかっても食べ切れないほどの料理が並び、とにかく「マンジャ、マンジャ」(イタリア語で食べて、食べてという意味)と言われます。
チキン、ラビット、ポーク、様々な種類の肉が並び、ムール貝や魚などの魚介類もあったり、そして欠かせないのがパスタです。日本人が白いご飯を食べるように、イタリア人はパスタを食べます。
デザートにはたくさんのペーストリーやクッキーが並び(大家さんの手作り)、イタリアンエスプレッソと共に頂きます。
白黒はっきりしているというか、とても主張の強いイタリア人は、声も大きく、言葉遣いも悪いので、大家さんが話すと、一見喧嘩をしているような、怒られているように聞こえます。(本人は怒っているわけではない)まだ慣れていない頃は、日本人の私にとっては、正直少し怖く感じることもありました。たまに、はっきりと厳しいことも言う大家さんですが、所々に愛を感じるのです。
アメリカにいながら、イタリアの食卓を堪能できる。移民同士の争いや、ヘイトクライムが多発しているこの頃ですが、こういった移民の国、アメリカならではのいいところもあるのです。