母親。 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

こう云ってはなんだが

私は死んだ父に心から愛されて生きていた。

だから当然の帰結として母親のことは嫌いだ。
身内なんて地が繋がっているだけのシロモノと言う意識が私のなかには常にある。

しかし
死んだ父親とはまず間違いなく確実に精神が繋がっていた。
親子と言う感覚じゃない。
同じものを持って生きている感覚があった。
私は父の精神によって産み落とされたと言う感覚があった、それは本人が死んでから猶強くなるイメージである。


母親と言うのは私と父の間に割り込んだ
不純物
と言う認識でしかない、私には。
父が複写される際に母親と言う不純物が混じったために、
私はこんな不出来な姿でこの世に膠着することになったのだろう。
と言う認識でしかない。


父が生きていたら今小説を作ろうとする私を見てなんと言うだろうか。

今書こうとするものを見てなんと言うだろうか。

(因みに母親のほうは私が太宰治賞に落ちた一報でまず、
鼻で笑った。そういうひとだ。)

要するに私は未だに物凄いファザコンなんです。
心細くなると父を思い出す。

父に私の書いたものを読んでほしい。
云ってしまえば、この現状からたすけてほしい、
と思う。