人の親になった以上、自分の子どもをかわいがるだけでよろしい。
だって、おおよそ何を踏んで過ごしたかも分からない、
(いっそとかげの方がよい、だって大地を踏むだろう)
なにの血を吸ったかも分からないスリッパを、兄弟に暮らしてきたこどもなんて、
ぞっとしないよ。
わたくしはわたくしの息子のみいたわしい。
と、言えど。
自分のこどものみ慈くす親ほど汚ならしいものもない。
でなければ、
野原にこどもは蒸れたはずさ。
この国はね、こどもが居ないんだ。居ないから滅ぶんだ。
みんな、ね。
自分を持ってしまった。親が悪いわ学校が悪いせいじが悪い次代が悪いなんだって悪い。
自分は大人には持ち重りする。自分の支えかたなんて、誰も知らないよ。
だのに、腹にこどもを抱えて、うでにこどもを抱えて、憎くない道理がない。
うそ。
憎む、という感性にも乏しい。
わたくしにはこの国が血枯れてこけていくのがわらかしいけど、
死なされるこどものみになっていきや?