雑文・血潮 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

人の親になった以上、自分の子どもをかわいがるだけでよろしい。

だって、おおよそ何を踏んで過ごしたかも分からない、

(いっそとかげの方がよい、だって大地を踏むだろう)

なにの血を吸ったかも分からないスリッパを、兄弟に暮らしてきたこどもなんて、

ぞっとしないよ。


わたくしはわたくしの息子のみいたわしい。


と、言えど。

自分のこどものみ慈くす親ほど汚ならしいものもない。

でなければ、

野原にこどもは蒸れたはずさ。


この国はね、こどもが居ないんだ。居ないから滅ぶんだ。


みんな、ね。

自分を持ってしまった。親が悪いわ学校が悪いせいじが悪い次代が悪いなんだって悪い。

自分は大人には持ち重りする。自分の支えかたなんて、誰も知らないよ。


だのに、腹にこどもを抱えて、うでにこどもを抱えて、憎くない道理がない。


うそ。


憎む、という感性にも乏しい。


わたくしにはこの国が血枯れてこけていくのがわらかしいけど、


死なされるこどものみになっていきや?