友人からメンテを依頼されてた74年製テレキャスター。
30年ほど前に,中古で約10万円で購入したとのこと。その後最近まで20年近く,ケースなしで倉庫に眠ってたそうです。
全体にほこりを被って汚れており,フロントPUも断線してるのか音が出ませんでした。その他,いろいろと調整の必要な点もあり,解体・大掃除した際に,ボディの細部をいろいろとチェックしてみました。
まず,外観から。テレキャスターは誕生以来ずっと形状は変わっていないと思われがちですが,実は70年代に入ってからボディは若干形が変化しています。時期的には,73年の途中から,82年に「スタンダード・テレキャスター」にチェンジするまでの間。
上は今回の74年製(左)とオリジナルシェープ(59年製)のボディ比較です。左の方がやや間伸びした感じがあります。これを重ね合わせると…。
四角の部分,左カッタウェイの深さが約1フレット分違っています。正面から見ると,接合点は74年製が16フレット付近,59年製が17フレット付近。
これはネック受け部の加工の差に起因します。
どちらもネック受け部分の上限は16フレット付近ですが,74年製は表面に向けて一直線で受けています。オリジナルはカッタウェイを一度深く掘り下げてあり,若干仕込みが浅くなっています。
これは恐らく加工の手間を省いたんでしょうね。演奏面ではほとんど影響はなく,構造的には74年製の方がネックが安定するように思われます。ただ,ボディバランスはオリジナルと比較するとやや違和感ありです。
ネック・ポケット。「TOM」「FRANK」のスタンプが見えます。アッセンブリーを担当した人の名前?
ネック・ブレートにはナイロン製?のクッションが付属しています。これも73年頃からのようです。内側には「0III00」のナンバーが見えます。何を表してるのかは分からない。
断線していたフロントPU交換時の写真。フロントPU穴の奥には,ボディ・フィニッシュを表す「NATURAL」のスタンプがあります。この時期,PUのリード線をコントロール・キャビティへ導く斜めの穴(エクストラ・キャビティ)はありません。ノーキャスター以降は空いてたこの穴は,68年頃からなくなったらしい。ディマジオDP172(上)の方が線が太いため,穴が開いてる方が作業は楽でしたが。
コントロール・パネルの裏側。掃除前で,スイッチには白錆がビッシリ。コンデンサーはセラミック(ダイレクトロン?)。
<参考>
・74年製の音はコチラで
→ テレキャスター10 / 音のサンプル#2
・74年前後のヘッド形状変遷はコチラで
→ テレキャスの顔はこう変わった/'50-'79