「わたしはとおくにいかなければならない。」
何度もそう思って来たのに、何度も忘れ卒業文集に書いた夢は自分の頭の中で一番奥のものとして無視していた。
秋の訪れなんて、金木犀の香りで気づくわけじゃない。それはカレンダーが9月に変わった時から、あぁ鍋食べたいなぁって思った時に感じた。
時の流れとか、約束だとか、人との出会いだとか。忘れちゃいたいこと全部忘れていけない私の頭の中とか。
綺麗な景色とか、優しい言葉とか、夢とか希望とか、水色みたいなあの子がいる世界はドアで繋がってる。
最近はそこへ行かなくなったのだけど、なかなか切り取れる手段がなくなったから。映し出せるものがなければあの子は存在しなくなる。死んでしまったも同然。
電車の乗り換えを何度もした。早く辿り着きたかったから。あの子を思い出した。いつかの約束は私がずっと信じていたかったものだったのに、それを言ったのも無くしたのもあの子だった。
大丈夫だよ、と言って世界がどんなに許さなくても永遠に一緒にいられると、繋がっていられると言っていたの。
終わり
わたしの気持ちだって、奪われてしまえば変わることができる。何処へでも連れて行けるところまで連れて行けば、と生意気に思った。生活が変わり、泣きわめくことも無くなった。背中を押された。自己承認欲求。
青い空が優しく白の雲を包んでいる。青じゃ無くて水色だよ。って水色が、好きだと言った。
夏
カモメに沢山の餌を投げた。私は髪の毛が伸びて、まとめて高く結んだ。ポニーテール。振り向いてもちゃんと大丈夫だよって、大丈夫だった時。
海に入った。そんなに綺麗な海じゃなかった。でもそんなのどうでもよかった。
何事にも大切だと気づくまでの時間が長過ぎてしまうから、もっともっと生き急がなくてはいけないのかもしれない。そう思ってはすぐ忘れてしまう。やっと分かったことがあるのに。恐怖に変わる。
満たされてしまうことを知ってしまった時に訪れる絶望と死。江國香織さんはよく知っているなぁと感心した。私もそうだそうだ、と思って本を読んだ。
ありがとうと書き殴ったノートの最後のページはクリアファイル、大切だった言葉並べてくれた手紙。イルカの写真。何もかもいらないと思った。大切だったもの全て捨ててあげる。
狂っているのだろうか、狂ってしまっているのだろうか。
メールを送る、もういいじゃないか。
いつも大切に思っているよ。
私は今日もカメラの前に立ち、携帯で文章を打ち、自分の分身を産んでゆく。いつだって強くありたいと、思っていたいわけじゃなくて、本当はもう無理だと思ったら降参する勇気が欲しいんだ。
もういいよって、よくがんばったって。時間を戻してくれるなら、戻せないなら、いらない。
青い夢を見たら、あの子とあの人とあいつと私が出て来たよ。
綺麗な言葉を言いたいのに、どうしても紡げない時がある。
なくしてしまったものはしょうがないよ。泣いてしまったことも、怒ってしまったことも、笑っていることも、全て全て。
いいよ、いいんだよ。
全部 ちゃんとなってるから。
世界はちゃんとしてる
こうやって今日も辻褄が合う。
十月いっぱいの、
優しい嘘をつこう。
それでいいよ、
嘘か本当かは任せます。