年末チェンマイの自宅へ戻ると見慣れた部屋にちょっとした変化が生じていた。かねてから欲しい、欲しいと言っていたカレン族の布で作ったクッションをこの度我家へお迎えすることが出来たのだ!

 

 知人が経営するカフェで見つけて一目惚れした。小さなカフェの至るところにオーナーのセンスが光るが、その中でも一際目を引いた色とりどりのクッション達。すぐさま譲って欲しいと懇願し何度か通ったが、普段気前の良い彼女もこれだけは譲れないときっぱり言い放った。聞くところによれば布の入手が困難で次はいつ出会えるか解らないそうだ。そんな貴重なクッションが4つも我家にあるではないか!?布が手に入ったと連絡を受けた夫からの嬉しいサプライズ。(嬉)さすが結婚20余年ともなると無類の布好き、ハンディークラフト好きの私の好みを熟知している。これで夫の株が急上昇したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 年末年始休暇を利用してチェンマイへ帰省した。今年は昨年より2日多い7連休だったが、遊び過ぎもありあっという間に終わってしまった。帰省中の私のミッションはたった1つ、16枚のカーテンを洗うことだけ。年に3回程チェンマイへ帰るがその時は必ずこのミッションを遂行することにしている。残りの予定は全て夫のアレンジにお任せしたのだが、お陰でゆっくりと命の洗濯をさせて貰った。

 

 年越しは郊外のリゾートで1泊、その後更に車を走らせ山頂のバンガローで新年を迎えた。

リゾートは広大な敷地を実に贅沢に使い、宿泊施設はコテージ5棟のみ。庭の至るところに可憐な花が咲き、部屋のテラスに出ると水牛が草を食む光景が見られた。にわかリッチの気分を堪能した後はチェンダオの山頂へ移動。温水シャワーも電子機器を充電するコンセントもない部屋は前日との落差が激し過ぎるが、しばしSNSとは距離を置き前方に広がる緑を見ながらくつろぐのも悪くない。小さな村には美しい刺繍を施した衣装に身を包んだ村人が往来する。地元の人の数を遥かに上回るであろう観光客がどっと押し寄せカウントダウンの時を待つ。「よそ者」であることを十分に自覚し誰一人騒がない。深夜12時を告げる数発の花火のあと、「新年おめでとう!」と叫ぶ声が響いたのはわずか10分程度で再び漆黒と静寂が戻った。

 

 何てことのない休暇だったが、家族で美味しいねと言いながら食卓を囲むことが出来た。

そしてこれこそかけがえのない幸福であることに私は最近やっと気づいた。

 

 2018年も不定期にブログを書いてきます。サボってばかりですがよろしくお願いします。

 

 皆様にとって笑いに満ちた1年となりますように!

 昨年10月にご逝去された故プーミポン国王の葬儀が昨日執り行われた。公務員は勿論のこと、民間企業の大半が休日となり、各種商業施設も通常より早く店を閉めた。街中に喪服を着た人があふれ、最後のお別れに献花会場へ向かう人を乗せたボランティアのバイタクやトゥクトゥクが急がしそうに往来していた。

 

 私も数人のタイ人に献花会場へ誘われ、炎天下の中待っていられる体力の自信がなく迷っていたが、高層マンションの屋上から長蛇の列を見た時心が折れた。今日は自分の部屋でおとなしく過ごそうと決めた。冷静に考えると外国人の私が興味本位で行ってはならない、国王ととともに生きたタイ人を優先すべきだということに気づいた。1年前国王が亡くなられた時私も悲しかったし、涙するタイ人にもらい泣きしたこともあった。しかし、私は彼らのように国王を身近に感じたことはない。

 

 一夜明け、今日のオフィスはいつもと何ら変わらない。喪明け後、社内の祭壇を速やかに片付けるよう部下に指示を出した。仏具は備品庫で保管、写真は応接室に飾りたいというので快諾した。近代化に大きく貢献したラマ5世とともにラマ9世も彼らの心に永遠に生き続けるだろう。

 

 国父を失ったタイはこれからが正念場だ。タイは今後どこへ向かって行くのか・・・この国で一生お世話になるであろう私の最も気がかりな点である。

 ポジティブに生きる、ポジティブ思考、誰もが知っているこの言葉、今更という感は否めないが実践は案外難しいものだ。長年の思考の癖というのは厄介なもので、物事への挑戦や変化に少なからず影響を与える。

 

 最近、ちょっと、いや、かなり夢中になっているのがイムラン先生の英会話の動画である。英会話の習得は長年の課題であり、最近はいっそのこと老後まで持越し、退職後にコツコツ取組もうと考えていた。しかし記憶力が衰退した頭で1から語学を学ぶのはかなりハードルが高い。いくら学生時代に多少の英語を学んでいても、錆びた回路をつなぎ記憶の糸を手繰り寄せていける自信はない。そんな時に出会ったのが上述の動画だ。

 

 残念ながら英語のフレーズは3割程度しか覚えられないが、なんだかとてもポジティブな気分になれる。イムラン先生は流暢な日本語で日本人の特性、英語学習の問題点をユーモアを交えて話すがその考察力は非常に鋭い。英語のレッスンの進捗やレベルを他人と比べる必要はない。2割が不正解でも残りの8割が出来ていればそれほど落込むことはない。どれも人生に当てはまる気がする。

 

始業前のまだ誰もいないオフィスで朝食を取りながら動画を見るのがもっか一番の楽しみになっている。テンポの良い口調、ポジティブなフレーズ、それに先生なかなかのイケメンだしね!

 

 

 最近周囲で本帰国する人が多い、と言っても任期満了によるものではなく、自分の意思でタイで生き、そして自分の意思で帰国する人達だ。女子会メンバーにも出産を期に本帰国を決めた女性がいる。色んなことを天秤に掛け悩んでいた時期もあったようだが、決断してからはこの国のゆったりした時間を何倍速もしたような速さで準備を進めている。仕事を持っている彼女が帰国の前日まで働くというタフさにも驚いたが、こんな時立止まる時間は持たない方がいいのかも知れない。

 

 個人的には女性はタイに居た方が楽な気がする。家事育児の負担を軽減するチョイスが日本よりも多く、育児雑誌やママ友などの狭い価値観に捉われることなく自由度が高い。また仕事の面においても日本のように年齢でバッサリ切られてしまうことも少ないからだ。冒頭の友人も同感であるが、本気国を決断した背景にはご主人の強い日本行き希望があったそうだ。ともあれ、一度帰ってみて10年後に再びタイへ戻ったとしても彼女は40歳、再出発には遅すぎまい。

 

 最後に女子会メンバーで送別会をやり、みなで良く食べ良く笑い、友情と皺を更に深めた。それぞれの人生、それぞれの決断、そのどれもがハッピーでありますように!