こんばんは
 
 
 

島崎莉乃です。
 
 
 
本日はメキシコの鬼才 ミシェル・フランコ監督最新作【母という名の女】
 
試写へ行かせていただきました。
 
 
 
 
 
ミシェルフランコの作風というか、人間の狂気的な部分を描く、わざとそこに卑しくも自然に集中して人間を映す感じが好きで。
 
 
2012年の「父の秘密」なんかも好みだった。
 
お父さん普通に恐かったし。
 
 
 
 
 
ミシェル・フランコは私も大好きな
 
ルイス・ブニュエルの影響なんかも多大に受けている監督だからなんとなくツボにハマるのだと思います。
 
メキシコを代表する鬼才、というか鬼人ですからね。奇人より鬼人の方が合ってる。
 
 
 
 
 
 
 
38と映画人にしてはわりと若手よりの監督のミシェル・フランコ最新作なわけですが
 
 
 
今回は
 
''女性の陰湿さ''
 
にスポットライトをこれまた綺麗に当てて、観客を身震いさせる程の女性の欲深さを包み隠さず撮っている作品。
 
 
同じ女性である私が観ても恐かったから、男性の人が観たらこの倍恐いのだろうなぁと思いながら観てました。
 
 
 
 
あらすじは
 
メキシコ・バジャルタに住む二人姉妹。
印刷店を経営する姉クララと、17歳にして赤子を身ごもる妹バレリア。
赤子の父親は姉の印刷店でバイトをしている17歳のマテオ。
 
訳あって別居をし疎遠になっていた母親のアブリルは姉のクララから「バレリアが臨月だ」という報告を受け、娘を心配し家に戻ってくる。
 
無事に女の子・クララを出産し、アブリルはまるで我が子のようにクララを可愛がる。
最初は有難く思うバレリアとマテオであったが、次第にアブリルの行動は思わぬ方向にエスカレートしてゆき…
 
 
 
 
 
 
とんでもない母親がこの映画には登場します。
 
 
 
私たちが知っている、優しく母性に溢れた柔らかな母親なんて幻なのだと強く言い聞かせられるような。観ているとそんな感覚になる。
 
 
 
 
 
この母親であるアブリルは娘のバレリアと同じ17歳で長女クララを出産しているのですが
 
 
若くして母親になった反動なのか
 
絶縁関係となった元夫への当てつけなのか
 
 
 
徐々に、徐々に自分の中で蓄積されていた女としての''不満''がひとつの事柄がきっかけで大爆発、大暴走しちゃうわけですね。
 
 
 
誰でもあると思うんです。
 
男でも、女でも
理性を効かせてセーブして繋ぎ止めていた自分の中の何かが、突如として制御不能になってしまうこと。
 
 
どこか、心の中で「ああ、もう、いいや!」
 
と投げやりになって欲求に素直に行動する。
 
すると、あれも、これも、と今まで我慢出来ていたことが急に我慢出来なくなってしまうんですよね。
 
 
 
たぶん、誰しも何かしらでこのような感情になったことあるかなと私は思うのですが
 
 
その投げやりで解放的な感情の極限を描いた映画、と表現したら伝わるかな。
 
 
 
 
 
 
なんだか、それも男の投げやりや解放的とはまた違う。
 
 
女のこの感情って、今までの経験で密かに積み上がってきた恨みや妬み。いわば、復讐心に近いものなんだと思うんです。
 
ほんとう、これは私の勝手な解釈ですが
 
 
 
 
女の復讐心って、たぶん満たされる限界値がないんだと思うんです。
 
 
結局はその復讐したい相手への当てつけなんですけど
 
それを本人ではなく全然関係のない異性や近しいひとを愛したり、傷つけたりすることで本命の相手へ間接的に
 
''私は今あいつに復讐している''
 
と思い込んじゃってる感じ。
 
滅茶苦茶に、タチ悪い。
 
けどそれで自分の自尊心と欲求が一時的に最高潮に満たされるからやめられなくなる。
 
 
 
その女が持っている一番、本能的な部分を
この映画は見事に映していたなぁ…と。
 
 
 
 
 
鼓膜に響く泣き叫ぶ赤ん坊の声
 
ほくそ笑むいびつで解放的な笑顔
 
 
 
 
ラストなんか
ネタバレになってしまうから言えないけれど
私、ガッツポーズしたくなった。
 
 
 
エンドロールも楽しんでください、特別映像があるわけではないし、まず音楽がない。
 
 
けれど、その沈黙の中で''母親''について考える時間を与えてくれます。
 
 
 
 
 
 
 
最近では
 
 
育児放棄
 
幼児虐待
 
 
日本に限らず、罪のないこどもが傷ついたり
儚い命を不本意で落としたり
 
と、親の無責任な行動によって悲しい事件がたくさん起こっている世界ですが
 
 
 
 
そもそも、その責任は一体なんなのだろう
 
と考えさせられる作品がこの
 
【母という名の女】です。
 
 
 
 
 
私は、
 
無条件に自分のこどもを愛することが親の最大の務めだと思います。
 
 
そんなルールがあるわけでもないけれど
 
 
 
 
だって恋愛をするにもこれから自分が親になるにも
 
絶対に愛というものが必要じゃない。
 
 
 
愛は言葉で表すことが出来ない
 
愛に決まりや概念はないと思う。
 
 
頭で愛を考えたって感じるのは絶対に心だと思うからです。
 
そりゃ医学的に考えたら脳とかの話になるんだろうけど。
 
 
感情は理屈じゃどうにもできないから
 
 
 
 
私たちが何かを愛することを教えてくれたのは
紛れもなく親だと、思います。
 
ただ抱きしめるだけでも、心が温かくなることを教えてくれたのは親だと、思います。
 
 
絵本でも、映画でもなく。
 
 
 
愛されて愛していくことがとても綺麗だなって思うから。
 
 
 
 
 
 
普段、こんなこと考えないけれど
 
この映画を観て
 
責任や、欲求、愛について自分なりに考えました。
 
 
 
 
 
6.16(土)渋谷ユーロスペース他にて順次ロードショーです。
 
 
皆さまも是非この映画を観て、皆さまなりにいろんなことを感じてみてください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
久々の映画ブログでした。
 
長くなりましたね、では。