A. 正直なところ学生時代から日本での音楽活動に限界を感じていたからです。未来に不安を抱えていた大学四年の折に国際コンクールに挑戦して一度日本を出てみました。そこで音楽に対する自由度やリアクションの違いに衝撃を受けて、これは世界を相手にして勝負したいなと思いました。ヨーロッパはとにかく文化に対して大変愛情や思いやりのある場所です。街を歩けば一回は音楽家に出会えたり、クラシックはもちろん現代音楽にも挑戦的で、音楽が好きであれば誰でもチャレンジできる環境が魅力的です。ここヨーロッパでならもっと純粋に自分を表現できると考えて今はドイツに拠点を構えて活動をしています。最初は日本の文化への窮屈さに限界を感じて日本が嫌になっていましたが… ただ今は一周して日本の美しさや素晴らしさを感じられる余裕もできました。
今後は楽曲に日本文化の良さも織り交ぜていきたいとも思っています。それが次のチャレンジです。(日本ではラーメンと焼肉を沢山食べてヨーロッパに帰りたいと思います。(省略可笑)
Q.4ヨーロッパでマリンバの認知度や奏者が感じる認識はどのような感じですか?
A.世界的に見て現代は東西問わずどの国でもマリンバは盛んだと思います。やはりアメリカは盛んだと思いますが、特にドイツ語圏の欧州の国では未だクラシック音楽が根強くまだまだマリンバの開拓の余地はあると思っています。なので自分の作品を演奏してもらう時もドイツでは特にマリンバ奏者は貴重なので限られます。
ただ何と言ってもマリンバの音域の拡張やレパートリーの拡大の先駆けになった国はここ日本であるので誇らしと思っています。5オクターブマリンバのための作品も僕が生まれた1990年少し前からまだ30年余りほどの歴史なので、まさに生きてる文化の流れにいるんだと感じる事ができます。ここ数年でヨーロッパでもマリンバの作品は若い作曲家を中心に増えて来ています。Echoesのような電子音とマリンバデュオのような作品も21世紀になってまだ数曲しかないと思います。今まではマルチパーカッション、アンサンブルや小太鼓のための作品ばかり書いていましたが、Echoesを皮切りにマリンバを始め鍵盤楽器のための作品も描いていこうと思っています。