私がタロウのお散歩をしていた頃、
近所のおじちゃんが
小柄の雑種犬と毎日お散歩していた。
朝夕、時間が会う時は挨拶を交わす程度で、
お世辞にも人柄が良さそうには見えないが(失礼)、
タロウが体調を壊した時には、
ずっと、そっと、気にかけてくれていた。
ある日、近所に野良犬がいるとの情報があり、
タロウを連れてのお散歩はちょっと怖いなぁ
と、お散歩を渋っていた時。
ちょうどおじちゃんがお散歩から帰ってきた。
私「こんばんは〜。野良犬おったでしょう?」
おじちゃん「おったよ。」
私「いや〜、怖かぁ〜(涙)」
おじちゃん「なーん大丈夫よ、俺の後ろばずーっと付いてきて、なーんもせんだったけん!」
私「そうですかぁ、、なら行こうかな、、、」
おじちゃん「大丈夫、大丈夫(笑)もう、遠くに行っとるけん」
そう言って、帰って行った。
野良犬は、もう居なかった。
ある時、おじちゃん家のワンコがエリカラをしていた。
私「あれっ!どうしなったと?!」
おじちゃん「なーん、皮膚がちょっと禿げてきたけん、治療しよるとたい。」
私「怪我かなんかと思ったぁ(安心)」
おじちゃん「うん、散歩も行くし、大丈夫!」
たまにそんな会話をしては、
お互いお散歩に行く。
名前もよく知らない。
でも、そんな会話が心地よくて、
おじちゃんに会うのが少し楽しみな私もいた。
しかし地震の後、引っ越してしまった私は、
おじちゃんとワンコに会うこともなくなった。
先日、お義母さんと何気ない会話の中で、
私「裏のおじちゃん、元気ですか?」
と聞いたら、
昨年亡くなったと聞いた。
知らなかった。
元気にお散歩しているもんだと思っていたのに。
ぶっきらぼうな挨拶と、
時たまみせる優しい顔が、
最近心の中で繰り返し再生されている。
今更ながら、
「おじちゃん、あの時はありがとうございました」