先日は読書会でした。

 

 

 

 

3月の課題本は

ローズマリー・サトクリフの

「王のしるし」

歴史物語です。

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今からおよそ2000年前のスコットランド。

奴隷の剣闘士フィドルスは、不当に王位を奪われ盲目にされた

馬族の王マイダーに顔かたちが似ているところから、

王の身代りをつとめることになる。

小さな氏族の運命をかけた戦いのなかで、

フィドルスはいつしか真の王になってゆく。

人は何によって生きるかを深く問う、衝撃作。

 

 

 

 

王の代わりを務めるフィドルス、

盲目になった王のマイダー、

 

それぞれの王のしるしとは何か?

王とは何か?

 

本の終盤で

どうなるか書いてあったのに

 

読み終わった後、

「やっぱりそうなってしまったんだ」と、

涙が出ました。

 

 

 

 

 

サトクリフの作品のテーマは
生きがいを見失った少年が
自分の居場所を見つけ、

生きる道を見つけるかということ

 

 

今回の主人公

フィドルスも

物語の最初に

いきなり自由を

手に入れるのだけれど、

自由を手に入れたことで

どう過ごしていいのか困惑する。

 

そんなことって

現代にも通じるところが

あったりする。

 

 

普遍的なテーマが

自然に描かれているのが

サトクリフのすごいところ。

 

 

そしてなんと言っても

歴史物語だから

時代考証もされている

歴史物語って

お堅いのかなと

思いきや

 

力強さも感じつつ

 

描き方が

なんとなく柔らかくて

美しく

感じる。

 

 

 

 

読書会は

今回も

心が動いた人たちばかり(五人ですが)

 

そして

 

読書会のいいところは

共感できたり、

違う見解を知られたりすることで

本がより深いものに

なっていくところ。

 

 

 

今回の「王のしるし」も

盲目になった王マイダーの

自分の呼び方が変わっていることに

気がついた人がいて、

 

その変化はなんだろう?

 

とか

 

このシーンとこのシーンが

リンクしている

 

とか

 

ここであの言葉を伏線回収した

 

とか

 

そして「私は王にはなれないな」

なんて意見も

(言ったのは私です)

 

 

読書会だからこその

色々な気づきが

あって

本当に面白かった。

 

 

 

そして、

「王のしるし」の

舞台も

池田正孝先生が

写真に収めてくれて

先生の著書、

「世界の児童文学をめぐる旅」の中で

紹介してくれている。

 

 

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このシーンはこんな舞台だったのだと

写真でわかるので

物語の風景を想像するのに

助けになる。

 

 

ちなみに

岩波少年文庫の「王のしるし」の表紙の写真も

池田先生が撮られた写真なのです。

 

 

 

(以前この本について記事を書いていました)

 

 

 

 

最後は皆で

「やっぱりサトクリフはすごいね、いいね〜」

と言いながら

会を終えたのでした。

 

 

 

サトクリフ作品は

何回読んでも

楽しめる味わい深い作品です。