彼を愛、したとき
わたしは自分は彼のために生まれたのだと思った。
彼に愛情を与えるために、彼に家族を与えるために、彼を幸せにするために、彼が死ぬのを看取るために。
彼は、わたしと同じ発達障害だ。
わたしは高校の時、不登校だった期間がある。
その時は、無理矢理学校まで送られて、授業中は寝てていいからと座らされ、本当に辛かった。
彼が、大学院に不登校になった時、わたしは彼に自分の経験を言った。
贔屓されても全然問題ない。
卒業さえ出来れば。

それから数日して、彼は双極性障害を診断された。わたしに、連絡をしないで欲しいと言った。
わたしは1週間考えたのち、連絡してしまった。
自分が不登校のとき、友人の誰一人として連絡をくれなかったことが辛かったから。
しかし、その考えは彼を怒らせてしまった。
彼から別れを告げられた。

わたし達二人は、5年前に出会い、5回付き合い、その度に別れている。
それでも、別れには慣れない。
本を読んでも、テレビを見ても、映画を見ても、彼のことを思い出す。
彼の一言一言を思い出す。
自分が病気で辛いとき、彼はもっと辛いだろうと思う。
現在、彼からの連絡は無い。
それでも、わたしは彼ともう一度会えたら、もう二度と離さないのに、と思ってしまう。