皆さんは『源氏物語』をお読みになったことはありますか?
世界に誇る日本最古の小説です。
かのドラッカーは『すでに起こった未来』の中でこう書いています。
「中世における西洋最大の偉業は、トマス・アクィナス(1225?~74年)の『神学大全』であり、これは人類の歴史の中でも最高の概念的・分析的な著作である。これに対して、日本の中世にあたる11世紀の最も誇るべき偉業は、宮中の男女、愛と病と死に関する婉曲な描写からなる世界最高の小説、紫式部の『源氏物語』である」
これは「日本画に見る日本」という章の中の「日本の伝統における知覚能力」という節の中の一文です。
ドラッカーは日本画のコレクターとしても有名でドラッカーコレクションは千葉や山口、長野の図書館で展示企画されたこともあります。(私も観に行きましたが室町時代の山水画など、日本人の精神文化を感じる静けさと奥行きのあるコレクションでした)
ドラッカーは日本画を通じて日本の美学を見ていることを、この章で書き表しています。
そしてその真髄にあるものは日本人の知覚能力であるといっていて、「分析的概念に対置するものとしての知覚、描写に対する構図、幾何に対する位相、分析に対する形態は、実に10世紀以降の日本画における継続的な特性である」と書いています。
この、日本の伝統における知覚の能力の例として『源氏物語』が紹介されているのです。
『源氏物語』はわれわれ日本人にとってはむしろ国外の評価よりも平たい印象のものとなっている側面をもつかもしれません。
いわゆるプレイボーイのラブロマンス、といった印象を多くの人がもっているのではないでしょうか。
光源氏は単なるプレイボーイではありません。日本人の知覚能力のかたまりみたいな人なのです。
たとえば建築は当時は寝殿造りです。室内に置かれる調度品も唐風の荘重なものであったり、庭の造営も見事なもので季節をあらわす植物を美しく配しています。
几帳や御簾でくぎられた空間に静かな人々の衣擦れが聞こえます。
メッセージのやり取りは和歌で行われます。古今集などの本歌取りもよく行われ、教養が通底しています。
和歌を書く紙なども、唐紙などの特別なものは御逗子に大切に保管していました。
どの紙を使って和歌を送り合うかなどにも相手の教養やセンスが感じられるものとなっていたようです。
また、政治的な意味においても光源氏は自らの権力をさまざまな方法で高めていくのですが、政治に限らず、経済、社会、教育、芸術、宗教などのあらゆる方面から描かれているとてもスケールの大きな小説になっています。
それだけでなく、大河小説として多彩な人物の心象をきめ細かく繊細な表現で書き上げている抒情性豊かな人間模様は読む人の心をとらえてはなさないものとなっています。
「人生に一度、『源氏物語』を読んでみたいな」
そう思われる方も多いのではないでしょうか。けれどなかなかきっかけがない。
NHKの大河ドラマで『光る君へ』を放映する2024年はその好機といえるかもしれません。
『光る君へ』は『源氏物語』の作者である紫式部が主人公です。
関連本や関連展示会なども数多くみられるタイミング。
いま、『源氏物語』を読むのにはとてもいい環境が広がっているのが2024年なのではないでしょうか。
私は2014年頃から『カラーリストと読む源氏物語』という読書会を函館で実施してまいりましたが、2024年は全国の皆さんとオンラインで実施をしてみたいと考えております。
2月からのスタートになりますが、それにさきがけて1月11日(木)20時からプレセミナー(無料)を実施いたします。
もしよかったらぜひお越しください。
以下、2月からの本講座の詳細をこちらに記します。
●カラーリストと読む源氏物語
毎月第2木曜日20時~22時
(2/8,3/14,4/11,5/9,6/13,7/11,8/8,9/12,10/10,11/14,12/12)
全11回 48400円(税込)
毎月1回、「源氏物語」を色彩の視点から解説いたします。
※せっかくなのでこの機会に読んでみるのもいいかもしれませんが、講座としては事前に読んでいなくても大丈夫です。
読み上げ、解説、などを聞いていただき、感想をシェアしていただきます。
※すべてZOOMによるオンラインにて実施いたします。ご欠席の場合にはアーカイブを録画視聴いただけます。
※全五十四帖のうち、第一帖桐壺から第十三帖明石までをご一緒しましょう。
※ご用意いただきたい本は以下の3冊です。
『源氏物語』 巻一~巻三 (講談社文庫 瀬戸内寂聴訳)
第一回:2月8日(木)20~22時
「源氏物語と色彩」
第二回:3月14日(木)20~22時
「第一帖 桐壺」
第三回:4月11日(木)20~22時
「第二帖 帚木」
第四回:5月9日(木)20~22時
「第三帖 空蝉 第四帖 夕顔」
第五回:6月13日(木)20~22時
「第五帖 若紫」
第六回:7月11日(木)20~22時
「第六帖 末摘花 第七帖 紅葉賀」
第七回:8月8日(木)20~22時
「第八帖 花宴 第九帖 葵」
第八回:9月12日(木)20~22時
「第十帖 賢木」
第九回:10月10日(木)20~22時
「第十一帖 花散里 第十二須磨」
第十回:11月14日(木)20~22時
「第十三帖 明石」
第十一回:12月12日(木)20~22時
「まとめ」
まずは無料のプレセミナーにてお待ちしております。
こちらからお申込みください。(後日録画視聴も可能です)