今回から池袋ショーで手に入れた標本の詳細をUPして行きます。^^

まずはアンキロサウルス類のズールの歯冠から、

来年の科博「2023恐竜展」で来日することが決まった”Zuul”のキャプションがついた歯冠です。

北米ブースの主であるGさんはそのことを知らず、偶然持って来た標本とのことでした。

産地はアメリカ合衆国モンタナ州ハーバー近郊のジョディスリバー層で、キャプション上はズールのホロタイプが産出した地域になります。

ジョディスリバー層からは明確なアンキロサウルス類はズールしか見つかっていないため、この地域から産出した標本は、とりあえずズールと表記される可能性はありましたが、状態が良かったので手に入れた次第です。^^

 

標本長は8.9mmで、歯冠部の幅は6.8mm、高さが7.4mm、歯帯部分の厚さは5.0mm、歯根部は4.0mmでした。

では細部を見て行きましょう。

歯冠形状から、下顎の歯骨歯と見立てましたが、なぜか咬耗面(歯が擦れて削れた箇所)が歯冠の両面に出来ています。

ただ咬耗面の色に違いがあるので、歯突側に出来た咬耗面は母岩の外に出ていて、風化したものではないかと、Gさんに通訳さんを通じて質問したのですが、どちらも埋まっていたとのことで、生前中に歯の生え替わり際に、上顎歯の当たり方が悪かったのかも知れません。

歯冠側面を観察すると、小歯の数は片側6~7個あったと思われます。

歯冠は楕円形ですが、歯根はほぼ円形になっていました。

ズールの論文によると、ホロタイプの歯冠は歯冠部の幅6.1mm、高さ7.0mm、小歯の数が12個から14個あったそうで、この標本の方が気持ち大きいですが、掲載写真を見ると、形状も似ているので、暫定的にズールの歯で良いと思いました。

真偽は実物標本を拝まないと判りませんが、いまから楽しみです。^^

それから他のアンキロサウルス類の歯冠との違いですが、2019年の池袋ショーで手にれた、オーコトキアの歯冠検証と比較しても、それぞれ違いがあり、興味深く思っています。

今日はここまで、ではまた。^^