また、IT業の企業で架空売上があったとのことです。



(参考記事)


 → システム開発のネクストウェア、売り上げ架空計上の疑い――社員を告訴へ(日本経済新聞 - 2006年7月9日)

 大証ヘラクレス上場でシステム構築のネクストウェアは10日、同社の事業部長(48)が注文書偽造などで架空の売り上げを計上していたと発表した。架空計上は2006年3月期で連結売上高の約16 ...


 ちなみに、会社のIRもあります。


 → 「業績に影響を与える可能性のある事象の発生について」



 

 会社が行ったIRの表題が微妙な表現で、往生際が悪い感じがしますが、それはおいといて、担当の監査法人にとっては、タイミングが悪く非常に頭が痛いことと思われます。




 今回のニュースや会社IRを見る限り、会社は「会社の特定の担当者の不正」とであり、会社は被害者であるというスタンスという印象を受けます。



 しかし、この件について、多くの方が「会社の内部統制はどうなってるの?」「これだけの額になると、経理部や内部監査又は公認会計士は気づいたのではないか」という感想をもったと思われます。



 会計士の責任論は今後内容が判明した後議論になると思われますが、内部統制に関する動向の方が気になります。



 会社は、大証ヘラクレスに上場しており、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を提出しています。それには、内部統制システムの方針及び整備状況の記載もあり、また、コーポレート・ガバナンス強化を目的に社外取締役として公認会計士(※)を1名、取締役の業務監査の強化を目的に税理士と弁護士を各1名選任しているとしています。



(参考)


 → ネクストウェア株式会社 「コーポレート・ガバナンス報告書」(2006年5月31日)




 更に、前期及び前中間期においては「有価証券報告書の適正性に関する確認書 」(2005/07/12)、「半期報告書の適正性に関する確認書 」(2005/12/28)の提出も行っていますので、今回の不正が前中間期以前から続いていたとすると、これに関しても問題となってくる可能性があるかもしれません。

 

 このように見ると、会社経営者(特に社長)の責任はかなり重いと思われ、また、他の役員及び社外取締役、社外監査役の責任論や存在意義の問題も指摘できると思われます。



 現在のところ、不正の詳細が明確でないので、内部統制でカバーできるか話かどうかわかりませんが、特定の得意先に対する債権の増加及び回収の長期化等があったと報道されていますので、十分に内部統制でカバーできる話になるのではないかと予想しています。



 今後、会社、会社役員及び株主がどのような対応をとっていくのでしょうか。

 



(蛇足)

(※)この方は以前、太田昭和(現新日本)監査法人所属だった方で、現在「内部監査室長」をされています。通常、このような場合、他の会社より内部統制のレベルが高いのではないかと想像してしまいますが、このような件があると、逆の方向で想像が膨らんでしまいます(残念です)。


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