みなさま、魔女と言われるとどんな存在を想像しますか?
おそらくその多くが、箒に乗って空を飛ぶ、大釜で何か薬を作っている…など、アニメや物語などで見聞きした光景が浮かぶのではないでしょうか。

 

そもそも魔女とは、空想の中だけの存在なのでしょうか?

 

今日は私の愛する【魔女】という存在について、少し詳しくお話しさせて頂ければと思います。

 


【魔女とは】
魔女について様々な見聞を駆使し調べた結果、

①ヨーロッパの俗信で悪霊と交わり魔力を得たもの
②悪魔のようなもの
③男性の心を惑わす怪しい魅力を持つもの
④普通の人にはない、特別優れた能力を持つもの

主ににこのような者たちを、歴史は俗に「魔女」と呼んでいたそうです。

魔女とは超常的な力(魔法)を駆使する人間の総称であり、古くから、巫女や祈祷師など霊的な職業は女性が務めていたため、コレらも魔女と同一視されることがあります。
彼らは単なる超能力者ではなく黒魔術などの術式によって人間社会に被害を与える存在だと言われていました。
特に過去のヨーロッパにおいては、魔女は悪魔と契約した危険な人間であり、宗教を破壊するものとして恐れられていました。
その結果、この時代にはとりわけ多く魔女狩りのような大量虐殺が発生してしまった歴史が残っています。
ちなみに日本語では「魔女」と称される為誤解をされやすいですが、魔女狩りの時代では男性もその対象となっており、性別を区別せずに「魔女」と言う言葉が使われていました。

魔女について、それらしい理由のものをまず主に紹介させて頂きましたが、またそのほかにも、

◆猫を飼っている
◆年寄りである
◆一人暮らしである
◆あまり教育を受けていない
◆あまりにも賢い

これらも魔女である要因とされていました。
あまりにも酷いこじつけのように感じますが、誰かにとって都合の悪い存在であれば、そして程よく石を投げられる存在であれば、誰でもよかったのです。
人々は己と違う面を持つ他者を魔女と恐れ迫害の対象とし、何処へぶつければいいかも知らぬ災いの元凶を魔女のせいとして、魔女狩りと称し処刑を続けてきましたが、彼女たちが“魔女”であったという証拠は、いまだにみつかっていないのです。
人とは、何とも臆病な生き物ですね。


【魔女と呼ばれた歴史上の人物】
長い歴史の中で、これまで何人もの人々が魔女や魔術師だとされてきました。
そして彼らの多くはそれが事実か否かにかかわらず、非業の死を遂げています。
それでは次で魔女だと判断された実在の人物についてご紹介します。

◆ジャンヌ・ダルク
◆アリス・キテラ
◆ペトロニーラ・ディ・ミーズ
◆マリ・ダスピルクエット
◆ラ・ヴォワザン
◆マンテウッチァ・ディ・フランチェスコ
◆マリ・ド・サンス
◆イザボー・シェイネ
◆ジョーン・オブ・ナヴァール

15世紀後半にはじまり、十八世紀後半までトータルで約4万人が魔女狩りによって処刑されたといわれています。
これはほんのその一部、最も有名な人々ではありますが、中でも最も名の知られた人物を紹介しましょう。

①ジャンヌダルク
農家の娘として生まれたジャンヌダルクは、神の啓示を受け、シャルル7世をフランス王にすべく、軍隊に身を投じました。
聖少女と呼ばれた彼女の影響は凄まじく、当時のフランス軍は快勝を重ねていくのですが、その後捕虜として捕まり、人民を惑わした魔女として処刑されてしまいます。
そんなジャンヌの魔女裁判には、政治、宗教的な背景、思惑が数多く存在したと言われております。

 


【魔女の見分け方】
では告発されたものをどのようにして魔女だと判断していたのか?
ここでは魔女裁判で実際に用いられていたという【魔女の見分け方】について簡単に説明します。

①水に浮くか調べる
魔女は水に浮くとされていたため、疑いをかけられても自白をしない者たちは川などの水に沈められました。しかし、多くの人が苦しくなって呼吸のために水面に顔を出してしまいます。水に沈めば無罪を証明できますが、それはすなわち、溺死を意味していました。

②悪魔の印を調べる
魔女には、全身に罪の印があるとされていました。そのため容疑をかけられたものは公衆の面前で裸にされ、悪魔の印がないかを調べられました。
しかしその印は、ほくろやあざ、皮膚の珍しい傷跡といった、誰にでもあるものだとされていました。

③血が出ないか調べる
これは先にも言ったようにほくろや痣、皮膚の珍しい傷跡などのことをさします。
魔女であれば針を刺しても血が出ないと考えられていたため、容疑者たちは全身のほくろやあざを針で刺されます。
さらにこれには、刺しても血が出ないよう古く傷んだ針が使われていたとされていました。

④空を飛ぶか調べる
魔女は空を飛ぶとされていたため、なかには崖や高台から飛び降りることを強要されたものもいました。魔女であれば空を飛び、無実であれば落下するとされていたのです。

⑤容姿の醜さを調べる
魔女は容姿が醜いとされていました。
この醜いとは美人かどうかだけではなく、イボの有無や体の形、髪の毛の色など様々でした。また赤毛や珍しい身体的少数派もそれだけで魔女だと決めつけられる要因とされていました。

⑥魔女のケーキ
この方法では、ライ麦と魔女の魔術に苦しむ少女の尿でできたケーキを、犬に食べさせます。すると、魔女だとされている者は痛みに叫び声をあげるはずとされていました。
これは、魔女が具体化した自分の一部を誰かに送ることで祟り、それがその人物の尿の中に現れるとされていたからです。

⑦夢や幻覚の中の出来事による証言
ある時代には、夢や幻視の中で、魔女とされる人物がが悪魔の命令に従って魔術を行うのを見たと言うものがいたとされ、この手の証言は、これといった確証がないにもかかわらず、告白された者を有罪にするのに十分なものだったらしい。

⑧接触
魔女の魔術とされる痛みに苦しんでいる者は、告発された者に触れられると、急におとなしくなるとされていた。
魔女の目から発せられる毒気が邪悪な宿主に戻るからだといわれていたからです。

⑨人工物
告発された者の家に立ち入り、魔術につながる人工物を探したという。
人形や大釜、手相や星占いに関する本、また、わたしたちに慣れ親しまれる物語のように、箒や黒猫、とんがり帽子を持っているの者も魔女だとされた。
現代に受け継がれる魔女の容姿の特徴は、ここからくるものだったのでしょうか。

⑩祈りを唱えられるか調べる
魔女は神への祈りを正しく唱えられないとされていました。
そのため被害者は神への祈りを唱えることを要求されました。簡単なことのように思えますが、神の目の元では、間違いは許されないこととされていました。
また、これらは最終手段として、様々な拷問の後に行われていたため、多くのものは瀕死の状態であり、神への祈りを唱えられる状態ではありません。そしてこれらは、言葉を話せない精神病や失語症の者、知恵遅れや、医学的なヒステリー症、幻覚症の者に対しても行われていました。

上記のとおり、容疑をかけられた被害者たちを、人々ははなからまともに判断するつもりなんてありませんでした。
それはなぜか?
いつの時代にも、人々の平穏を護るための『必要悪』という存在は不可欠だったんですね。

 


【童話と魔女の関係】
みなさんのなかで一番身近で身近でありわかりやすい【魔女】とは、最初に述べたように、童話に出てくる魔女ではないでしょうか。

魔女が出てくる物語はたくさんありますね。
そのなかで、「悪い魔女」と呼ばれる人物が出てくるものをいくつか上げてみてください。

たとえば、

◆ラプンツェル
◆ヘンゼルとグレーテル
◆人魚姫
◆眠れる森の美女
◆オズの魔法使い

「ラプンツェル」はディズニーと原作がかけ離れすぎて知らない人も多いかと思いますので説明を。
なかなか子供ができない夫婦がやっと子供をさずかった。
妊娠した妻は食が細くなって「隣の家の庭に生えてるラプンツェルが食べられなければ死ぬ」と言われた旦那さんが隣の敷地に忍びこみますが、隣人に見つかってしまう。
しかし夫から事情を聞いた隣人は、好きなだけラプンツェルを摘んでもいいが、子供が生まれたら貰い受けると約束をする。この隣人こそがディズニーでは魔女と記されているのです。

余談ですが私の好きなマレフィセントの出てくる眠れる森の美女ですが
ウォルトディズニーの描く彼女は「悪い妖精」とされていて、原作における彼女の存在は、「仙女」とされています。なぜ彼女が幼い王妃に呪いをかけたのかというと、宴会のお皿が12(1ダース)枚しかないので13番目の仙女が招かれなかった腹いせでした。短気な彼女にも問題はありますが、大本は、誰のせいと言えるでしょうか?
また、オズの魔法使いにおける東の悪い魔女は、「独裁者」と記されており、実際特殊な力などを用いて悪事を働いていたわけではありません。

ではなぜ彼女たちが「魔女」と呼ばれたのか?
何が原因で、どこから魔女と呼ばれ始めたのか?
ここで、これらの物語の魔女を冷静におさらいしてみましょう。

 


◆ラプンツェル
約束の代償に子供をつれていった夫婦の隣人
◆ヘンゼルとグレーテル
森の奥に一人で住む変わった家に住む老婆
◆人魚姫
人知れぬ海の底でひとり薬の研究をする女
◆眠れる森の美女
宴に招かれなかったため姫に呪いをかけた仙女
◆オズの魔法使い
ある都を牛耳っていた独裁者

 


そう、彼女たちは共通して、誰かのとって「都合の悪い存在」または「恐れるべき存在」だったわけです。
彼女たちが消えればどれほどいいでしょうか?
何かを彼女たちのせいにして消してしまえたらどんなに楽でしょうか?
人々はそうした鬱憤や悪意を誰かのせいにして見えない石を投げることで、平穏を取り戻すことに必死だったのです。


【最後に】
最初にお話しした通り、人々は己と違う面を持つ他者を魔女と恐れ迫害の対象とし、何処へぶつければいいかも知らぬ災いの元凶を魔女のせいとして、魔女狩りと称し処刑を続けてきたが彼女たちが“魔女”であったという証拠は存在しないのです。

「魔女裁判」や「魔女狩り」など、今でこそその文化は消えはしましたが、誰かを吊し上げることで自分の平穏を保ったり、自分とは違う価値観というだけで他者を笑ったり、自分が得をしたり、救われたりするために、誰かを魔女にするんですね。

「森の奥にひとりで住む賢い女性」

この言葉を聴いて、貴方はどんな印象を受けるかは自由です。
が、嫌煙する前に知って見てください。

彼女たちを「魔女」にするのも「人」にするのも、あなたの見解ひとつ、なのですから。